TDK — セグメント詳細
事業セグメント別の売上高・営業利益・利益率の推移(単位:百万円)
セグメント別売上高推移
セグメント別営業利益推移
セグメント別詳細データ(単位:百万円)
セグメント 指標 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026
EnergyApplicationProducts
売上高 - - - - - - - - - 1,370,304
営業利益 - - - - - - - - - 246,682
営業利益率 - - - - - - - - - 18%
PassiveComponents
売上高 - - - - - - - - - 593,201
営業利益 - - - - - - - - - 41,831
営業利益率 - - - - - - - - - 7.1%
MagneticApplicationProducts
売上高 - - - - - - - - - 262,903
営業利益 - - - - - - - - - 26,951
営業利益率 - - - - - - - - - 10.3%
SensorApplicationProducts
売上高 - - - - - - - - - 224,623
営業利益 - - - - - - - - - 20,748
営業利益率 - - - - - - - - - 9.2%
Others
売上高 - - - - - - - - - 53,789
営業利益 - - - - - - - - - -10,230
営業利益率 - - - - - - - - - -19%
受動部品
売上高 548,730 437,639 433,406 395,456 407,126 505,198 575,939 565,649 559,639 -
営業利益 204,681 46,278 58,438 39,072 40,201 77,251 95,519 53,886 34,072 -
営業利益率 37.3% 10.6% 13.5% 9.9% 9.9% 15.3% 16.6% 9.5% 6.1% -
磁気応用製品
売上高 349,698 333,235 272,807 219,668 199,253 248,446 200,573 184,211 223,637 -
営業利益 -1,802 20,877 17,022 425 -2,382 4,522 -56,392 -35,589 3,377 -
営業利益率 -0.5% 6.3% 6.2% 0.2% -1.2% 1.8% -28.1% -19.3% 1.5% -
フィルム応用製品
売上高 247,693 370,953 - - - - - - - -
営業利益 41,217 70,384 - - - - - - - -
営業利益率 16.6% 19% - - - - - - - -
その他
売上高 32,136 52,342 61,624 72,277 51,057 52,366 61,407 51,843 55,559 -
営業利益 -6,655 -2,381 -6,727 -8,590 -16,058 -5,630 -434 -1,799 -4,437 -
営業利益率 -20.7% -4.5% -10.9% -11.9% -31.5% -10.8% -0.7% -3.5% -8% -
センサ応用製品
売上高 - 77,578 76,467 77,938 81,345 130,769 169,543 180,511 189,472 -
営業利益 - -19,381 -22,125 -25,024 -24,872 3,190 10,726 6,042 4,983 -
営業利益率 - -25% -28.9% -32.1% -30.6% 2.4% 6.3% 3.3% 2.6% -
エナジー応用製品
売上高 - - 537,502 597,698 740,227 965,345 1,173,355 1,121,662 1,176,499 -
営業利益 - - 91,036 124,149 147,375 123,212 147,389 195,654 234,448 -
営業利益率 - - 16.9% 20.8% 19.9% 12.8% 12.6% 17.4% 19.9% -
合計売上高 1,178,257 1,271,747 1,381,806 1,363,037 1,479,008 1,902,124 2,180,817 2,103,876 2,204,806 2,504,820
事業の内容

3 【事業の内容】

当社はIFRSによって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社についてはIFRSの定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。

2026年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社152社、持分法適用関連会社6社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりです。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社

TDK Electronics AG

TDK Europe GmbH

TDK(Shanghai)International

        Trading Co., Ltd.

TDK HONG KONG COMPANY LIMITED

その他58社(国内1社、海外57社)

(会社数 計63社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他13社(国内2社、海外11社)

(会社数 計16社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、マグネット

当社

SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

        Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

TDK Philippines Corporation

Acrathon Precision Technologies

            (HK) Ltd.

その他10社(国内0社、海外10社)

(会社数 計16社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Limited

Navitasys Technology Limited

Xiamen Ampeak Technology Limited

Navitasys India Private Limited

TDK (Malaysia) Sdn. Bhd.

その他27社(国内2社、海外25社)

(会社数 計33社)

その他

メカトロニクス(製造設備)、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエータ 等

当社

TDK Taiwan Corporation

その他32社(国内8社、海外24社)

(会社数 計34社)

企業集団等について図示すると次のとおりです。


3【事業の内容】

当社はIFRSによって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社についてはIFRSの定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2025年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社147社、持分法適用関連会社6社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Electronics AG

TDK Europe GmbH

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

TDK HONG KONG COMPANY LIMITED

その他57社(国内1社、海外56社)

               (会社数 計62社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社

TDK-Micronas GmbH

InvenSense, Inc.

その他23社(国内2社、海外21社)

               (会社数 計26社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社

SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

Acrathon Precision Technologies

                       (HK) Ltd.

その他20社(国内0社、海外20社)

               (会社数 計25社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

Navitasys Technology Limited

Xiamen Ampeak Technology Limited

Navitasys India Private Limited

TDK (Malaysia) Sdn. Bhd.

その他31社(国内2社、海外29社)

               (会社数 計37社)

その他

メカトロニクス(製造設備)、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエータ 等

当社

TDK Taiwan Corporation

その他33社(国内9社、海外24社)

               (会社数 計35社)

0101010_001.png

3【事業の内容】

当社はIFRSによって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社についてはIFRSの定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2024年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社143社、持分法適用関連会社6社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

TDK Electronics AG

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

TDK HONG KONG COMPANY LIMITED

その他59社(国内1社、海外58社)

               (会社数 計64社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他14社(国内2社、海外12社)

               (会社数 計17社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社

SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

TDK Ganzhou Rare Earth

          New Materials Co., Ltd.

その他12社(国内0社、海外12社)

               (会社数 計17社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

Navitasys Technology Limited

Navitasys India Private Limited

Poweramp Technology Limited

TDK (Malaysia) Sdn. Bhd.

その他27社(国内2社、海外25社)

               (会社数 計33社)

その他

メカトロニクス(製造設備)、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエータ 等

当社

TDK Taiwan Corporation

その他22社(国内8社、海外14社)

               (会社数 計24社)

0101010_001.png

3【事業の内容】

当社はIFRSによって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社についてはIFRSの定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2023年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社140社、持分法適用関連会社6社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

TDK Electronics AG

TDK HONG KONG COMPANY LIMITED

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

その他59社(国内1社、海外58社)

               (会社数 計64社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他14社(国内2社、海外12社)

               (会社数 計17社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社

SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

TDK Ganzhou Rare Earth

          New Materials Co., Ltd.

その他12社(国内0社、海外12社)

               (会社数 計17社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

Navitasys Technology Limited

Poweramp Technology Limited

Navitasys India Private Limited

TDK (Malaysia) Sdn. Bhd.

その他27社(国内2社、海外25社)

               (会社数 計33社)

その他

メカトロニクス(製造設備)、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエータ 等

当社

TDK Corporation of America

その他18社(国内8社、海外10社)

               (会社数 計20社)

0101010_001.png

3【事業の内容】

当社はIFRSによって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社についてはIFRSの定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2022年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社137社、持分法適用関連会社5社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

TDK Electronics AG

TDK HONG KONG COMPANY LIMITED

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

その他61社(国内3社、海外58社)

               (会社数 計66社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社、

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他15社(国内2社、海外13社)

               (会社数 計18社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社、SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

Hutchinson Technology

 Operations (Thailand), Co., Ltd.

その他12社(国内0社、海外12社)

               (会社数 計17社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

Navitasys Technology Limited

Poweramp Technology Limited

Navitasys India Private Limited

TDKラムダ(株)

その他20社(国内1社、海外19社)

               (会社数 計26社)

その他

メカトロニクス(製造設備)、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエータ 等

当社

TDK Corporation of America

その他18社(国内8社、海外10社)

               (会社数 計20社)

0101010_001.png

3【事業の内容】

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2021年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社140社、持分法適用関連会社5社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

TDK Electronics AG

TDK HONG KONG COMPANY LIMITED

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

その他62社(国内3社、海外59社)

               (会社数 計67社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社、

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他17社(国内2社、海外15社)

               (会社数 計20社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社、SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

Hutchinson Technology

 Operations (Thailand), Co., Ltd.

その他12社(国内0社、海外12社)

               (会社数 計17社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

TDKラムダ(株)

その他23社(国内1社、海外22社)

               (会社数 計26社)

その他

メカトロニクス(製造設備)、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエータ 等

当社

TDK Taiwan Corporation

その他18社(国内8社、海外10社)

               (会社数 計20社)

0101010_001.png

3【事業の内容】

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2020年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社141社、持分法適用関連会社5社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

TDK Electronics AG

TDK Hong Kong Co., Ltd.

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

その他61社(国内4社、海外57社)

               (会社数 計66社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社、

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他18社(国内2社、海外16社)

               (会社数 計21社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社、SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

Hutchinson Technology

                    Incorporated

その他12社(国内0社、海外12社)

               (会社数 計17社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

TDKラムダ(株)

その他23社(国内1社、海外22社)

               (会社数 計26社)

その他

メカトロニクス(製造設備) 等

当社

TDK Taiwan Corporation

その他19社(国内8社、海外11社)

               (会社数 計21社)

0101010_001.png

(注)無印は連結子会社、※印は持分法適用関連会社を示しております。

3【事業の内容】

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2019年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社139社、持分法適用関連会社7社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「エナジー応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。なお、当社グループは、当連結会計年度における組織変更により、報告セグメント「エナジー応用製品」を新設しております。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

TDK Electronics AG

TDK Hong Kong Co., Ltd.

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

その他61社(国内4社、海外57社)

               (会社数 計66社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社、

TDK-Micronas GmbH

InvenSense, Inc.

その他19社(国内2社、海外17社)

               (会社数 計22社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

マグネット

当社、SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

Hutchinson Technology Operations

            (Thailand), Co., Ltd.

その他14社(国内0社、海外14社)

               (会社数 計19社)

エナジー応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、電源

当社

Amperex Technology Ltd.

TDKラムダ(株)

その他20社(国内1社、海外19社)

               (会社数 計23社)

その他

メカトロニクス(製造設備) 等

当社

TDK Taiwan Corporation

その他19社(国内8社、海外11社)

               (会社数 計21社)

0101010_001.png

(注)無印は連結子会社、※印は持分法適用関連会社を示しております。

3【事業の内容】

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

2018年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社142社、持分法適用関連会社8社により構成されており、「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」、「フィルム応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。なお、当社グループは、当連結会計年度における組織変更により、報告セグメント「センサ応用製品」を新設しております。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品

当社、TDK Europe GmbH

EPCOS AG

TDK Hong Kong Co., Ltd.

TDK(Shanghai)International

               Trading Co., Ltd.

その他62社(国内2社、海外60社)

               (会社数 計67社)

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ

当社、

InvenSense, Inc.

TDK-Micronas GmbH

その他31社(国内3社、海外28社)

               (会社数 計34社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

電源、マグネット

当社 SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

TDKラムダ(株)

Headway Technologies, Inc.

その他41社(国内1社、海外40社)

               (会社数 計46社)

フィルム応用製品

エナジーデバイス(二次電池)

当社

Amperex Technology Ltd.

その他12社(国内-社、海外12社)

               (会社数 計14社)

その他

メカトロニクス(製造設備) 等

当社

TDK Corporation of America

その他37社(国内11社、海外26社)

               (会社数 計39社)

 企業集団等について図示すると次のとおりであります。0101010_001.png(注)無印は連結子会社、※印は持分法適用関連会社を示しております。

3【事業の内容】

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

平成29年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社138社、持分法適用関連会社9社により構成されており、「受動部品」、「磁気応用製品」、「フィルム応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品、センサ

当社、TDK Europe GmbH

TDK Hong Kong Co., Ltd.

EPCOS AG

TDK-MCC(株)

その他55社(国内3社、海外52社)

               (会社数 計60社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、

磁気センサ、電源、マグネット

当社

SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

TDKラムダ(株)

その他48社(国内2社、海外46社)

               (会社数 計53社)

フィルム応用製品

エナジーデバイス(二次電池)

当社

Amperex Technology Ltd.

その他13社(国内-社、海外13社)

               (会社数 計15社)

その他

メカトロニクス(製造設備) 等

当社

TDK Corporation of America

その他37社(国内13社、海外24社)

               (会社数 計39社)

 企業集団等について図示すると次のとおりであります。0101010_001.png(注)無印は連結子会社、※印は持分法適用関連会社を示しております。

3【事業の内容】

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表を基に、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しております。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様であります。

平成28年3月31日現在、当社グループは、TDK株式会社(当社)及び連結子会社129社、持分法適用関連会社7社により構成されており、「受動部品」、「磁気応用製品」、「フィルム応用製品」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他」の製造と販売を営んでおります。

事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

区分

主要事業

主要な会社

受動部品

セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、

フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス

(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品・回路保護部品、センサ

当社、TDK Europe GmbH

EPCOS AG

TDK Hong Kong Co., Ltd.

TDK-MCC(株)

その他56社(国内3社、海外53社)

               (会社数 計61社)

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、電源、

マグネット

当社

SAE Magnetics (H.K.) Ltd.

Magnecomp Precision Technology

                 Public Co., Ltd.

Headway Technologies, Inc.

SAE Magnetics (Dongguan) Ltd.

その他38社(国内3社、海外35社)

               (会社数 計43社)

フィルム応用製品

エナジーデバイス(二次電池)、アプライドフィルム

当社

Amperex Technology Ltd.

その他12社(国内-社、海外12社)

               (会社数 計14社)

その他

メカトロニクス(製造設備) 等

当社

TDK Corporation of America

その他31社(国内11社、海外20社)

               (会社数 計33社)

 企業集団等について図示すると次のとおりであります。0101010_001.png(注)無印は連結子会社、※印は持分法適用関連会社を示しております。

事業等のリスク

3 【事業等のリスク】

当社グループは、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理する全社的リスクマネジメント(ERM)活動を実施しております。当社グループのリスクマネジメントの基本方針は、機会とリスクの適切な把握と対応により、グループ内の各組織が企業価値創造のための適切なリスクテイクを行うこと、及び企業価値の毀損を防止することの両立を図ることです。

このERM活動に関する施策を検討・実施し、リスクマネジメント活動を強化するため、社長が指名した執行役員を委員長とする経営会議の直接管理の委員会であるERM委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクマネジメント活動における各組織の役割を明確化し、リスクの識別~評価、対策の検討~実行~モニタリング、改善までの一連のリスク管理活動のPDCAサイクルの推進を行っております。これらリスクマネジメント活動は、取締役会及び経営会議による監督に加え、経営監査グループのERM委員会会議へのオブザーバー参加、及び常勤監査役による監査によって、適切に機能していることが確認されています。


ステップ

活動の目的

リスクの識別

当社グループを取り巻くリスクを洗い出す

リスクの評価

洗い出したリスクのうち、発生した場合の当社グループへの影響の大きさの観点から、特に対策を強化すべきリスクを、経営層(トップダウン)、現場(ボトムアップ)双方の目線で絞り込み、対応優先度を定める

対策の検討

リスクの顕在化を防ぐため、回避、移転、低減、受容等の観点から対策を考える

対策の実行

対策を実行し、リスクの顕在化を防ぐ

モニタリング

対策が適切に機能しているか、顕在化の兆候がないか、をモニタリングする

改善

リスクマネジメント活動の結果の振り返り、及び改善を検討する

リスクの評価として、当社グループの重要課題(マテリアリティ)を達成するための施策の実行を阻害するリスクを重要リスクとしてまず抽出します。さらに、前事業年度に実施されたリスク評価(リスクが顕在化した場合の影響度及び想定される発生頻度)について、内部及び外部の環境変化を踏まえて検証を行い、必要に応じて評価結果を見直し、影響度及び発生頻度の二軸からなるリスク・ヒートマップを更新し、このヒートマップ上で影響度及び発生頻度がともに高いと評価されたリスクについても、経営への影響の大きさを踏まえて重要リスクとして位置づけます。

これら重要リスクのうち、社内の管理体制の充実により、リスクの顕在化する可能性を低減、または顕在化した場合の影響度を低減することが可能と考えられるリスクについては、各リスクオーナー及びERM委員会がリスクに対する管理体制が十分であるかを評価しています。これらリスクの評価結果や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。また、期中においても、ヒートマップの妥当性について1回以上検証し、必要な場合は残余リスクの評価の見直しを行っております。


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1) 経済動向変化によるリスク

当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国をはじめとするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しております。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

経済動向変化による当社グループの業績へのマイナス影響を最小限に留めるべく、製造拠点の最適化、設備投資計画の精査、本社業務効率の改善等の経営体質改善の各種施策を実施しております。

(2) 為替変動によるリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は93%に達し、取引通貨の多くは米ドル、ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで20億円の減益、ユーロは3億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

海外子会社と本社(日本)間の取引は原則として現地通貨で行うことで海外子会社の為替変動リスクを低減し、これを本社に集約し日本から包括的に為替予約等を行うことで為替変動リスクを低減することに努めております。海外子会社も必要に応じて為替予約等を活用し為替リスクを低減しております。また営業利益への為替影響額縮小の為、ドル建て購買、円・人民元建て販売取引を推進しております。

(3) 金利変動によるリスク

当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

支払利息の金利上昇リスクに対しては、社債や銀行借入による低利かつ固定金利の資金調達で、金利変動リスクの低減を図っております。受取利息の金利下落リスクに対しては、元本保証を重視し、運用は定期預金を主とし、金利動向を見ながら金利上昇局面では比較的短期の、金利下落局面では比較的長期の運用を行うことでリスクをコントロールしております。

(4) 自然災害及び感染症によるリスク

当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する備えとして、防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、感染症の感染拡大によって、景気の悪化や、当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性も考えられます。

(主要な対応策)

当社グループでは、有事の際に製造拠点が早急に生産を再開できるよう主要事業ごとにBCP(事業継続計画)の策定とBCM(事業継続マネジメント)活動の推進、定着化を進めており、同様に、営業や本社スタッフ機能においてもBCPを策定し、会社全体としての機能が停止しないような備えを有しております。災害発生時のサプライチェーン確保の面では、大規模な災害により業務継続できなくなった場合でも、BCPで定める手順に則り、供給者への支払いや部材の供給継続等の非常時優先業務について代替拠点での継続ができる準備を進めております。

また、初動対応に関しては、全世界的に、有事の際の被害状況を迅速に把握する目的で、当社グループ海外現地法人と本社間で迅速に情報共有できるシステムを導入しております。

感染症に関しては、当社グループ各事業所においては通常の感染対策体制を維持するとともに、感染拡大やクラスター発生時においては新型コロナ感染症対策で培った感染予防体制を実行してまいります。

(5) 国際的な事業活動におけるリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は93%に達しております。

対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の55%となっております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の約62%となっております。

同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

国際的な事業活動におけるリスクに対しては、本社に設置したガバメントリレーション機能と米州、欧州、中国の各地域本社により各地域のリスク関連情報や各国法規制動向の把握及び分析を行っております。また、南アジア、東南アジア及びオセアニア地域におけるリスク情報の収集・分析体制の強化を図るため、本年4月にアジア・パシフィック本社を新たに設置するなど、体制整備を進めております。

特に、近年の米中関係をはじめとするグローバルな地政学リスクについては、重要リスクと認識し対応を進めております。また、当社グループでは需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。こうした拠点戦略最適化を進めてはおりますが、中国依存度に関しては、当社グループが中国に保有する有形固定資産が、2025年3月期の3,911億円から2026年3月期は5,383億円と連結総有形固定資産残高に対する比率で6%の増加(38% ⇒ 44%)となっています。

ロシアのウクライナ侵攻への対応では、事変発生以来ロシア及びベラルーシでの事業活動凍結を継続しております。

(6) 人権に関するリスク

近年、欧州を中心に人権に関するデューデリジェンスを企業に義務付ける法規制の導入・強化が進むとともに、投資家、顧客、従業員等のステークホルダーから、企業に対する人権尊重への取り組みに対する期待が一層高まっています。このような環境下においては、自社のみならずサプライチェーン全体を含めた人権リスクの把握および適切な対応が、継続的な事業運営における重要な前提条件となっています。

当社グループは、「人権の尊重」をマテリアリティに位置づけ、重要な経営課題と認識し、「TDKグループ人権ポリシー」に従い、各種の取り組みを推進しております。しかしながら、当社グループまたはサプライチェーン上において、児童労働、強制労働や外国人労働者への差別、労働災害等の労働安全衛生上の不備等の人権に係る問題等が生じた場合には、当社グループの社会的信用の低下、取引停止、事業活動の制約等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、当社グループは、こうした法規制やステークホルダーからの要請に適切に対応出来ない場合、法令違反や対応コストの増加、人材の流出、ビジネス機会の喪失等を通じて、中長期的な事業運営及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループは、「TDKグループ行動規範」において人権の尊重にコミットしており、児童労働及びあらゆる種類の強制労働を含む非人道的な労働を明示的に禁止しております。また「TDKグループ人権ポリシー」において、人権の尊重に向けた当社の基本的な考え方及びアプローチを明示しています。

加えて当社グループは、TDKグループの「重要課題(マテリアリティ)」の一つとして「人権の尊重」を設定し、人権推進のための社内体制や仕組みの構築を進めています。具体的には、自社従業員及びサプライチェーンに関する人権デューデリジェンスの実施、サプライチェーン上の各種調査や監査、人権侵害に関する通報のための仕組みの構築・運用、並びにステークホルダーとのコミュニケーション等を行っています。これらの過程において、「TDKグループ行動規範」からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じています。

また、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、RBA(Responsible Business Alliance)行動基準に則った自己評価や監査、トレーニング及び対話を通じて、課題の把握と継続的な改善に取り組んでいます。サプライチェーンにおいては、「TDKグループ取引先行動規範」を制定し、サプライヤーに対して同規範への同意を求めています。

さらに、法令規則・規制の変更や強化に関しては、各国法令、社会情勢及び顧客の動向などに注視し、変化に合わせた迅速な対応を行う体制を整えることで、人権リスクの低減を図っております。

(7) 気候変動を含む環境に関するリスク

地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、2015年12月COP21で採択された「パリ協定」に代表されるように、気候変動への危機感は高まってきております。気候変動は当社グループにとって重要な課題であり、2019年5月に賛同を表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、環境担当役員が責任者となって気候変動関連情報の開示を進めるとともに、分析と対策を実施しております。

また、当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、製品に含有する化学物質など、様々な環境法令の規制を受けております。当社グループでは、これら法令を遵守し、事業活動を進めておりますが、環境規制が強化され、これに適応するための費用の増大が予想され、当社グループの財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、近年、気候変動や資源循環と事業との調和に関して重要性を強く認識するとともに、それらを事業の機会とリスクと捉え、各取り組みを進めております。この他、世界的に大気・水質及び土壌汚染防止の取り組みを取り巻く科学・規制・社会のそれぞれの分野で起きているもしくは起こりうる課題を把握し、サステナビリティマネジメントグループが中心となり、リスクと機会を整理した上で、重要事項に優先的に取り組み、PDCAサイクルを継続的に回し改善を目指しています。

なお、気候変動関連のリスクと機会、及び主な対応策については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組の<気候変動>に記載しております。

(8) 税務に関するリスク

当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、回収可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により回収可能性の評価を見直した場合、回収する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。

上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

グループ会社間の国際取引におけるリスクに関しては、四半期ごとに当社グループ内の移転価格モニタリングを行い、リスクが高いと判断されればリスク低減のため方策を講じております。また、商流の変更時や新規取引開始の際にも税務リスク分析を行い、必要に応じて対応を進めております。

租税法令またはその解釈運用の発効、施行、導入に伴うリスクに関しては、本社と各地域本社の間で情報交換を行い、各国の税制改正の情報を事前に把握し、当社グループへの影響を見極めることに努めております。

(9) 技術革新・新製品開発におけるリスク

当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあります。

また、当社グループでは、多種多様な製品を世界中の国・地域で開発・生産・販売しており、それら事業活動を通して得たデータは当社の資産と言えます。しかしながら、これらデータを適切に蓄積し、開発・営業・マーケティング部門と連携して魅力的な製品の開発・販売に活用できない場合には、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

新製品開発にあたっては、個々の開発テーマの開始、継続、終了までを関係機能参加のもとデータを活用しながら検討し、新製品の市場性を見極めて製品化を進めております。製品の企画、設計、試作、製造の各段階においては設計審査を通じて厳格なリスク評価を実施しています。また、セールス&マーケティング本部及び技術・知財本部CTOオフィスを中心とした全社横断体制での的確な市場動向の把握と全社技術戦略に基づく新製品開発への素早いフィードバックを図り、市場変化への対応を進めております。

さらに、コーポレートベンチャーキャピタル機能を担うTDK Venturesを通じて出資したベンチャー企業との協業により新技術の動向を早期に察知し、技術ロードマップを補強して新たな市場への進出に取り組んでおります。

(10) 価格競争に関するリスク

当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っております。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外の企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループの各事業において、高付加価値製品の創出により価格競争回避に努めるとともに、コストダウン施策を継続的に実施しております。また、全社的に資本効率及び収益性の向上を図り、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(11) 原材料等の調達におけるリスク

当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢によって悪影響を受ける場合があり、特に昨今の中東情勢の緊迫化といった地政学リスクの高まりにより、原油をはじめとするエネルギー資源や原材料の調達が困難になる可能性があります。これらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

原材料の調達リスク(供給の中断、停止、不足)については随時モニタリングを行い、関連事業部門と情報を共有化する一方、マルチソース化や長期供給契約の締結等によってリスク回避のための対策を進めております。

現地調達を進めている材料・装置・部材などについては、材料の源流調査の過程で知り得た商社のネットワークを利用して他国の状況把握に努める一方、他国からの調達可能性を調査検討しリスク回避に備えております。

紛争鉱物については、“責任ある鉱物調達”の枠組みに沿って精錬所調査を行っております。その他、サプライチェーンにおけるCSR遵守状況(人権、環境、安全衛生等)についても定期的に確認しております。

(12) 顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

当社グループは、主にエレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の強い引き下げ要請や、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

なお、2026年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は4,664億円(当社グループの連結売上高に対する比率は19%)です。

(主要な対応策)

当社側が当該顧客向け専用の設備投資をする場合に、一定量の製品買取責任を課す契約を締結する等リスクの低減を図っております。

業界再編の動きについては常に感度高く情報収集に努めるとともに、重要顧客が絡む業界再編の動きに対しては、当社が積極的に再編に関与することを含めた複数のシナリオを想定し、リスクの低減・回避を図っております。

(13) コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、GCCO(グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)及び日本のほか世界4地域のRCCO(リージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、TDKグループ行動規範を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。さらに、当社グループが定める社内規程やそれら規程に基づいた手順・プロセスに対しても、当社役員・従業員による遵守を徹底しております。当社グループでは、ガバナンス方針である“Empowerment & Transparency”(権限委譲と透明性の確保)に基づき、各グループ会社がそれぞれの個性を活かせるよう、グループの一員が最低限守るべきルールをまとめた「グローバル共通規程」を整備・運用し、本社部門により遵守状況をモニタリングしております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制や規程への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止や多額の課徴金・損害賠償の請求等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス・カルチャー醸成に向け、以下の活動を実施しております。

・当社グループのグループ・ガバナンス基本方針に基づいた「グローバル共通規程」の策定・運用、及び本社部門による各グループ会社の遵守状況のモニタリング

・外部専門家を活用した社内調査

・社長及び各グループ会社責任者からコンプライアンス徹底のメッセージを発出

・講義形式及びオンラインによる教育啓蒙の実施

・米国司法省の求める基準に基づく社内ルールの策定と運用

(14) 製品の品質に関するリスク

当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める基準に従い、多様な製品の品質マネジメントを行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保できるよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っている他、各拠点における生産現場での積極的なデジタル活用も推進しております。

しかしながら、品質上の不具合(規制物質含有やソフトウェア製品における脆弱性を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の不具合によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、品質不具合発生のリスク低減のために、設計、材料、プロセス、管理の視点から、様々な施策を実施しております。

特にICやソフトウェアを組み込んだ製品が増加していることから、IC解析技術の強化、ソフトウェア脆弱性対策の強化にも取り組んでおります。また、2026年9月より部分適用となる欧州サイバーレジリエンス法(CRA)への対応を図るべく運用体制の構築を進めています。

(15) 知的財産におけるリスク

当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤリティの支払が必要になることや、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

第三者が当社の知的財産を無断使用するケースに関しては、商取引ウェブサイトにおける当社ブランドの不正使用や模倣品販売を監視する仕組みを構築し運用しております。

一方、当社グループでは他者が所有する知的財産権を尊重することを全社知財方針として掲げ、製品開発においては事前に調査、予防、解決策を講じることによって知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでおります。

(16) 情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の技術情報を含む機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う製品の優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に備え、情報セキュリティ専門業者による脆弱性診断を実施し不具合があれば改善し、管理面ではNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術研究所)のフレームワークに基づき、当社グループ全体で情報セキュリティ体制の強化を推進しております。

当社グループ内部からの情報流出防止対策としては、機密データのフォルダ単位によるアクセス制限、AIを活用した不審なデータの送受信の検知、USBメモリ・SDカード等持ち出し可能媒体の使用制限や、退職予定者による当社グループの機密情報の持ち出し防止のための施策、従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また万が一、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、迅速に復旧するための体制をグローバルで強化しております。更には、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。また、当社グループ内の取り組みに加え、サプライヤー等の取引先からの情報流出を防ぐため、取引先に対して情報セキュリティ管理の改善支援を行い、サプライチェーン全体の情報セキュリティの管理レベルを向上させる取り組みも実施しております。

(17) 人財獲得と人財育成に関するリスク

当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の約89%となっております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人財及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

しかしながら、必要な人財を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人財獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは人財獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。

また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人財の定着を図っております。さらには、自律型人財やグローバル人財を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人財や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

(18) 新規市場・事業参入やM&A等に関するリスク

当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、持続的な成長を実現するため、既存事業における新規市場(地理的及び用途的)の参入や、新事業の参入に積極的に取り組んでおります。また、新規市場・事業参入に必要な技術や顧客資産などの獲得や、事業の競争力強化の上で、有効な手段となる場合はM&Aも積極的に活用しています。

新規市場・事業参入やM&A等に当たっては、事前に当社グループの事業ポートフォリオとの関連性や、関連する各国の法規制動向、M&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、市場や技術並びに法規制動向等の著しい変化等により、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、新規市場・事業参入やM&A等の際には、当社グループの目指すべき姿や成長戦略と整合しているか、また実現可能な事業計画であるか、関連する各国のリーガルリスクの所在やその対応状況などについて、事業部門や本社機能のみならず、必要な場合は外部専門家による検証を行っております。また、M&Aにおいては、買収後統合(PMI)を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、実施すべき事項とその達成時期の標準的なターゲットを定めております。

(19) 非金融資産の減損損失のリスク

当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界での競争優位性を確保及び確立するため、当社の創業時の事業であるフェライトの生産によって獲得した素材技術とプロセス技術を軸としつつ、時には事業の成長加速のためのM&Aも実施し、事業ポートフォリオを充実させて参りました。また、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産などの非金融資産を多額に有しております。多種多彩な事業や資産を持つことはリスク分散に繋がる一方、事業や資産のポートフォリオの効率性を継続的に改善できなかった場合は、当社グループの収益に多大な影響を及ぼす可能性があります。2026年3月31日現在、当社グループの、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産の総額は1兆5,365億円であり、そのうち179億円は高周波部品事業の有形固定資産であり、987億円はMEMSセンサ事業に配分されているのれんです。

有形固定資産、使用権資産及び特定の識別可能で耐用年数を確定できる無形資産については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額に基づく減損テストを実施しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年同じ時期に減損テストを実施しており、さらに減損の兆候が存在する場合は、その都度減損テストを実施しております。

かかるテストの結果、資産、資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、事業の収益性及び成長性を考慮した事業ポートフォリオ・マネジメントを導入し、選択と集中による投資判断を行い、将来の減損リスク発生を回避するよう努めております。

また、減損リスクの高い課題事業については、期初よりモニタリングを行い業績改善計画の進捗を確認、当該事業部門と本社部門が連携し事業収益性回復の可能性を検討します。

3【事業等のリスク】

当社グループは、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理する全社的リスクマネジメント(ERM)活動を実施しております。当社グループのリスクマネジメントの基本方針は、機会とリスクの適切な把握と対応により、グループ内の各組織が企業価値創造のための適切なリスクテイクを行うこと、及び企業価値の毀損を防止することの両立を図ることです。

このERM活動に関する施策を検討・実施し、リスクマネジメント活動を強化するため、社長が指名した執行役員を委員長とする経営会議の直接管理の委員会であるERM委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクマネジメント活動における各組織の役割を明確化し、リスクの識別~評価、対策の検討~実行~モニタリング、改善までの一連のリスク管理活動のPDCAサイクルの推進を行っております。これらリスクマネジメント活動は、取締役会および経営会議による監督に加え、経営監査グループのERM委員会会議へのオブザーバー参加、および常勤監査役による監査によって、適切に機能していることが確認されています。

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ステップ

活動の目的

リスクの識別

当社グループを取り巻くリスクを洗い出す

リスクの評価

洗い出したリスクのうち、発生した場合の当社グループへの影響の大きさの観点から、特に対策を強化すべきリスクを、経営層(トップダウン)、現場(ボトムアップ)双方の目線で絞り込み、対応優先度を定める

対策の検討

リスクの顕在化を防ぐため、回避、移転、低減、受容等の観点から対策を考える

対策の実行

対策を実行し、リスクの顕在化を防ぐ

モニタリング

対策が適切に機能しているか、顕在化の兆候がないか、をモニタリングする

改善

リスクマネジメント活動の結果の振り返り、及び改善を検討する

リスクの評価として、毎期、これまでに取られている対策によるコントロール後の残余リスクについて、経営リソースの三要素(ヒト、モノ、カネ)、内部・外部ステークホルダーとの関係、レピュテーション、及びBCPの観点から当社グループに対するインパクトの大きさを見積もり、さらにリスクの顕在化する可能性との組み合わせにより、残余リスクヒートマップを作成し、重要リスクを特定しております。これに加え、当期設定した当社グループの重要課題(マテリアリティ)を達成する施策の実行を阻害するリスクも抽出し、これも重要リスクとして特定しました。これら重要リスクのうち、社内の管理体制の充実により、リスクの顕在化する可能性を低減、または顕在化した場合の影響度を低減することが可能と考えられるリスクについては、各リスクオーナーおよびERM委員会がリスクに対する管理体制が十分であるかを評価しています。これらリスクの評価結果や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。また、期中においても、ヒートマップの妥当性について1回以上検証し、必要な場合は残余リスクの評価の見直しを行っております。

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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月19日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1)経済動向変化によるリスク

 当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国をはじめとするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しております。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 経済動向変化による当社グループの業績へのマイナス影響を最小限に留めるべく、製造拠点の最適化、設備投資計画の精査、本社業務効率の改善等の経営体質改善の各種施策を実施しております。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は92%に達し、取引通貨の多くは米ドル、ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで20億円の減益、ユーロは3億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 海外子会社と本社(日本)間の取引は原則として現地通貨で行うことで海外子会社の為替変動リスクを低減し、これを本社に集約し日本から包括的に為替予約等を行うことで為替変動リスクを低減することに努めております。海外子会社も必要に応じて為替予約等を活用し為替リスクを低減しております。また営業利益への為替影響額縮小の為、ドル建て購買、円・人民元建て販売取引を推進しております。

(3)金利変動によるリスク

 当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 支払利息の金利上昇リスクに対しては、社債や銀行借入による低利かつ固定金利の資金調達で、金利変動リスクの低減を図っております。受取利息の金利下落リスクに対しては、元本保証を重視し、運用は定期預金を主とし、金利動向を見ながら金利上昇局面では比較的短期の、金利下落局面では比較的長期の運用を行うことでリスクをコントロールしております。

(4)自然災害及び感染症によるリスク

 当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する備えとして、防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルスやその他の感染症の感染拡大によって、景気の悪化や、当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性も考えられます。

(主要な対応策)

 当社グループでは、有事の際に製造拠点が早急に生産を再開できるよう主要事業ごとにBCP(事業継続計画)の策定とBCM(事業継続マネジメント)活動の推進、定着化を進めており、同様に、営業や本社スタッフ機能においてもBCPを策定し、会社全体としての機能が停止しないような備えを有しております。災害発生時のサプライチェーン確保の面では、大規模な災害により業務継続できなくなった場合でも、BCPで定める手順に則り、供給者への支払いや部材の供給継続等の非常時優先業務について代替拠点での継続ができる準備を進めております。

 また、初動対応に関しては、全世界的に、有事の際の被害状況を迅速に把握する目的で、当社グループ海外現地法人と本社間で迅速に情報共有できるシステムを導入しております。

 感染症に関しては、当社グループ各事業所においては通常の感染対策体制を維持するとともに、感染拡大やクラスター発生時においては新型コロナ感染症対策で培った感染予防体制を実行してまいります。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は92%に達しております。

 対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の54%となっております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の約59%となっております。

 同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 国際的な事業活動におけるリスクに対しては、本社に設置したガバメントリレーション機能と米州、欧州、中国の各地域本社により各地域のリスク関連情報や各国法規制動向の把握及び分析を行っております。特に、近年の米中関係をはじめとするグローバルな地政学リスクについては、重要リスクと認識し対応を進めております。また、当社グループでは需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。こうした拠点戦略最適化を進めてはおりますが、中国依存度に関しては、当社グループが中国に保有する有形固定資産が、2024年3月期の3,812億円から2025年3月期は3,911億円と若干の増加となっています。

 ロシアのウクライナ侵攻への対応では、事変発生以来ロシア及びベラルーシでの事業活動凍結を継続しております。

(6)人権に関するリスク

 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、SDGsを一つの指標として、労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、RBA(Responsible Business Alliance)行動基準に則った自己評価や監査、トレーニングや対話を通じて、課題把握と継続的改善に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合等、これに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業からの撤退を余儀なくされたりするなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの人権問題に対する姿勢としてはTDK企業倫理綱領において人権の尊重にコミットしており、いかなる形の強制労働も明示的に禁止しております。また「TDKグループ人権ポリシー」において人権の尊重に向けた当社のアプローチを明示し、同ポリシーに従いサプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとのコミュニケーション等を実施しております。その過程で企業倫理綱領からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じます。

 また当社グループは、TDKグループの「重要課題(マテリアリティ)」の一つとして「社会・環境課題解決の遂行」を掲げ、その中のテーマに「人権の尊重」を設定し、グローバルに展開しております。自社製造拠点は本社サステナビリティ推進グループが主管となり、年1回のCSRセルフチェックと労働・企業倫理アセスメント及びCSR内部監査、第三者機関によるCSR監査を拠点ごとに頻度を決めて実施しております。特に児童労働防止への取り組みとして、上記に加え、高リスクエリアに所在する自社製造拠点と委託加工先に対し追加のセルフアセスメントを行っております。また人財本部が主管となって、強制労働抑止につながる労働時間管理の徹底をグローバルに推進しております。

 法令規則・規制の変更や強化に関しては、各国法令、社会情勢及び顧客の動向などに注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できる体制を整えリスク低減を図っております。

(7)気候変動を含む環境に関するリスク

 地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、2015年12月COP21で採択された「パリ協定」に代表されるように、気候変動への危機感は高まってきております。気候変動は当社グループにとって重要な課題であり、2019年5月に賛同を表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、環境担当役員が責任者となって気候変動関連情報の開示を進めるとともに、分析と対策を実施しております。

また、当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、製品に含有する化学物質など、様々な環境法令の規制を受けております。当社グループでは、これら法令を遵守し、事業活動を進めておりますが、環境規制が強化され、これに適応するための費用の増大が予想され、当社グループの財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

当社グループでは、近年、気候変動や資源循環と事業との調和に関して重要性を強く認識するとともに、それらを事業の機会とリスクと捉え、各取り組みを進めております。この他、世界的に大気・水質および土壌汚染防止の取り組みを取り巻く科学・規制・社会のそれぞれの分野で起きているもしくは起こりうる課題を把握し、サステナビリティ推進グループが中心となり、リスクと機会を整理した上で、重要事項に優先的に取り組み、PDCAサイクルを継続的に回し改善を目指しています。

なお、気候変動関連のリスクと機会、及び主な対応策については、第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組の<気候変動>に記載しております。

(8)税務に関するリスク

 当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、回収可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により回収可能性の評価を見直した場合、回収する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。

 上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 グループ会社間の国際取引におけるリスクに関しては、四半期ごとに当社グループ内の移転価格モニタリングを行い、リスクが高いと判断されればリスク低減のため方策を講じております。また、商流の変更時や新規取引開始の際にも税務リスク分析を行い、必要に応じて対応を進めております。

 租税法令またはその解釈運用の発効、施行、導入に伴うリスクに関しては、本社と各地域本社の間で情報交換を行い、各国の税制改正の情報を事前に把握し、当社グループへの影響を見極めることに努めております。

(9)技術革新・新製品開発におけるリスク

 当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあります。

 また、当社グループでは、多種多様な製品を世界中の国・地域で開発・生産・販売しており、それら事業活動を通して得たデータは当社の資産と言えます。しかしながら、これらデータを適切に蓄積し、開発・営業・マーケティング部門と連携して魅力的な製品の開発・販売に活用できない場合には、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 新製品開発にあたっては、個々の開発テーマの開始、継続、終了までを関係機能参加のもとデータを活用しながら検討し、新製品の市場性を見極めて製品化を進めております。製品の企画、設計、試作、製造の各段階においては設計審査を通じて厳格なリスク評価を実施しています。また、コーポレートマーケティング&インキュベーション本部を中心とした、全社横断体制での的確な市場動向の把握と新製品開発への素早いフィードバックを図り、市場変化への対応を進めております。

 さらに、2019年に設立したTDK Venturesを通じて出資したベンチャー企業との協業により新技術の動向を早期に察知し、技術ロードマップを補強して新たな市場への進出に取り組んでおります。

(10)価格競争に関するリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っております。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外の企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

 当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの各事業において、高付加価値製品の創出により価格競争回避に努めるとともに、コストダウン施策を継続的に実施しております。また、全社的に資本効率及び収益性の向上を図り、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(11)原材料等の調達におけるリスク

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

 しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢によって悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 原材料の調達リスク(供給の中断、停止、不足)については随時モニタリングを行い、関連事業部門と情報を共有化する一方、マルチソース化や長期供給契約の締結等によってリスク回避のための対策を進めております。

 現地調達を進めている材料・装置・部材などについては、材料の源流調査の過程で知り得た商社のネットワークを利用して他国の状況把握に努める一方、他国からの調達可能性を調査検討しリスク回避に備えております。

 紛争鉱物については、“責任ある鉱物調達”の枠組みに沿って精錬所調査を行っております。その他、サプライチェーンにおけるCSR遵守状況(人権、環境、安全衛生等)についても定期的に確認しております。

(12)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

 当社グループは、主にエレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

 多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の強い引き下げ要請や、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

 なお、2025年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は3,919億円(当社グループの連結売上高に対する比率は18%)です。

(主要な対応策)

 当社側が当該顧客向け専用の設備投資をする場合に、一定量の製品買取責任を課す契約を締結する等リスクの低減を図っております。

 業界再編の動きについては常に感度高く情報収集に努めるとともに、重要顧客が絡む業界再編の動きに対しては、当社が積極的に再編に関与することを含めた複数のシナリオを想定し、リスクの低減・回避を図っております。

(13)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、GCCO(グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)及び日本のほか世界4地域のRCCO(リージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。さらに、当社グループが定める社内規程やそれら規程に基づいた手順・プロセスに対しても、当社役員・従業員による遵守を徹底しております。当社グループでは、ガバナンス方針である‟Empowerment & Transparency”(権限移譲と透明性の確保)に基づき、各グループ会社がそれぞれの個性を活かせるよう、グループの一員が最低限守るべきルールをまとめた「グローバル共通規程」を整備・運用し、本社部門により遵守状況をモニタリングしております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制や規程への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止や多額の課徴金・損害賠償の請求等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス・カルチャー醸成に向け、以下の活動を実施しております。

 ・当社グループのガバナンス基本方針に基づいた「グローバル共通規程」の策定・運用、および本社部門による

  各グループ会社の遵守状況のモニタリング

 ・外部専門家を活用した社内調査

 ・社長及び各グループ会社責任者からコンプライアンス徹底のメッセージを発出

 ・講義形式及びオンラインによる教育啓蒙の実施

 ・米国司法省の求める基準に基づく社内ルールの策定と運用

(14)製品の品質に関するリスク

 当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める基準に従い、多様な製品の品質マネジメントを行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保できるよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っている他、各拠点における生産現場での積極的なデジタル活用も推進しております。

 しかしながら、品質上の不具合(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の不具合によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、品質不具合(規制物質含有を含む)発生のリスク低減のために、設計、材料、プロセス、管理の視点から、様々な施策を実施しております。

 特にICやソフトウェアを組み込んだ製品が増加していることから、IC解析技術の強化、ソフトウェア脆弱性対策の強化にも取り組んでおります。

(15)知的財産におけるリスク

 当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

 しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

 一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤリティの支払が必要になることや、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

 このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 第三者が当社の知的財産を無断使用するケースに関しては、商取引ウェブサイトにおける当社ブランドの不正使用や模倣品販売を監視する仕組みを構築し運用しております。

 一方、当社グループでは他者が所有する知的財産権を尊重することを全社知財方針として掲げ、製品開発においては事前に調査、予防、解決策を講じることによって知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでおります。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の技術情報を含む機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う製品の優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に備え、情報セキュリティ専門業者による脆弱性診断を実施し不具合があれば改善し、管理面ではNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術研究所)のフレームワークに基づき、当社グループ全体で情報セキュリティ体制の強化を推進しております。

 当社グループ内部からの情報流出防止対策としては、機密データのフォルダ単位によるアクセス制限、AIを活用した不審なデータの送受信の検知、USBメモリ・SDカード等持ち出し可能媒体の使用制限や、退職予定者による当社グループの機密情報の持ち出し防止のための施策、従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また万が一、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、迅速に復旧するための体制をグローバルで強化しております。更には、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。また、当社グループ内の取り組みに加え、サプライヤー等の取引先からの情報流出を防ぐため、取引先に対して情報セキュリティ管理の改善支援を行い、サプライチェーン全体の情報セキュリティの管理レベルを向上させる取り組みも実施しております。

(17)人財獲得と人財育成に関するリスク

 当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の約90%となっております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人財及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

 しかしながら、必要な人財を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人財獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは人財獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。特に日本においては、様々なタイプの学生や経験者へアプローチする機会を増やすため、新型コロナ感染症が拡大する以前からオンライン面談を採用活動の一環として取り入れていたため、コロナ禍の状況においてもスムーズに採用活動手段の転換ができております。

 また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人財の定着を図っております。さらには、自律型人財やグローバル人財を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人財や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

(18)新規市場・事業参入やM&A等に関するリスク

 当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、持続的な成長を実現するため、既存事業における新規市場(地理的および用途的)の参入や、新事業の参入に積極的に取り組んでおります。また、新規市場・事業参入に必要な技術や顧客資産などの獲得や、事業の競争力強化の上で、有効な手段となる場合はM&Aも積極的に活用しています。

 新規市場・事業参入やM&A等に当たっては、事前に当社グループの事業ポートフォリオとの関連性や、関連する各国の法規制動向、M&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、市場や技術並びに法規制動向等の著しい変化等により、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、新規市場・事業参入やM&A等の際には、当社グループの目指すべき姿や成長戦略と整合しているか、また実現可能な事業計画であるか、関連する各国のリーガルリスクの所在やその対応状況などについて、事業部門や本社機能のみならず、必要な場合は外部専門家による検証を行っております。また、M&Aにおいては、買収後統合(PMI)を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、実施すべき事項とその達成時期の標準的なターゲットを定めております。

(19)非金融資産の減損損失のリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界での競争優位性を確保及び確立するため、当社の創業時の事業であるフェライトの生産によって獲得した素材技術とプロセス技術を軸としつつ、時には事業の成長加速のためのM&Aも実施し、事業ポートフォリオを充実させて参りました。また、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産などの非金融資産を多額に有しております。多種多彩な事業や資産を持つことはリスク分散に繋がる一方、事業や資産のポートフォリオの効率性を継続的に改善できなかった場合は、当社グループの収益に多大な影響を及ぼす可能性があります。2025年3月31日現在、当社グループの、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産の総額は1兆3,174億円であり、そのうち1,267億円はHDD用ヘッド事業、276億円は高周波部品事業の有形固定資産であり、923億円はMEMSセンサ事業、201億円はHDD用ヘッド事業に配分されているのれんです。

 有形固定資産、使用権資産及び特定の識別可能で耐用年数を確定できる無形資産については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額に基づく減損テストを実施しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年同じ時期に減損テストを実施しており、さらに減損の兆候が存在する場合は、その都度減損テストを実施しております。

 かかるテストの結果、資産、資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、事業の収益性及び成長性を考慮した事業ポートフォリオ・マネジメントを導入し、選択と集中による投資判断を行い、将来の減損リスク発生を回避するよう努めております。

 また、減損リスクの高い課題事業については、期初よりモニタリングを行い業績改善計画の進捗を確認、該当事業部門と本社部門が連携し事業収益性回復の可能性を検討します。

3【事業等のリスク】

当社グループは、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理する全社的リスクマネジメント(ERM)活動を実施しております。当社グループのリスクマネジメントの基本方針は、機会とリスクの適切な把握と対応により、グループ内の各組織が企業価値創造のための適切なリスクテイクを行うこと、及び企業価値の毀損を防止することの両立を図ることです。

このERM活動に関する施策を検討・実施し、リスクマネジメント活動を強化するため、社長が指名した執行役員を委員長とする経営会議の直接管理の委員会であるERM委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクマネジメント活動における各組織の役割を明確化し、リスクの識別~評価、対策の検討~実行~モニタリング、改善までの一連のリスク管理活動のPDCAサイクルの推進を行っております。これらの活動は、取締役会および経営会議により監督されています。

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ステップ

活動の目的

リスクの識別

当社グループを取り巻くリスクを洗い出す

リスクの評価

洗い出したリスクのうち、発生した場合の当社グループへの影響の大きさの観点から、特に対策を強化すべきリスクを、経営層(トップダウン)、現場(ボトムアップ)双方の目線で絞り込み、対応優先度を定める

対策の検討

リスクの顕在化を防ぐため、回避、移転、低減、受容等の観点から対策を考える

対策の実行

対策を実行し、リスクの顕在化を防ぐ

モニタリング

対策が適切に機能しているか、顕在化の兆候がないか、をモニタリングする

改善

リスクマネジメント活動の結果の振り返り、及び改善を検討する

リスクの評価として、毎期、これまでに取られている対策によるコントロール後の残余リスクについて、経営リソースの三要素(ヒト、モノ、カネ)、内部・外部ステークホルダーとの関係、レピュテーション、及びBCPの観点から当社グループに対するインパクトの大きさを算定し、さらにリスクの顕在化する可能性との組み合わせにより、残余リスクヒートマップを作成し、リスクの対策優先度を可視化・評価しております。これらリスクの評価結果や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。また、期中においても、ヒートマップの妥当性について1回以上検証し、必要な場合は残余リスクの評価の見直しを行っております。

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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1)経済動向変化によるリスク

 当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国をはじめとするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しております。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 経済動向変化による当社グループの業績へのマイナス影響を最小限に留めるべく、製造拠点の最適化、設備投資計画の精査、本社業務効率の改善等の経営体質改善の各種施策を実施しております。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くは米ドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで20億円の減益、ユーロは6億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 海外子会社と本社(日本)間の取引は原則として現地通貨で行うことで海外子会社の為替変動リスクを低減し、これを本社に集約し日本から包括的に為替予約等を行うことで為替変動リスクを低減することに努めております。海外子会社も必要に応じて為替予約等を活用し為替リスクを低減しております。また営業利益への為替影響額縮小の為、ドル建て購買、円・人民元建て販売取引を推進しております。

(3)金利変動によるリスク

 当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 支払利息の金利上昇リスクに対しては、社債や銀行借入による低利かつ固定金利の資金調達で、金利変動リスクの低減を図っております。受取利息の金利下落リスクに対しては、元本保証を重視し、運用は定期預金を主とし、金利動向を見ながら金利上昇局面では比較的短期の、金利下落局面では比較的長期の運用を行うことでリスクをコントロールしております。

(4)自然災害及び感染症によるリスク

 当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する備えとして、防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルスやその他の感染症の感染拡大によって、景気の悪化や、当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性も考えられます。

(主要な対応策)

 当社グループでは、有事の際に製造拠点が早急に生産を再開できるよう主要事業ごとにBCP(事業継続計画)の策定とBCM(事業継続マネジメント)活動の推進、定着化を進めており、同様に、営業や本社スタッフ機能においてもBCPを策定し、会社全体としての機能が停止しないような備えを有しております。災害発生時のサプライチェーン確保の面では、大規模な災害により業務継続できなくなった場合でも、BCPで定める手順に則り、供給者への支払いや部材の供給継続等の非常時優先業務について代替拠点での継続ができる準備を進めております。

 また、初動対応に関しては、全世界的に、有事の際の被害状況を迅速に把握する目的で、当社グループ海外現地法人と本社間で迅速に情報共有できるシステムを導入しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症に関しては、世界的に新型コロナ関連の規制が撤廃や緩和されており、今後は世の中の「ウィズコロナ」の定着とともに、当社グループ各事業所においても通常の感染対策体制を維持するとともに、クラスター発生時においては新型コロナ感染症対策で培った感染予防体制を実行してまいります。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えております。

 対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の50%を超えております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の約59%となっております。

 同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 国際的な事業活動におけるリスクに対しては、本社に設置したガバメントリレーション機能と米州、欧州、中国の各地域本社により各地域のリスク関連情報や各国法規制動向の把握及び分析を行っております。特に、近年の米中関係をはじめとするグローバルな地政学リスクについては、重要リスクと認識し対応を進めております。また、当社グループでは需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。こうした拠点戦略最適化を進める中、中国依存度に関しては、当社グループが中国に保有する有形固定資産は、2023年3月期の4,164億円から2024年3月期には3,812億円へ減少しております。

 ロシアのウクライナ侵攻への対応では、事変発生以来ロシア及びベラルーシでの事業活動凍結を継続しております。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、SDGsを一つの指標として、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、RBA(Responsible Business Alliance)行動基準に則った自己評価や監査、トレーニングや対話を通じて、課題把握と継続的改善に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合等、これに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業からの撤退を余儀なくされたりするなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの人権問題に対する姿勢としてはTDK企業倫理綱領において人権の尊重にコミットしており、いかなる形の強制労働も明示的に禁止しております。また「TDKグループ人権ポリシー」において人権の尊重に向けた当社のアプローチを明示し、同ポリシーに従いサプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとのコミュニケーション等を実施しております。その過程で企業倫理綱領からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じます。

 また当社グループは、TDKグループの「重要課題(マテリアリティ)」の一つとして「社会・環境課題解決の遂行」を掲げ、その中のテーマに「人権の尊重」を設定し、グローバルに展開しております。自社製造拠点は本社サステナビリティ推進本部が主管となり、年1回のCSRセルフチェックと労働・企業倫理アセスメント及びCSR内部監査、第三者機関によるCSR監査を拠点ごとに頻度を決めて実施しております。特に児童労働防止への取り組みとして、上記に加え、高リスクエリアに所在する自社製造拠点と委託加工先に対し追加のセルフアセスメントを行っております。また人財本部が主管となって、強制労働抑止につながる労働時間管理の徹底をグローバルに推進しております。
 法令規則・規制の変更や強化に関しては、各国法令、環境法規制、社会情勢及び顧客の動向などに注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できる体制を整えリスク低減を図っております。

(7)気候変動に関するリスク

 地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、2015年12月COP21で採択された「パリ協定」に代表されるように、気候変動への危機感は高まってきております。気候変動は当社グループにとって重要な課題であり、2019年5月に賛同を表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、環境担当役員が責任者となって気候変動関連情報の開示を進めるとともに、分析と対策を実施しております。気候変動に関するリスクとしては、以下に示すような移行リスクと物理リスクがあり、これらのリスクが現実化した場合には、当社グループの財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

「移行リスク」(政策及び規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスク)

・世界各地での炭素税の導入やその他環境関連法規制の強化による費用の増加

・再生可能エネルギー比率の増大に伴うエネルギー調達コストの増加

「物理リスク」(気候変動がもたらす災害等の直接的損失リスク)

・台風の大型化や突発的な豪雨による想定外の洪水の発生による設備や生産の回復費用の発生

 一方で、当社グループは、再生可能エネルギーの創出に貢献する製品や、最終製品での消費エネルギー削減に貢献する製品を多く製造、販売しており、気候変動リスクに対する社会の関心が高まることは、それら製品の需要の拡大の機会であると考えております。このため、GXを注力する事業領域と位置付けております。

(主要な対応策)

移行リスクについては、「2050年CO2ネットゼロ実現に向けた、エネルギーの有効利用と再生可能エネルギーの利用拡大」をテーマの一つとして掲げ、製造拠点の生産性改善によるエネルギー効率の強化及び再生可能エネルギー利用の拡大を行っております。この中間目標として、2025年度までにグローバルでの再生可能エネルギー導入率を50%にすることを全社目標とし、具体的な取り組みを推進しております。

物理リスクについては、想定を超えた自然災害が発生しやすくなってきており、リスクのさらなる分析を進め特定したリスクについてはBCP(事業継続計画)の一環として対応しております。

(8)税務に関するリスク

 当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、回収可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により回収可能性の評価を見直した場合、回収する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。

 上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 グループ会社間の国際取引におけるリスクに関しては、四半期ごとに当社グループ内の移転価格モニタリングを行い、リスクが高いと判断されればリスク低減のため方策を講じております。また、商流の変更時や新規取引開始の際にも税務リスク分析を行い、必要に応じて対応を進めております。

 租税法令またはその解釈運用の発効、施行、導入に伴うリスクに関しては、本社と各地域本社の間で情報交換を行い、各国の税制改正の情報を事前に把握し、当社グループへの影響を見極めることに努めております。

(9)技術革新・新製品開発におけるリスク

 当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあります。

 また、当社グループでは、多種多様な製品を世界中の国・地域で開発・生産・販売しており、それら事業活動を通して得たデータは当社の資産と言えます。しかしながら、これらデータを適切に蓄積し、開発・営業・マーケティング部門と連携して魅力的な製品の開発・販売に活用できない場合には、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 新製品開発にあたっては、個々の開発テーマの開始、継続、終了までを関係機能参加のもとデータを活用しながら検討し、新製品の市場性を見極めて製品化を進めております。また、コーポレートマーケティング&インキュベーション本部を中心とした、全社横断体制での的確な市場動向の把握と新製品開発への素早いフィードバックを図り、市場変化への対応を進めております。

 さらに、2019年に設立したTDK Venturesを通じて出資したベンチャー企業との協業により新技術の動向を早期に察知し、技術ロードマップを補強して新たな市場への進出に取り組んでおります。

(10)価格競争に関するリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っております。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外の企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

 当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの各事業において、高付加価値製品の創出により価格競争回避に努めるとともに、コストダウン施策を継続的に実施しております。また、全社的に資本効率及び収益性の向上を図り、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(11)原材料等の調達におけるリスク

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

 しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 原材料の調達リスク(供給の中断、停止、不足)については随時モニタリングを行い、関連事業部門と共有化する一方、マルチソース化や長期供給契約の締結等によってリスク回避のための対策を進めております。

 現地調達を進めている材料・装置・部材などについては、材料の源流調査の過程で知り得た商社のネットワークを利用して他国の状況把握に努める一方、他国からの調達可能性を調査検討しリスク回避に備えております。

 紛争鉱物については、“責任ある鉱物調達”の枠組みに沿って精錬所調査を行っております。その他、サプライチェーンにおけるCSR遵守状況(人権、環境、安全衛生等)についても定期的に確認しております。

(12)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

 当社グループは、主にエレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

 多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の強い引き下げ要請や、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

 なお、2024年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は3,538億円(当社グループの連結売上高に対する比率は17%)です。

(主要な対応策)

 当社側が当該顧客向け専用の設備投資をする場合に、一定量の製品買取責任を課す契約を締結する等リスクの低減を図っております。

 業界再編の動きについては常に感度高く情報収集に努めるとともに、重要顧客が絡む業界再編の動きに対しては、当社が積極的に再編に関与することを含めた複数のシナリオを想定し、リスクの低減・回避を図っております。

(13)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、GCCO(グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)及び日本のほか世界4地域のRCCO(リージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。さらに、当社グループが定める社内規程やそれら規程に基づいた手順・プロセスに対しても、当社役員・従業員による遵守を徹底しております。当社グループでは、ガバナンス基本方針である‟Empowerment & Transparency”(権限移譲と透明性の確保)に基づき、各グループ会社がそれぞれの個性を活かせるよう、グループの一員が最低限守るべきルールをまとめた「グローバル共通規程」を整備・運用し、本社部門により遵守状況をモニタリングしております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制や規程への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止や多額の課徴金・損害賠償の請求等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス・カルチャー醸成に向け、以下の活動を実施しております。

 ・当社グループのガバナンス基本方針に基づいた「グローバル共通規程」の策定・運用、および本社部門による

  各グループ会社の遵守状況のモニタリング

 ・外部専門家を活用した社内調査

 ・社長及び各グループ会社責任者からコンプライアンス徹底のメッセージを発出

 ・講義形式及びオンラインによる教育啓蒙の実施

 ・米国司法省の求める基準に基づく社内ルールの策定と運用

(14)製品の品質に関するリスク

 当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める基準に従い、多様な製品の品質マネジメントを行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保できるよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っている他、各拠点における生産現場での積極的なデジタル活用も推進しております。

 しかしながら、品質上の不具合(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の不具合によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、品質不具合(規制物質含有を含む)発生のリスク低減のために、設計、材料、プロセス、管理の視点から、様々な施策を実施しております。

 特にICやソフトウェアを組み込んだ製品が増加していることから、IC解析技術の強化、ソフトウェア脆弱性対策の強化にも取り組んでおります。

(15)知的財産におけるリスク

 当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

 しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

 一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤリティの支払が必要になることや、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

 このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 第三者が当社の知的財産を無断使用するケースに関しては、商取引ウェブサイトにおける当社ブランドの不正使用や模倣品販売を監視する仕組みを構築し運用しております。

 一方、当社グループでは他者が所有する知的財産権を尊重することを全社知財方針として掲げ、製品開発においては事前に調査、予防、解決策を講じることによって知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでおります。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の技術情報を含む機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う製品の優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に備え、情報セキュリティ専門業者による脆弱性診断を実施し不具合があれば改善し、管理面ではNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術研究所)のフレームワークに基づき、当社グループ全体で情報セキュリティ体制の強化を推進しております。

 当社グループ内部からの情報流出防止対策としては、機密データのフォルダ単位によるアクセス制限、AIを活用した不審なデータの送受信の検知、USBメモリ・SDカード等持ち出し可能媒体の使用制限や、退職予定者による当社グループの機密情報の持ち出し防止のための施策、従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また万が一、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、迅速に復旧にするための体制をグローバルで強化しております。更には、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。また、当社グループ内の取り組みに加え、サプライヤー等の取引先からの情報流出を防ぐため、取引先に対して情報セキュリティ管理の改善支援を行い、サプライチェーン全体の情報セキュリティの管理レベルを向上させる取り組みも実施しております。

(17)人財獲得と人財育成に関するリスク

 当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の約90%となっております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人財及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

 しかしながら、必要な人財を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人財獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは人財獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。特に日本においては、様々なタイプの学生や経験者へアプローチする機会を増やすため、新型コロナ感染症が拡大する以前からオンライン面談を採用活動の一環として取り入れていたため、コロナ禍の状況においてもスムーズに採用活動手段の転換ができております。

 また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人財の定着を図っております。さらには、自律型人財やグローバル人財を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人財や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

(18)新規市場・事業参入やM&A等に関するリスク

 当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、持続的な成長を実現するため、既存事業における新規市場(地理的および用途的)の参入や、新事業の参入に積極的に取り組んでおります。また、新規市場・事業参入に必要な技術や顧客資産などの獲得や、事業の競争力強化の上で、有効な手段となる場合はM&Aも積極的に活用しています。

 新規市場・事業参入やM&A等に当たっては、事前に当社グループの事業ポートフォリオとの関連性や、関連する各国の法規制動向、M&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、市場や技術並びに法規制動向等の著しい変化等により、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、新規市場・事業参入やM&A等の際には、当社グループの目指すべき姿や成長戦略と整合しているか、また実現可能な事業計画であるか、関連する各国のリーガルリスクの所在やその対応状況などについて、事業部門や本社機能のみならず、必要な場合は外部専門家による検証を行っております。また、M&Aにおいては、買収後統合(PMI)を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、実施すべき事項とその達成時期の標準的なターゲットを定めております。

(19)非金融資産の減損損失のリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界での競争優位性を確保及び確立するため、当社の創業時の事業であるフェライトの生産によって獲得した素材技術とプロセス技術を軸としつつ、時には事業の成長加速のためのM&Aも実施し、事業ポートフォリオを充実させて参りました。また、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産などの非金融資産を多額に有しております。多種多彩な事業や資産を持つことはリスク分散に繋がる一方、事業や資産のポートフォリオの効率性を継続的に改善できなかった場合は、当社グループの収益に多大な影響を及ぼす可能性があります。2024年3月31日現在、当社グループの、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産の総額は1兆2,879億円であり、そのうち1,154億円はHDD用ヘッド事業の有形固定資産であり、934億円はMEMSセンサ事業、204億円はHDD用ヘッド事業に配分されているのれんです。

 有形固定資産、使用権資産及び特定の識別可能で耐用年数を確定できる無形資産については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額に基づく減損テストを実施しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年同じ時期に減損テストを実施しており、さらに減損の兆候が存在する場合は、その都度減損テストを実施しております。

 かかるテストの結果、資産、資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、事業の収益性及び成長性を考慮した事業ポートフォリオ・マネジメントを導入し、選択と集中による投資判断を行い、将来の減損リスク発生を回避するよう努めております。

 また、減損リスクの高い課題事業については、期初よりモニタリングを行い業績改善計画の進捗を確認、該当事業部門と本社部門が連携し事業収益性回復の可能性を検討します。

3【事業等のリスク】

当社グループは、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理する全社的リスクマネジメント(ERM)活動を実施しております。当社グループのリスクマネジメントの基本方針は、機会とリスクの適切な把握と対応により、グループ内の各組織が企業価値創造のための適切なリスクテイクを行うこと、かつ企業価値の毀損を防止することの両立を図ることです。

このERM活動に関する施策を検討・実施し、リスクマネジメント活動を強化するため、社長が指名した執行役員を委員長とするERM委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクマネジメント活動における各組織の役割を明確化し、リスクの識別~評価、対策の検討~実行~モニタリング、改善までの一連のリスク管理活動のPDCAサイクルの推進を行っております。

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ステップ

活動の目的

リスクの識別

当社グループを取り巻くリスクを洗い出す

リスクの評価

洗い出したリスクのうち、発生した場合の当社グループへの影響の大きさの観点から、特に対策を強化すべきリスクを、経営層(トップダウン)、現場(ボトムアップ)双方の目線で絞り込み、対応優先度を定める

対策の検討

リスクの顕在化を防ぐため、回避、移転、低減、受容等の観点から対策を考える

対策の実行

対策を実行し、リスクの顕在化を防ぐ

モニタリング

対策が適切に機能しているか、顕在化の兆候がないか、をモニタリングする

改善

リスクマネジメント活動の結果の振り返り、及び改善を検討する

リスクの評価として、毎期、これまでに取られている対策によるコントロール後の残余リスクについて、経営リソースの三要素(ヒト、モノ、カネ)、内部・外部ステークホルダーとの関係、レピュテーション、及びBCPの観点から当社グループに対するインパクトの大きさを算定し、さらにリスクの顕在化する可能性との組み合わせにより、残余リスクヒートマップを作成し、リスクの対策優先度を可視化・評価しております。これらリスクの評価結果や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。また、期中においても、ヒートマップの妥当性について1回以上検証し、必要な場合は残余リスクの評価の見直しを行っております。

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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1)経済動向変化によるリスク

 当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しております。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 経済動向変化による当社グループの業績へのマイナス影響を最小限に留めるべく、資本効率の向上を中期重点課題の1つとして取り上げ、そのための施策(製造拠点の最適化、設備投資計画の精査、本社業務効率の改善等)を実施しております。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くは米ドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで20億円の減益、ユーロは6億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 海外子会社と本社(日本)間の取引は原則として現地通貨で行うことで海外子会社の為替変動リスクを低減し、これを本社に集約し日本から包括的に為替予約等を行うことで為替変動リスクを低減することに努めております。海外子会社も必要に応じて為替予約等を活用し為替リスクを低減しております。また営業利益への為替影響額縮小の為、ドル建て購買、円・人民元建て販売取引を推進しております。

(3)金利変動によるリスク

 当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 支払利息の金利上昇リスクに対しては、社債や銀行借入による低利かつ固定金利の資金調達で、金利変動リスクの低減を図っております。受取利息の金利下落リスクに対しては、元本保証を重視し、運用は定期預金を主とし、金利動向を見ながら金利上昇局面では比較的短期の、金利下落局面では比較的長期の運用を行うことでリスクをコントロールしております。

(4)自然災害及び感染症によるリスク

 当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する備えとして、防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、一方、想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルスやその他の感染症の感染拡大によって、景気の悪化や、当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性も考えられます。

(主要な対応策)

 当社グループでは、有事の際に製造拠点が早急な生産再開をできるよう主要事業ごとにBCP(事業継続計画)の策定とBCM(事業継続マネジメント)活動の推進、定着化を進めており、同様に、営業や本社スタッフ機能においてもBCPを策定し、会社全体としての機能が停止しないような備えを有しております。災害発生時のサプライチェーン確保の面では、大規模な災害により業務継続できなくなった場合でも、BCPで定める手順に則り、供給者への支払いや部材の供給継続等の非常時優先業務について代替拠点での継続ができる準備を進めております。

 また、初動対応に関しては、全世界的に、有事の際の被害状況を迅速に把握する目的で、当社グループ海外現地法人と本社間で迅速に情報共有できるシステムを導入しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症に関しては、世界的に新型コロナ関連の規制が撤廃や緩和されており、今後は世の中の「ウィズコロナ」の定着とともに、当社グループ各事業所においても通常の感染対策体制を維持するとともに、クラスター発生時においては新型コロナ感染症対策で培った感染予防体制を実行してまいります。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えております。

 対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の50%を超えております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の約60%となっております。

 同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 国際的な事業活動におけるリスクに対しては、本社に設置したガバメントリレーション機能と米州、欧州、中国の各地域本社により各地域のリスク関連情報や各国法規制動向の把握及び分析を行っております。特に、近年の米中関係をはじめとするグローバルな地政学リスクについては、重要リスクと認識し対応を進めております。また、当社グループでは需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。こうした拠点戦略最適化を進める中、中国依存度に関しては、当社グループが中国に保有する有形固定資産は、2022年3月期の5,063億円から2023年3月期には4,164億円へ減少しております。

 ロシアのウクライナ侵攻への対応では、事変発生以来ロシア及びベラルーシでの事業活動凍結を継続しております。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、SDGsを一つの指標として、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、RBA(Responsible Business Alliance)行動基準に則った自己評価や監査、トレーニングや対話を通じて、課題把握と継続的改善に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合等、これに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業からの撤退を余儀なくされたりするなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの人権問題に対する姿勢としてはTDK企業倫理綱領において人権の尊重にコミットしており、いかなる形の強制労働も明示的に禁止しております。また「TDKグループ人権ポリシー」において人権の尊重に向けた当社のアプローチを明示し、同ポリシーに従いサプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとのコミュニケーション等を実施しております。その過程で企業倫理綱領からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じます。

 また当社グループは、「TDKグループのマテリアリティ(重要課題)」の一つとして「サプライチェーンマネジメント」を掲げ、 その中のテーマに「責任ある資材調達」と「サプライチェーンにおける社会・環境配慮」を設定し、グローバルに展開しております。自社製造拠点は本社CSRグループが主管となり、年1回のCSRセルフチェックと労働・企業倫理アセスメント及びCSR内部監査、第三者機関によるCSR監査を拠点ごとに頻度を決めて実施しております。特に児童労働防止への取り組みとして、上記に加え、高リスクエリアに所在する自社製造拠点と委託加工先に対し追加のセルフアセスメントを行っております。また人財本部が主管となって、強制労働抑止につながる労働時間管理の徹底をグローバルに推進しております。
 法令規則・規制の変更や強化に関しては、各国法令、環境法規制、社会情勢及び顧客の動向などに注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できる体制を整えリスク低減を図っております。

(7)気候変動に関するリスク

 地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、2015年12月COP21で採択された「パリ協定」に代表されるように、気候変動への危機感は高まってきております。気候変動は当社グループにとって重要な課題であり、2019年5月に賛同を表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、環境担当役員が責任者となって気候変動関連情報の開示を進めるとともに、分析と対策を実施しております。気候変動に関するリスクとしては、以下に示すような移行リスクと物理リスクがあり、これらのリスクが現実化した場合には、当社グループの財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

「移行リスク」(政策及び規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスク)

・世界各地での炭素税の導入やその他環境関連法規制の強化による費用の増加

・再生可能エネルギー比率の増大に伴うエネルギー調達コストの増加

「物理リスク」(気候変動がもたらす災害等の直接的損失リスク)

・台風の大型化や突発的な豪雨による想定外の洪水の発生による設備や生産の回復費用の発生

 一方で、当社グループは、再生可能エネルギーの創出に貢献する製品や、最終製品での消費エネルギー削減に貢献する製品を多く製造、販売しており、気候変動リスクに対する社会の関心が高まることは、それら製品の需要の拡大の機会であると考えております。このため「TDKグループのマテリアリティ(重要課題)」の一つとして、「電子デバイスでムダ熱とノイズを最小化し、エネルギー・環境問題に貢献」することを掲げ、EX(エネルギー・トランスフォーメーション)を注力する事業領域と位置付けております。

(主要な対応策)

移行リスクについては、「2050年CO2ネットゼロ実現に向けた、エネルギーの有効利用と再生可能エネルギーの利用拡大」をテーマの一つとして掲げ、製造拠点の生産性改善によるエネルギー効率の強化及び再生可能エネルギー利用の拡大を行っております。この中間目標として、2025年度までにグローバルでの再生可能エネルギー導入率を50%にすることを全社目標とし、具体的な取り組みを推進しております。

物理リスクについては、想定を超えた自然災害が発生しやすくなってきており、リスクのさらなる分析を進め特定したリスクについてはBCP(事業継続計画)の一環として対応しております。

(8)税務に関するリスク

 当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、回収可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により回収可能性の評価を見直した場合、回収する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。

 上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 グループ会社間の国際取引におけるリスクに関しては、四半期ごとに当社グループ内の移転価格モニタリングを行い、リスクが高いと判断されればリスク低減のため方策を講じております。また、商流の変更時や新規取引開始の際にも税務リスク分析を行い、必要に応じて対応を進めております。

 租税法令またはその解釈運用の発効、施行、導入に伴うリスクに関しては、本社と各地域本社の間で情報交換を行い、各国の税制改正の情報を事前に把握し、当社グループへの影響を見極めることに努めております。

(9)技術革新・新製品開発におけるリスク

 当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあります。

 また、当社グループでは、多種多様な製品を世界中の国・地域で開発・生産・販売しており、それら事業活動を通して得たデータは当社の資産と言えます。しかしながら、これらデータを適切に蓄積し、開発・営業・マーケティング部門と連携して魅力的な製品の開発・販売に活用できない場合には、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 新製品開発にあたっては、個々の開発テーマの開始、継続、終了までを関係機能参加のもとデータを活用しながら検討し、新製品の市場性を見極めて製品化を進めております。また、2021年4月よりコーポレートマーケティング機能を組織化し、全社横断体制での的確な市場動向の把握と新製品開発への素早いフィードバックを図り、市場変化への対応を進めております。

 さらに、2019年に設立したTDK Venturesを通じて出資したベンチャー企業との協業により新技術の動向を早期に察知し、技術ロードマップを補強して新たな市場への進出に取り組んでおります。

(10)価格競争に関するリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っております。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外の企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

 当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの各事業において、高付加価値製品の創出により価格競争回避に努めるとともに、コストダウン施策を継続的に実施しております。また、全社的に資本効率及び収益性の向上を図り、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(11)原材料等の調達におけるリスク

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

 しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 原材料の調達リスク(供給の中断、停止、不足)については随時モニタリングを行い、関連事業部門と共有化する一方、マルチソース化や長期供給契約の締結等によってリスク回避のための対策を進めております。

 現地調達を進めている材料・装置・部材などについては、材料の源流調査の過程で知り得た商社のネットワークを利用して他国の状況把握に努める一方、他国からの調達可能性を調査検討しリスク回避に備えております。

 紛争鉱物については、“責任ある鉱物調達”の枠組みに沿って精錬所調査を行っております。その他、サプライチェーンにおけるCSR遵守状況(人権、環境、安全衛生等)についても定期的に確認しております。

(12)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

 当社グループは、主にエレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

 多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の強い引き下げ要請や、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

 なお、2023年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は3,927億円(当社グループの連結売上高に対する比率は18%)です。

(主要な対応策)

 当社側が当該顧客向け専用の設備投資をする場合に、一定量の製品買取責任を課す契約を締結する等リスクの低減を図っております。

 業界再編の動きについては常に感度高く情報収集に努めるとともに、重要顧客が絡む業界再編の動きに対しては、当社が積極的に再編に関与することを含めた複数のシナリオを想定し、リスクの低減・回避を図っております。

(13)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、GCCO(グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)及び日本のほか世界4地域のRCCO(リージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス・カルチャー醸成に向け、以下の活動を実施しております。

 ・外部専門家を活用した社内調査

 ・社長及び各グループ会社責任者からコンプライアンス徹底のメッセージを発出

 ・講義形式及びオンラインによる教育啓蒙の実施

 ・米国司法省の求める基準に基づく社内ルールの策定と運用

(14)製品の品質に関するリスク

 当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める基準に従い、多様な製品の品質マネジメントを行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保できるよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っている他、各拠点における生産現場での積極的なデジタル活用も推進しております。

 しかしながら、品質上の不具合(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の不具合によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、品質不具合(規制物質含有を含む)発生のリスク低減のために、設計、材料、プロセス、管理の視点から、様々な施策を実施しております。

 特にICやソフトウェアを組み込んだ製品が増加していることから、IC解析技術の強化、ソフトウェア脆弱性対策の強化にも取り組んでおります。

(15)知的財産におけるリスク

 当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

 しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

 一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤリティの支払が必要になることや、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

 このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 第三者が当社の知的財産を無断使用するケースに関しては、商取引ウェブサイトにおける当社ブランドの不正使用や模倣品販売を監視する仕組みを構築し運用しております。

 一方、当社グループでは他者が所有する知的財産権を尊重することを全社知財方針として掲げ、製品開発においては事前に調査、予防、解決策を講じることによって知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでおります。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の技術情報を含む機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う製品の優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に備え、情報セキュリティ専門業者による脆弱性診断を実施し不具合があれば改善し、管理面ではNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術研究所)のフレームワークに基づき、当社グループ全体で情報セキュリティ体制の強化を推進しております。

 当社グループ内部からの情報流出防止対策としては、機密データのフォルダ単位によるアクセス制限、AIを活用した不審なデータの送受信の検知、USBメモリ・SDカード等持ち出し可能媒体の使用制限や、退職予定者による当社グループの機密情報の持ち出し防止のための施策、従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また万が一、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、迅速に復旧にするための体制をグローバルで強化しております。更には、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。また、当社グループ内の取り組みに加え、サプライヤー等の取引先からの情報流出を防ぐため、取引先に対して情報セキュリティ管理の改善支援を行い、サプライチェーン全体の情報セキュリティの管理レベルを向上させる取り組みも実施しております。

(17)人材獲得と人材育成に関するリスク

 当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の約90%となっております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人材及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

 しかしながら、必要な人材を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。特に日本においては、様々なタイプの学生や経験者へアプローチする機会を増やすため、新型コロナ感染症が拡大する以前からオンライン面談を採用活動の一環として取り入れていたため、コロナ禍の状況においてもスムーズに採用活動手段の転換ができております。

 また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を図っております。さらには、自律型人材やグローバル人材を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人材や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

(18)M&Aにおけるリスク

 当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を向上させるために必要な技術やその他の要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するといった効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

 M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合や、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 個々のM&A案件について、当社グループの目指すべき姿や成長戦略と整合しているか、また実現可能な事業計画であるかを、社外取締役が1/3以上を占める取締役会において様々な視点から検証し決定しております。また、買収後統合を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、買収後統合において実施すべき事項とその達成時期の標準的なターゲットを定めております。

(19)有形固定資産、のれん及び無形資産の減損損失のリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界での競争優位性を確保及び確立するため、当社の創業時の事業であるフェライトの生産によって獲得した素材技術とプロセス技術を軸としつつ、時には事業の成長加速のためのM&Aも実施し、事業ポートフォリオを充実させて参りました。また、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、有形固定資産、のれん及び無形資産などの資産を多額に有しております。多種多彩な事業や資産を持つことはリスク分散に繋がる一方、事業や資産のポートフォリオの効率性を継続的に改善できなかった場合は、当社グループの収益に多大な影響を及ぼす可能性があります。2023年3月31日現在、当社グループの、有形固定資産、のれん及び無形資産の総額は1兆1,410億円であり、そのうち944億円はHDD用ヘッド事業の有形固定資産であり、824億円はMEMSセンサ事業、180億円はHDD用ヘッド事業に配分されているのれんです。

 有形固定資産及び特定の識別可能で耐用年数を確定できる無形資産については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額に基づく減損テストを実施しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年同じ時期に減損テストを実施しており、さらに減損の兆候が存在する場合は、その都度減損テストを実施しております。

 かかるテストの結果、資産、資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、事業の収益性及び成長性を考慮した事業ポートフォリオ・マネジメントを導入し、選択と集中による投資判断を行い、将来の減損リスク発生を回避するよう努めております。

 また、減損リスクの高い課題事業については、期初よりモニタリングを行い業績改善計画の進捗を確認、該当事業部門と本社部門が連携し事業収益性回復の可能性を検討します。

2【事業等のリスク】

当社は、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理するために、ERM*委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクの分析評価を行い、部門横断的に対応が必要なリスクの特定、関連部門と連携した対策の導入等、全社的リスクマネジメントを推進しております。リスク分析評価や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。(*ERM:Enterprise Risk Management)

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1)経済動向変化によるリスク

 当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 経済動向変化による当社グループの業績へのマイナス影響を最小限に留めるべく、資本効率の向上を中期重点課題の1つとして取り上げ、そのための施策(製造拠点の最適化、設備投資計画の精査、本社業務効率の改善等)を実施しています。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くは米ドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで12億円の減益、ユーロは2億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 海外子会社と本社(日本)間の取引は原則として現地通貨で行うことで海外子会社の為替変動リスクを低減し、これを本社に集約し日本から包括的に為替予約等を行うことで為替変動リスクを低減することに努めています。海外子会社も必要に応じて為替予約等を活用し為替リスクを低減しています。また営業利益への為替影響額縮小の為、ドル建て購買、円・人民元建て販売取引を推進しています。

(3)金利変動によるリスク

 当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 支払利息の金利上昇リスクに対しては、社債や銀行借入による低利かつ固定金利の資金調達で、金利変動リスクの低減を図っています。受取利息の金利下落リスクに対しては、元本保証を重視し、運用は定期預金を主とし、金利動向を見ながら金利上昇局面では比較的短期の、金利下落局面では比較的長期の運用を行うことでリスクをコントロールしています。

(4)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

 当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の終息の遅れや再度の感染拡大によって、景気の悪化や、当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは有事の際に早急な生産再開ができるよう主要事業ごとにBCP(事業継続計画)の策定とBCM(事業継続マネジメント)体制の構築、定着化を進めております。また製造部門のみならず、営業や本社スタッフ機能においても同様にBCPを策定し、会社の機能全体が停止しないよう有事に備えています。全世界的には、有事の際の被害状況を迅速に把握する目的で、当社グループ海外現地法人と本社間でリアルタイムに情報共有できるシステムの導入を進めています。

 災害発生時のサプライチェーン確保の面では、想定を超えた大規模な災害により業務継続出来なくなった場合にも、BCPで定める手順に則り、供給者への支払や部材の供給継続等の非常時優先業務について代替拠点での継続ができる準備を進めています。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、2020年初めからの世界的感染拡大以来、従業員へのマスク着用などの衛生管理の教育・啓蒙の徹底、従業員が担当区域とその他の区域間を必要以上に往来しないよう事業所内でのゾーニング(区域の分離)の実施及び在宅勤務の推進など従業員への罹患リスク低減に取り組む一方、地元行政と密接に連携し、安全を確保しながら、生産活動の継続に取り組んでおります。また、各事業所では従業員や取引先等の訪問者に対する感染予防対策を徹底して実施しております。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

 対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の50%を超えております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、当社グループが中国に保有する有形固定資産は、5,063億円、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の60%を超えております。

 同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 国際的な事業活動におけるリスクに対しては、本社に設置したガバメントリレーション機能と米州、欧州、中国の各地域本社により各地域のリスク関連情報や各国法規制動向の把握及び分析を行っています。特に、近年の米中関係をはじめとするグローバルな地政学的リスクについては、重要リスクと認識し対応を進めております。また、当社グループでは需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。

 ロシアのウクライナ侵攻への対応では、事変発生以来ロシア及びベラルーシでの事業活動を凍結しています。今後の事業活動再開については、グローバルな動向を注視して判断してまいります。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、SDGsを一つの指標として、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、RBA(Responsible Business Alliance)行動基準に則った自己評価や監査、トレーニングや対話を通じて、課題把握と継続的改善に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合等、これに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業からの撤退を余儀なくされたりするなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの人権問題に対する姿勢としてはTDK企業倫理綱領において人権の尊重にコミットしており、いかなる形の強制労働も明示的に禁止しています。また「TDKグループ人権ポリシー」において人権の尊重に向けた当社のアプローチを明示し、同ポリシーに従いサプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとのコミュニケーション等を実施しております。その過程で企業倫理綱領からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じます。

 また当社グループは、「TDKグループのマテリアリティ(重要課題)」の一つとして「サプライチェーンマネジメント」を掲げ、 その中のテーマに「責任ある資材調達」と「サプライチェーンにおける社会・環境配慮」を設定し、グローバルに展開しています。自社製造拠点は本社CSRグループが主管となり、年1回のCSRセルフチェックと労働・企業倫理アセスメント及びCSR内部監査、第三者機関によるCSR監査を拠点ごとに頻度を決めて実施しています。特に児童労働防止への取り組みとして、上記に加え、高リスクエリアに所在する自社製造拠点と委託加工先に対し追加のセルフアセスメントを行っています。また人財本部が主管となって、強制労働抑止につながる労働時間管理の徹底をグローバルに推進しています。
 法令規則・規制の変更や強化に関しては、各国法令、環境法規制、社会情勢及び顧客の動向などに注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できる体制を整えリスク低減を図っております。

(7)気候変動に関するリスク

 地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、2015年12月COP21で採択された「パリ協定」に代表されるように、気候変動への危機感は高まってきております。気候変動は当社グループにとって重要な課題であり、2019年5月に賛同を表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、環境担当役員が責任者となって情報開示を進めるとともに、分析と対策を実施しております。気候変動に関するリスクとしては、以下に示すような移行リスクと物理リスクがあり、これらのリスクが現実化した場合には、当社グループの財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 「移行リスク」(政策及び規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスク)

・世界各地での炭素税の導入やその他環境関連法規制の強化による費用の増加

・再生可能エネルギー比率の増大にともなうエネルギー調達コストの増加

   「物理リスク」(気候変動がもたらす災害等の直接的損失リスク)

   ・台風の大型化や突発的な豪雨による想定外の洪水の発生による設備や生産の回復費用の発生

 一方で、当社グループは、再生可能エネルギーの創出に貢献する製品や、最終製品での消費エネルギー削減に貢献する製品を多く製造、販売しており、気候変動リスクに対する社会の関心が高まることは、それら製品の需要の拡大の機会であると考えております。このため「TDKグループのマテリアリティ(重要課題)」の一つとして、「電子デバイスでムダ熱とノイズを最小化し、エネルギー・環境問題に貢献」することを掲げ、EX(エネルギー・トランスフォーメーション)を注力する事業領域と位置付けています。

(主要な対応策)

移行リスクについては、「2050年CO2ネットゼロ実現に向けた、エネルギーの有効利用と再生可能エネルギーの利用拡大」をテーマの一つとして掲げ、製造拠点の生産性改善によるエネルギー効率の強化及び再生可能エネルギー利用の拡大を行っています。この中間目標として、2025年度までにグローバルでの再生可能エネルギー導入率を50%にすることを全社目標とし、具体的な取り組みを推進しています。

物理リスクについては、想定を超えた自然災害が発生しやすくなってきており、リスクの更なる分析を進め特定したリスクについてはBCP(事業継続計画)の一環として対応しております。

(8)税務に関するリスク

 当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、回収可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により回収可能性の評価を見直した場合、回収する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。

 上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 グループ会社間の国際取引におけるリスクに関しては、四半期ごとに当社グループ内の移転価格モニタリングを行い、リスクが高いと判断されればリスク低減のため方策を講じています。また、商流の変更時や新規取引開始の際にも税務リスク分析を行い、必要に応じて対応を進めています。

 租税法令またはその解釈運用の発効、施行、導入に伴うリスクに関しては、本社と各地域本社の間で情報交換を行い、各国の税制改正の情報を事前に把握し、TDKグループへの影響を見極めることに努めております。

(9)技術革新・新製品開発におけるリスク

 当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあります。

 また、当社グループでは、多種多様な製品を世界中の国・地域で開発・生産・販売しており、それら事業活動を通して得たデータは当社の資産と言えます。しかしながら、これらデータを適切に蓄積し、開発・営業・マーケティング部門と連携して魅力的な製品の開発・販売に活用できない場合には、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 新製品開発にあたっては、個々の開発テーマの開始、継続、終了までを関係機能参加のもとデータを活用しながら検討し、新製品の市場性を見極めて製品化を進めています。また、2021年4月より新たにコーポレートマーケティング機能を組織化し、全社横断体制での的確な市場動向の把握と新製品開発への素早いフィードバックを図り、市場変化への対応を進めております。

 さらに、2019年7月に設立したTDK Venturesを通じて出資したベンチャー企業との協業により新技術の動向を早期に察知し、技術ロードマップを補強して新たな市場への進出に取り組んでいます。

(10)価格競争に関するリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

 当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの各事業において、高付加価値製品の創出により価格競争回避に努めるとともに、コストダウン施策を継続的に実施しています。また、全社的に資本効率及び収益性の向上を図り、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(11)原材料等の調達におけるリスク

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

 しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 原材料の調達リスク(供給の中断、停止、不足)については随時モニタリングを行い、関連事業部門と共有化する一方、マルチソース化や長期供給契約の締結等によってリスク回避のための対策を進めております。

 現地調達を進めている材料・装置・部材などについては、材料の源流調査の過程で知り得た商社のネットワークを利用して他国の状況把握に努める一方、他国からの調達可能性を調査検討しリスク回避に備えています。

 紛争鉱物については、”責任ある鉱物調達”の枠組みに沿って精錬所調査を行っております。その他、サプライチェーンにおけるCSR遵守状況(人権、環境、安全衛生等)についても定期的に確認しています。

(12)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

 当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

 多様な顧客と取引を行うとともに、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の強い引き下げ要請や、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

 なお、2022年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は2,770億円(当社グループの連結売上高に対する比率は、15%)です。

(主要な対応策)

 当社側が当該顧客向け専用の設備投資をする場合に、一定量の製品買取責任を課す契約を締結する等リスクの低減を図っています。

 業界再編の動きについては常に感度高く情報収集に努めるとともに、重要顧客が絡む業界再編の動きに対しては、当社が積極的に再編に関与することを含めた複数のシナリオを想定し、リスクの低減・回避を図っています。

(13)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、GCCO(グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)及び日本のほか世界4地域のRCCO(リージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス・カルチャー醸成に向け、以下の活動を実施しております。

 ・外部専門家を活用した社内調査

 ・社長及び各グループ会社責任者からコンプライアンス徹底のメッセージを発出

 ・講義形式及びオンラインによる教育啓蒙の実施

 ・米国司法省の求める基準に基づく社内ルールの策定と運用

(14)製品の品質に関するリスク

 当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める基準に従い、多様な製品の品質マネジメントを行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保できるよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っている他、各拠点における生産現場での積極的なデジタル活用も推進しております。

 しかしながら、品質上の不具合(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の不具合によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、品質不具合(規制物質含有を含む)発生のリスク低減のために、設計、材料、プロセス、管理の視点から、様々な施策を実施しております。

 特にICやソフトウエアを組み込んだ製品が増加していることから、IC解析技術の強化、ソフトウエア脆弱性対策の強化にも取り組んでおります。

(15)知的財産におけるリスク

 当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

 しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

 一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤルティの支払が必要になることや、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

 このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 第三者が当社の知的財産を無断使用するケースに関しては、商取引ウェブサイトにおける当社ブランドの不正使用や模倣品販売を監視する仕組みを構築し運用しています。

 一方、当社グループでは他者が所有する知的財産権を尊重することを全社知財方針として掲げ、製品開発においては事前に調査、予防、解決策を講じることによって知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでいます。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に備え、情報セキュリティ専門業者による脆弱性診断を実施し不具合があれば改善し、管理面ではNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術研究所)のフレームワークに基づき、当社グループ全体で情報セキュリティ体制の強化を推進しています。

 当社グループ内部からの情報流出防止対策としては、機密データのフォルダ単位によるアクセス制限、USBメモリ・SDカード等持ち出し可能媒体の使用制限や、従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また万が一、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、迅速に復旧にするための体制をグローバルで強化しています。さらには、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。

(17)人材獲得と人材育成に関するリスク

 当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の90%を超えております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人材及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

 しかしながら、必要な人材を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。特に日本においては、様々なタイプの学生や経験者へアプローチする機会を増やすため、新型コロナ感染症が拡大する以前からオンライン面談を採用活動の一環として取り入れていたため、コロナ禍の状況においてもスムーズに採用活動手段の転換が出来ております。

 また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を図っております。さらには、自律型人材やグローバル人材を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人材や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

(18)M&Aにおけるリスク

 当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を向上させるために必要な技術やその他の要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するといった効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

 M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合や、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 個々のM&A案件について、当社グループの目指すべき姿や成長戦略と整合しているか、また実現可能な事業計画であるかを、社外取締役が1/3以上を占める取締役会において様々な視点から検証し決定しています。また、買収後統合を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、買収後統合において実施すべき事項とその達成時期の標準的なターゲットを定めています。

(19)有形固定資産、のれん及び無形資産の減損損失のリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界での競争優位性を確保及び確立するため、当社の創業時の事業であるフェライトの生産によって獲得した素材技術とプロセス技術を軸としつつ、時には事業の成長加速のためのM&Aも実施し、事業ポートフォリオを充実させて参りました。また、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、有形固定資産、のれん及び無形資産などの資産を多額に有しております。多種多彩な事業や資産を持つことはリスク分散に繋がる一方、事業や資産のポートフォリオの効率性を継続的に改善できなかった場合は、当社グループの収益に多大な影響を及ぼす可能性があります。2022年3月期末の連結財政状態計算書においては1,374億円ののれんを計上しており、そのうち769億円は、2017年5月に米 InvenSense, Inc. を買収した際に発生したのれんです。

 有形固定資産及び特定の識別可能で耐用年数を確定できる無形資産については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額に基づく減損テストを実施しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年同じ時期に減損テストを実施しており、さらに減損の兆候が存在する場合は、その都度減損テストを実施しております。

 かかるテストの結果、資産、資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、事業の収益性及び成長性を考慮した事業ポートフォリオ・マネジメントを導入し、選択と集中による投資判断を行い、将来の減損リスク発生を回避するよう努めております。

 また、減損リスクの高い課題事業については、期初よりモニタリングを行い業績改善計画の進捗を確認、該当事業部門と本社部門が連携し事業収益性回復の可能性を検討します。

2【事業等のリスク】

当社は、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理するために、ERM*委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクの分析評価を行い、部門横断的に対応が必要なリスクの特定、関連部門と連携した対策の導入等、全社的リスクマネジメントを推進しております。リスク分析評価や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。(*ERM:Enterprise Risk Management)

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1)経済動向変化によるリスク

 当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 経済動向変化による当社グループの業績へのマイナス影響を最小限に留めるべく、資本効率の向上を中期重点課題の1つとして取り上げ、そのための施策(製造拠点の最適化、設備投資計画の精査、本社業務効率の改善等)を実施しています。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くは米ドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで12億円の減益、ユーロは2億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 海外子会社と本社(日本)間の取引は原則として現地通貨で行うことで海外子会社の為替変動リスクを低減し、これを本社に集約し日本から包括的に為替予約等を行うことで為替変動リスクを低減することに努めています。海外子会社も必要に応じて為替予約等を活用し為替リスクを低減しています。また営業利益への為替影響額縮小の為、ドル建て購買、円・人民元建て販売取引を推進しています。

(3)金利変動によるリスク

 当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース債務等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 支払利息の金利上昇リスクに対しては、社債や銀行借入による低利かつ固定金利の資金調達で、金利変動リスクの低減を図っています。受取利息の金利下落リスクに対しては、元本保証を重視し、運用は定期預金を主とし、金利動向を見ながら金利上昇局面では比較的短期の、金利下落局面では比較的長期の運用を行うことでリスクをコントロールしています。

(4)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

 当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の終息の遅れや再度の感染拡大によって、景気の悪化や、当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは有事の際に早急な生産再開が出来るよう主要事業毎にBCP(事業継続計画)の策定とBCM(事業継続マネジメント)体制の構築、定着化を進めております。また製造部門のみならず、営業や本社スタッフ機能においても同様にBCPを策定し、会社の機能全体が停止しないよう有事に備えています。全世界的には、有事の際の被害状況を迅速に把握する目的で、当社グループ海外現地法人と本社間でリアルタイムに情報共有できるシステムの導入を進めています。

 災害発生時のサプライチェーン確保の面では、想定を超えた大規模な災害により業務継続出来なくなった場合にも、BCPで定める手順に則り、供給者への支払いや部材の供給継続等の非常時優先業務について代替拠点での継続ができる準備を進めています。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、その感染拡大へ対応するため、2020年1月に社長を本部長とする全社危機対策本部を立ち上げ、従業員へのマスク着用などの衛生管理の教育・啓蒙の徹底、従業員が担当区域とその他の区域間を必要以上に往来しないよう事業所内でのゾーニング(区域の分離)の実施及び在宅勤務の推進など従業員への罹患リスク低減に取り組む一方、地元行政と密接に連携し、安全を確保しながら、生産活動の継続に取り組んでおります。また、危機管理委員会より当社グループ全世界拠点へ注意喚起の連絡を発出し、事業所の一時閉鎖に伴う生産・出荷の遅れを避ける為に、各事業所では従業員や取引先等の訪問者に対する感染予防対策を徹底して実施しております。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

 対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の50%を超えております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、当社グループが中国に保有する有形固定資産は、4,175億円、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の60%を超えております。

 同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 国際的な事業活動におけるリスクに対しては、本社に設置したガバメントリレーション機能と米州、欧州、中国の各地域本社により各地域のリスク関連情報や各国法規制動向の把握および分析を行っています。特に、近年の米中関係をはじめとするグローバルな地政学リスクについては、重要リスクと認識し対応を進めております。また、当社グループでは需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、SDGsを一つの指標として、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、RBA(Responsible Business Alliance)行動基準に則った自己評価や監査、トレーニングや対話を通じて、課題把握と継続的改善に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合等、これに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業からの撤退を余儀なくされたりするなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの人権問題に対する姿勢としてはTDK企業倫理綱領において人権の尊重にコミットしており、いかなる形の強制労働も明示的に禁止しています。また「TDKグループ人権ポリシー」において人権の尊重に向けた当社のアプローチを明示し、同ポリシーに従いサプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとのコミュニケーション等を実施しております。その過程で企業倫理綱領からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じます。

 また当社グループは、CSR(企業の社会的責任)に関する重要課題の一つとして、サプライチェーンにおける社会・環境配慮を掲げ、グローバルに展開しています。自社製造拠点は本社CSRグループが主管となり、年1回のCSRセルフチェックと労働・企業倫理アセスメントおよびCSR内部監査、第三者機関によるCSR監査を拠点毎に頻度を決めて実施しています。特に児童労働防止への取り組みとして、上記に加え、高リスクエリアに所在する自社製造拠点と委託加工先に対し追加のセルフアセスメントを行っています。また人財本部が主管となって、強制労働抑止につながる労働時間管理の徹底をグローバルに推進しています。

 法令規則・規制の変更や強化に関しては、各国法令、環境法規制、社会情勢及び顧客の動向などに注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できる体制を整えリスク低減を図っております。

(7)気候変動に関するリスク

 地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどっており、2015年12月COP21で採択された「パリ協定」に代表されるように、気候変動への危機感は高まってきております。以下に示す気候変動に関わる移行リスク(政策および規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスク)と、物理リスク(気候変動がもたらす災害等の直接的損失リスク)により、当社グループの財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 「移行リスク」(例)

  ・顧客からの再生可能エネルギーの導入要求に対応するための費用増加や対応の遅れによる受注機会の喪失

  ・世界各地での炭素税の導入やその他環境関連法規制の強化による費用の増加、生産停止や受注機会の喪失

 「物理リスク」(例)

   ・台風の大型化や突発的な豪雨による想定外の洪水の発生による設備や生産の回復費用の発生

 一方で、当社グループは、再生可能エネルギーの創出に貢献する製品や、最終製品での消費エネルギー削減に貢献する製品を多く製造、販売しており、気候変動リスクに対する社会の関心が高まることは、それら製品の需要の拡大の機会であると考えております。

(主要な対応策)

 気候変動対応においては、2019年5月に賛同を表明したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、環境担当役員が責任者となり、リスクを事業とのつながりの中でとらえ、その対策を進めています。

 移行リスクについては、2035年までにライフサイクル的視点でのCO₂排出原単位を半減するという目標を『環境ビジョン2035』として掲げ、省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入、省エネ貢献製品の拡大等の取り組みを行っております。物理リスクについては、想定を超えた自然災害が発生しやすくなってきており、リスクの更なる分析を進め特定したリスクについてはBCP(事業継続計画)の一環として対応しております。

(8)税務に関するリスク

 当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、実現可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により実現可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となります。

 上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 グループ会社間の国際取引におけるリスクに関しては、四半期毎に当社グループ内の移転価格モニタリングを行い、リスクが高いと判断されればリスク低減のため方策を講じています。また、商流の変更時や新規取引開始の際にも税務リスク分析を行い、必要に応じて対応を進めています。

 租税法令またはその解釈運用の発効、施行、導入に伴うリスクに関しては、本社と各地域本社の間で情報交換を行い、各国の税制改正の情報を事前に把握し、TDKグループへの影響を見極めることに努めております。

(9)技術革新・新製品開発におけるリスク

 当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあり、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 新製品開発にあたっては、個々の開発テーマの開始、継続、終了までを関係機能参加のもと検討し、新製品の市場性を見極めて製品化を進めています。また、2021年4月より新たにコーポレートマーケティング機能を組織化し、全社横断体制での的確な市場動向の把握と新製品開発への素早いフィードバックを図り、市場変化に対応して参ります。

 さらに、2019年7月に設立したTDK Venturesを通じて出資したベンチャー企業との協業により新技術の動向を早期に察知し、技術ロードマップを補強して新たな市場への進出に取り組んでいます。

(10)価格競争に関するリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

 当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループの各事業において、高付加価値製品の創出により価格競争回避に努めるとともに、コストダウン施策を継続的に実施しています。また、全社的に資本効率および収益性の向上を図り、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(11)原材料等の調達におけるリスク

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

 しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 原材料の調達リスク(供給の中断、停止、不足)については随時モニタリングを行い、関連事業部門と共有化する一方、マルチソース化や長期供給契約の締結等によってリスク回避のための対策を進めております。

 現地調達を進めている材料・装置・部材などについては、材料の源流調査の過程で知り得た商社のネットワークを利用して他国の状況把握に努める一方、他国からの調達可能性を調査検討しリスク回避に備えています。

 紛争鉱物については、”責任ある鉱物調達”の枠組みに沿って精錬所調査を行っております。その他、サプライチェーンにおけるCSR遵守状況(人権、環境、安全衛生等)についても定期的に確認しています。

(12)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

 当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

 多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の強い引き下げ要請や、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

 なお、2021年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は1,968億円(当社グループの連結売上高に対する比率は、13%)です。

(主要な対応策)

 当社側が当該顧客向け専用の設備投資をする場合に、一定量の製品買取責任を課す契約を締結する等リスクの低減を図っています。

 業界再編の動きについては常に感度高く情報収集に努めるとともに、重要顧客が絡む業界再編の動きに対しては、当社が積極的に再編に関与することを含めた複数のシナリオを想定し、リスクの低減・回避を図っています。

(13)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、GCCO(グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)及び日本のほか世界4地域のRCCO(リージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに即した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス・カルチャ醸成に向け、以下の活動を実施しております。

 ・外部専門家を活用した社内調査

 ・社長および各グループ会社責任者からコンプライアンス徹底のメッセージを発出

 ・講義形式およびオンラインによる教育啓蒙の実施

 ・米国司法省の求める基準に基づく社内ルールの策定と運用

(14)製品の品質に関するリスク

 当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める基準に従い、多様な製品の品質マネジメントを行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保出来るよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っております。

 しかしながら、品質上の不具合(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の不具合によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、品質不具合(規制物質含有を含む)発生のリスク低減のために、設計、材料、プロセス、管理の視点から、様々な施策を実施しております。

 特にICやソフトウェアを組み込んだ製品が増加していることから、IC解析技術の強化、ソフトウェア脆弱性対策の強化にも取り組んでおります。

(15)知的財産におけるリスク

 当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

 しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

 一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤルティの支払が必要になったり、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

 このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 第三者が当社の知的財産を無断使用するケースに関しては、商取引ウェブサイトにおける当社ブランドの不正使用や模倣品販売を監視する仕組みを構築し運用しています。

 一方、当社グループでは他者が所有する知的財産権を尊重することを全社知財方針として掲げ、製品開発においては事前に調査、予防、解決策を講じることによって知的財産権侵害リスクの低減に取り組んでいます。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、外部からのサイバー攻撃に備え、情報セキュリティ専門業者による脆弱性診断を実施し不具合があれば改善し、管理面ではNIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術研究所)のフレームワークに基づき、当社グループ全体で情報セキュリティ体制の強化を推進しています。

 当社グループ内部からの情報流出防止対策としては、機密データのフォルダ単位によるアクセス制限、USBメモリ・SDカード等持ち出し可能媒体の使用制限や、従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また万が一、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、迅速に復旧にするための体制をグローバルで強化しています。更には、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。

(17)人材獲得と人材育成に関するリスク

 当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の90%を越えております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人材及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

 しかしながら、必要な人材を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。特に日本においては、様々なタイプの学生や経験者へアプローチする機会を増やすため、新型コロナ感染症が拡大する以前からオンライン面談を採用活動の一環として取り入れていたため、コロナ禍の状況においてもスムーズに採用活動手段の転換が出来ております。

 また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を図っております。さらには、自律型人材やグローバル人材を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人材や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

(18)M&Aにおけるリスク

 当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を向上させるために必要な技術やその他の要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するといった効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

 M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合や、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 個々のM&A案件について、当社グループの目指すべき姿や成長戦略と整合しているか、また実現可能な事業計画であるかを、1/3以上の社外取締役から構成される取締役会において様々な視点から検証し決定しています。また、買収後統合を円滑に進め統合シナジーを最大限発揮するために、買収後統合において実施すべき事項とその達成時期の標準的なターゲットを定めています。

(19)固定資産及びのれんの減損損失のリスク

 当社グループは、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。また、事業の成長加速のためM&Aも必要に応じて実施しております。その結果、有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産並びにのれん及びその他の無形固定資産などの資産を多額に有しております。2021年3月期末の連結貸借対照表においては1,651億円ののれんを計上しており、そのうち987億円は、2017年5月に買収した米 InvenSense, Inc.ののれんです。

 有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産については、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行っております。かかるテストの結果、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じます。また、のれん及びその他の無形固定資産についても、年に一度、もしくはのれんの報告単位及びその他の無形固定資産の公正価値が帳簿価格を下回る兆候や状況の変化が生じた都度、減損テストを行っております。かかるテストの結果、帳簿価額が公正価値を上回っている場合、減損損失が認識されます。

 多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)

 当社グループでは、事業の収益性および成長性を考慮した事業ポートフォリオ・マネジメントを導入し、選択と集中による投資判断を行い、将来の減損リスク発生を回避するよう努めております。

 また、減損リスクの高い課題事業については、期初よりモニタリングを行い業績改善計画の進捗を確認、該当事業部門と本社部門が連携し事業収益性回復の可能性を検討します。

2【事業等のリスク】

当社は、持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理するために、ERM*委員会を設置しております。ERM委員会は、リスクの分析評価を行い、部門横断的に対応が必要なリスクの特定、関連部門と連携した対策の導入等、全社的リスクマネジメントを推進しております。リスク分析評価や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しております。(*ERM:Enterprise Risk Management)

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月23日)現在において判断した記載としております。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難です。

(1)経済動向変化によるリスク

 当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替変動によるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くは米ドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。米ドル、ユーロ、それぞれの通貨が1円円高となった場合の当社グループの営業利益に対する影響は、おおよそ米ドルで12億円の減益、ユーロは2億円の減益と見ております。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)金利変動によるリスク

 当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース債務等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

 当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足及び感染症等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、その感染拡大へ対応するため、本年1月に社長を本部長とする全社危機対策本部を立ち上げ、マスク・消毒液等の衛生用品の確保、従業員へのマスク着用などの衛生管理の教育・啓蒙の徹底、従業員が担当区域とその他の区域間を必要以上に往来しないよう事業所内でのゾーニング(区域の分離)の実施及び在宅勤務の推進など従業員への罹患リスク低減に取り組む一方、地元行政と密接に連携し、安全を確保しながら、生産活動の継続に取り組んでおります。

 新型コロナウイルス感染症による景気や業績への影響については、2020年の全世界の実質GDP成長率がマイナス4%となる前提で2021年3月期の業績見通しを作成・発表しました。しかし、さらなる感染拡大により景気回復が遅れた場合、または当社事業所の閉鎖もしくはサプライチェーンの混乱が起こった場合などには、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

 対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 特に当社グループの中国向け売上高は連結売上高の50%を超えております。同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立するため、中国に製造拠点を数多く有しており、その結果、当社グループが中国に保有する有形固定資産は、2,687億円、中国拠点による生産額は、当社グループ全体の50%を超えております。

 同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は、需要地における生産を原則としつつも、生産拠点の配置については、カントリーリスクやその他の要因も考慮し、適宜見直しを行っております。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

 当社グループは、社会の持続可能な発展のために、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しサプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で、その実現に向けた行動に取り組んでおります。例えば、気候変動への対応として、ライフサイクル的視点でのCO₂排出原単位を2035年までに2015年3月期実績に対し半減することを目標に削減に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合やCO₂削減などに対する顧客要求が大幅に高まった場合、これらに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業から撤退を余儀なくされるなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 一方で、当社グループは、再生可能エネルギーの創出に貢献する製品や、最終製品での消費エネルギー削減に貢献する製品を多く製造、販売しており、気候変動リスクに対する社会の関心が高まることは、それら製品の需要の拡大の機会であると考えております。

(7)税務に関するリスク

 当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令ないしその解釈運用の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、実現可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令ないし税務執行の発効、施行、導入及び改廃等により実現可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となります。

 上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8)技術革新・新製品開発におけるリスク

 当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあり、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9)価格競争に関するリスク

 当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

 当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10)原材料等の調達におけるリスク

 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、原材料等は代替困難な限られた生産国、供給者に依存する場合があります。例えば、磁気応用製品のマグネットに用いられるジスプロシウム等の重希土類は中国に、エナジー応用製品の二次電池に用いられるコバルトは紛争地域であるコンゴ民主共和国に、その生産を依存しております。これらの原材料等については、複数の調達ルートを確保する他、使用量削減にも取り組んでおります。コバルトを含む紛争地域及び高リスク地域からの鉱物に関しては、「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを制定し、持続可能かつ責任ある鉱物だけがサプライチェーンで使われることとなるよう商業上合理的な範囲で最大限の努力をしております。

 しかしながら、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。また、調達した原材料等に、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜むことが確認された場合、原材料の変更や調達先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があるとともに、社会的な信用が低下する恐れがあります。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(11)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

 当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

 多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の引き下げ圧力の増大、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化の可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

 なお、2020年3月期において、当社グループの連結売上高の10%を超える顧客グループは1グループあります。この顧客グループに対する売上は、主にエナジー応用製品によるものであり、売上高は1,607億円(当社グループの連結売上高に対する比率は、11.8%)です。

(12)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー及び日本のほか世界4地域のリージョナル・チーフ・コンプライアンス・オフィサーを任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに即した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(13)製品の品質に関するリスク

 当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める厳しい基準に従い、多様な製品の品質管理を行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保出来るよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っております。

 しかしながら、品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(14)知的財産におけるリスク

 当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

 しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

 一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤルティの支払が必要になったり、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

 このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(15)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が生じる可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)人材獲得と人材育成に関するリスク

 当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の90%を越えております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人材及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を図っております。さらには、自律型人材やグローバル人材を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人材や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

 しかし、必要な人材を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(17)M&Aにおけるリスク

 当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を向上させるために必要な技術やその他の要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するといった効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

 M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合や、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(18)固定資産及びのれんの減損損失のリスク

 当社グループは、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。また、事業の成長加速のためM&Aも必要に応じて実施しております。その結果、有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産並びにのれん及びその他の無形固定資産などの資産を多額に有しております。2020年3月期末の連結貸借対照表においては1,609億円ののれんを計上しており、そのうち970億円は、2017年5月に買収した米 InvenSense, Inc.ののれんです。

 有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産については、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行っております。また、のれん及びその他の無形固定資産についても、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に減損テストを行っております。かかるテストの結果、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じます。

 多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月27日)現在において判断した記載としております。

(1)経済動向変化によるリスク

当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替変動によるリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くはドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、急激または大幅な為替レートの変動等は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)金利変動によるリスク

当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース債務等の負債を保有しております。これらの資産及び負債にかかる金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定を超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足及び新型インフルエンザ等の未知の感染症によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5)国際的な事業活動におけるリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、顕在化する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループは、中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて上記のような政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における問題事象が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

当社グループは、社会の持続可能な発展のために、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識し、その実現に向けた行動を、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で取り組んでおります。例えば、気候変動への対応として、ライフサイクル的視点でのCO2排出原単位を2035年までに2015年3月期実績に対し半減することを目標に削減に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合やCO2削減などに対する顧客要求が大幅に高まった場合、これらに適応するための費用が増大したり、規制の強化や顧客要求に適応できず一部事業から撤退を余儀なくされるなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(7)税務に関するリスク

当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令またはその解釈運用の新たな導入や変更等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。

また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる利益計画に従い、実現可能性の評価を定期的に行っております。将来において利益計画が実現できない場合、または租税法令若しくは税務執行の新たな導入や変更等により実現可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となります。

上記のような事態が生じた場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8)技術革新・新製品開発におけるリスク

当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合等には、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあり、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9)価格競争に関するリスク

当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10)原材料等の調達におけるリスク

当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっております。しかしながら、原材料等は代替困難な限られた供給国、供給者に依存する場合があります。そのため、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。こうした状況が生じた場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(11)顧客の業績や経営方針転換等に関するリスク

当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の引き下げ圧力の増大、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化に陥る可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性もあります。

(12)コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを任命し、当社グループ及びそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに即した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(13)製品の品質に関するリスク

当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める厳しい基準に従い、多様な製品の品質管理を行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保出来るよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っております。

しかしながら、品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用が発生し、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(14)知的財産におけるリスク

当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)のポートフォリオの管理・取得によるその強化と活用に努めております。

しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあり得ます。

一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、そのための費用が発生する他、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤルティの支払が必要になったり、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

このように、知的財産権についてこれらの問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(15)情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が惹き起こされる可能性があります。

このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)人材獲得と人材育成に関するリスク

当社グループは、世界中の30以上の国と地域で事業活動を推進しており、日本以外の拠点の従業員数は全従業員数の90%を越えております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した多様な人材及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を図っております。さらには、自律型人材やグローバル人材を育成し、当社グループの価値観、知識およびモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの充実を図っております。これらの教育プログラムには、現在のグローバルキー人材や将来の経営層候補、その他各階層に対する教育も含まれております。

しかし、必要な人材を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(17)M&Aにおけるリスク

当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を向上させるために必要な技術やその他の要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するといった効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めるべく努めております。

しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合や、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの業績や成長及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(18)固定資産及びのれんの減損損失のリスク

当社グループは、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。また、事業の成長加速のためM&Aも必要に応じて実施しております。その結果、有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産並びにのれん及びその他の無形固定資産などの資産を多額に有しております。

有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産については、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行っております。また、のれん及びその他の無形固定資産についても、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に減損テストを行っております。かかるテストの結果、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じます。

多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月28日)現在において判断した記載としております。

(1)経済動向変化によるリスク

当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、政治問題・国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループではこれらの世界のリスク動向を注視し適時対策を講じておりますが、このような経営環境の変化が予想を超えた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替変動によるリスク

当社グループはグローバルに事業を展開しており、海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くはドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動は、換算差による影響が生じます。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、予想を超えた急激な外国為替レートの変動は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)金利変動によるリスク

当社グループはその時々において銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース債務等の負債を保有しております。想定を超えた金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策や電力不足に対する自家発電設備の導入等を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定をはるかに超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足及び新型インフルエンザ等の未知の感染症によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5)海外展開にともなうリスク

当社グループの連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動、関税引上げや輸出入制限といった国内政治・経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、予想をはるかに超える水準で不意に発生する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループは、中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6)企業の社会的責任に関するリスク

当社グループは、社会の持続可能な発展のために、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識し、その実現に向けた行動を、サプライチェーンも含むあらゆる事業活動の中で取り組んでおります。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、関連する様々な法令規則や国際的なイニシアチブ等による規制が大幅に強化された場合、これらに適応するための費用が増大したり、規制の強化に適応できず一部事業から撤退を余儀なくされるなどして、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(7)税務に関するリスク

当社グループは、世界各国に製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点から適切な取引価格となるよう細心の注意を払っております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令またはその解釈運用の新たな導入や変更等により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。

また、繰延税金資産については、将来の課税所得の見通し及び税務上実現可能と見込まれる計画に従い、定期的に実現可能性の評価を行っております。将来の利益計画が実現できない、もしくは達成できない場合、または租税法令の新たな導入や変更等により実現可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となります。

予期しない多額の課税がなされた場合や、繰延税金資産に対する多額の評価性引当金の積み増しを行った場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8)技術革新・新製品開発におけるリスク

当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。これらのリスクを回避する方策の一つとして当社グループの開発部門において実施している市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントが有効に機能しない場合は、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあり、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9)価格競争に関するリスク

当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等の海外企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、こうした価格動向が業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10)原材料等の調達におけるリスク

当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっております。しかしながら、原材料等は代替困難な限られた供給国、供給者に依存する場合があります。そのため、各国の輸出入規制や供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の急激な高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。こうしたリスクに対して仕入先の適時見直し等を実施しておりますが、想定を超えた状況が生じた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(11)企業間取引のリスク

当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループがコントロールし得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の引き下げ圧力の増大、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化に陥る可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少し、もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの販売に大きな影響を与える可能性もあります。

(12)コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資関連、電気及び電気製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境、消費者及び税金関連等の、様々な規制の遵守を求められております。当社グループは、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを任命し、当社グループおよびそれを構成する役員、従業員が世界共通の規範に基づきコンプライアンスに即した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、企業倫理綱領を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止されたり、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、将来において、さらなる規制強化が行われる可能性があり、その場合には規制対応のための多額な費用負担や、その規制に適応し得ない場合にはビジネスからの部分的撤退等が必要になるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(13)製品の品質に関するリスク

当社グループは、国内外生産拠点において、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949やその他の適用ある規格)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める厳しい基準に従い、多様な製品の品質管理を行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて製品の信頼性や安全性を確保出来るよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っております。

しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用の発生、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(14)知的財産におけるリスク

当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、「知的財産権」と総称します。)の管理・取得による特許ポートフォリオの強化とその活用に努めております。

しかしながら、特定の地域では、その地域固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあります。

一方では、当社グループの製品・工程等が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループがかかる侵害をしたとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要になり、これらの係争において、当社グループの主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤルティの支払が必要になったり、市場そのものを失う等の損失が発生する恐れがあります。

このように、知的財産権について重大な係争問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(15)情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や過失、盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が惹き起こされる可能性があります。

万一、このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(16)人材獲得と人材育成に関するリスク

当社グループは、海外売上高比率や生産に占める海外比率も高く、グローバルに従業員数が拡大しております。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、多様な専門技術に精通した人材および経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

事業の継続的発展のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開し、また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、自律型人材やグローバル人材を育成するための各種教育制度の拡充、モノづくりのDNAの伝承等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し社員の定着と育成に努力しております。

しかしながら、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(17)M&Aにおけるリスク

当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を継続的に向上させるために必要な技術やその他の要素については、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場において短期間で優位性を確立するといった大きな相乗効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財務状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ等を十分に考慮し進めるべく努めております。

しかしながら、事前の調査・検討に不足・見落としがあったり、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があったり、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社グループの業績や成長見通し及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(18)固定資産及びのれんの減損損失のリスク

当社グループは、生産能力向上、品質向上または生産性向上などのため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。また、事業の成長加速のためM&Aも必要に応じて実施しております。その結果、有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産並びにのれん及びその他の無形固定資産などの資産を多額に有しております。

有形固定資産及び特定の認識可能で償却期間の定めのある無形固定資産については、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行っております。また、のれん及びその他の無形固定資産についても、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に減損テストを行っております。かかるテストの結果、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じます。

多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において判断した記載としております。

(1)経済動向変化によるリスク

当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の景気動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループでは世界の経済動向を注視し適時対策を講じておりますが、このような経営環境の変化が予想を超えた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替変動によるリスク

当社グループはグローバルで事業を展開しており、海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くはドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高の減収や営業利益の減益等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外消費資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動は、換算差による影響が生じます。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、予想を超えた急激な外国為替レートの変動は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)海外展開にともなうリスク

当社グループは、市場性、製品群、物流等の観点から適地を選定し世界各国に事業展開し、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動や貿易不均衡といった経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、予想をはるかに超える水準で不意に発生する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループは、経済発展が著しい中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4)価格競争に関するリスク

当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等のアジア企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、価格下落が当社グループの想定を大きく上まわり、かつ長期にわたった場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5)技術革新・新製品開発におけるリスク

当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を予測し、常に業界及び市場において技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。これらのリスクを回避する方策の一つとして、当社グループの開発部門においては市場の動向を分析して継続的に研究開発体制を見直すとともに、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントを実施しておりますが、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあり、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6)製品の品質に関するリスク

当社グループは、国内外生産拠点において、ISO(International Organization for Standardization 国際標準化機構)の品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める厳しい基準に従い、多様な製品の品質管理を行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて通常の製品使用に耐えうる信頼性、安全性を確保出来るよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っております。

しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用の発生、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

(7)知的財産におけるリスク

当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、総称で“知的財産権”)の管理・取得による特許ポートフォリオの強化とその活用に努めております。

しかしながら、特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあります。

一方では、当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループが侵害したとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要であり、これらの係争において、主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤリティの支払、市場を失う等の損失が発生する恐れがあります。

このように、知的財産権について重大な係争問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材獲得と人材育成に関するリスク

当社グループは、海外売上高比率や生産に占める海外比率も高く、近年、設計・生産拠点の海外移転が加速するとともにグループ企業も急増しグローバルに従業員数が拡大しています。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、多様な専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

事業の継続的発展のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開し、また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、自律型人材やグローバル人材を育成するための各種教育制度の拡充、モノづくりのDNAの伝承等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し社員の定着と育成に努力しております。

しかしながら、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9)原材料等の調達におけるリスク

当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっております。しかしながら、主要原材料は代替困難な限られた供給者に依存する場合があります。そのため、供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外情勢に影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の急激な高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。こうしたリスクに対して仕入先の適時見直し等を実施しておりますが、想定を超えた状況が生じた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10)政府機関の規制によるリスク

当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資に関する許認可、電気及び電気製品の安全性、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境、消費者及び税金に関連する法規制等、様々な規制下に置かれ遵守を求められております。

将来において、さらなる規制強化が進み、当社の事業展開に大きな影響が及ぼされた場合、様々な費用負担増をもたらすとともに、その規制に適応し得ない事態になった場合には当該ビジネスからの部分的撤退等の可能性も想定されます。

このように、政府機関による様々な規制強化が、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社は、平成28年7月よりHDD用サスペンション事業に関する独占禁止法違反の疑いについて競争当局より調査を受けています。現時点では調査の結果を合理的に予測することは困難です。

(11)金利変動によるリスク

当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース債務等の負債を保有しております。想定を超えた金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(12)企業間取引のリスク

当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給する企業間取引をグローバルに展開しております。

多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループが介入し得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の引き下げ圧力の増大、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化に陥る可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの販売に大きな影響を与える可能性もあります。

(13)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災、防疫対策や電力不足に対して自家発電設備の導入を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定をはるかに超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足及び新型インフルエンザ等の未知の感染症によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊、途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合にも、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(14)環境規制におけるリスク

当社グループは、国内外において製造過程で生じる各種廃棄物や大気中または水中への排出物、製品に含有する特定の有害な化学物質等について、様々な法律による環境規制を受けております。また地球環境保全の見地から、今後ますます環境規制の強化が進むことにより、適応するための費用が増大する可能性もあります。

法律による環境規制を遵守し、様々な環境保全活動を推進しておりますが、環境規制への適応が対応能力を超えた場合の当該ビジネスからの部分撤退や対応の遅れ等により信頼が損なわれた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(15)M&Aにおけるリスク

当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を継続的に向上させるために必要な技術やその他の要素については内部での醸成を基本と考えておりますが、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場において短期間で優位性を確立するといった大きな相乗効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財務状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ等を十分に考慮し進めております。

しかしながら、市場環境や競争環境の著しい変化や買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合、当社グループの業績や成長見通し及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報、また、当社グループの機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や過失や盗難等によりこれらの情報が流出もしくは改ざんされる可能性があります。

万一、このような事態が生じた場合には、信用低下や被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用が発生し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において判断した記載としております。

(1)経済動向変化によるリスク

当社グループが事業展開しているエレクトロニクス業界は、最終製品の主たる消費地である米国、欧州、中国を主とするアジア及び日本の景気動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域には、国際問題や経済の浮沈といった様々なリスク要因が常に存在しています。当社グループでは世界の経済動向を注視し適時対策を講じておりますが、このような経営環境の変化が予想を超えた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替変動によるリスク

当社グループはグローバルで事業を展開しており、海外売上高比率は90%を超え、取引通貨の多くはドル・ユーロ等、円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な円高の進行は売上高の減収や営業利益の減益等、損益に影響を与えますが、当該リスク軽減のため、当社グループでは外貨建原材料購買の増大や海外消費資材の現地調達化を進めております。また、海外における投資資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動は、換算差による影響が生じます。為替レートの変動に対応するため、外貨建資金調達及び為替予約契約の締結等の対策は講じておりますが、予想を超えた急激な外国為替レートの変動は、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)海外展開にともなうリスク

当社グループは、市場性、製品群、物流等の観点から適地を選定し世界各国に事業展開し、連結ベースでの海外売上高比率は90%を超えています。

対象となる多くの市場や、今後経済発展が見込まれる新興国では、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、為替変動や貿易不均衡といった経済に起因するリスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、予想をはるかに超える水準で不意に発生する可能性があります。また、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても未知のリスクが潜んでいる可能性があります。こうしたリスクが顕在化した場合、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に当社グループは、経済発展が著しい中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4)価格競争に関するリスク

当社グループは、競争が激化しているエレクトロニクス業界において、スマートフォンに代表されるICT市場、今後一層の電装化が進展する自動車市場、太陽光発電・風力発電等のエネルギー関連市場等多岐にわたる市場で電子部品の展開を行っています。同業界においては、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであり、有力な日本企業や韓国、台湾及び中国等のアジア企業を交えた価格競争は熾烈を極めております。

当社グループでは、こうした市場競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力はますます強まる傾向にあり、価格下落が当社グループの想定を大きく上まわり、かつ長期にわたった場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(5)技術革新・新製品開発におけるリスク

当社グループでは、価値ある新製品をタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献し、さらに継続的な新製品開発が企業存続の鍵となるものと確信しております。魅力的で、革新的な新製品の開発による売上高の増加が、企業の成長にとって重要な役割を担っていると考えており、この点を経営戦略の主題として新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を予測し、常に業界及び市場において技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。これらのリスクを回避する方策の一つとして、当社グループの開発部門においては市場の動向を分析して継続的に研究開発体制を見直すとともに、開発テーマの選択と集中を進めるための開発マネジメントを実施しておりますが、販売機会喪失により将来市場はもとより既存市場さえも失うリスクもあり、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6)製品の品質に関するリスク

当社グループは、国内外生産拠点において、ISO(International Organization for Standardization 国際標準化機構)の品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や技術革新著しいエレクトロニクス業界の顧客が求める厳しい基準に従い、多様な製品の品質管理を行っております。また、独自に保有する品質技術や過去から蓄積する品質トラブルデータを活用し、製品の企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理等を通じて通常の製品使用に耐えうる信頼性、安全性を確保出来るよう、開発上流段階から品質を作り込む品質保証体制の構築を図っております。

しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや賠償費用の発生、また販売量が減少する恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。このように、重大な品質問題が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

(7)知的財産におけるリスク

当社グループは、事業収益に貢献する戦略的知財活動として当社製品の機能、デザイン等に関する特許、ライセンス及び他の知的財産権(以下、総称で“知的財産権”)の管理・取得による特許ポートフォリオの強化とその活用に努めております。

しかしながら、特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が知的財産を無断使用して類似した製品を製造することによって損害を受けることもあります。

一方では、当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループが侵害したとして第三者から訴えられた場合、訴訟活動や和解交渉が必要であり、これらの係争において、主張が認められなかった場合には、損害賠償やロイヤリティの支払、市場を失う等の損失が発生する恐れがあります。

このように、知的財産権について重大な係争問題が発生した場合には、事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材獲得と人材育成に関するリスク

当社グループは、海外売上高比率や生産に占める海外比率も高く、近年、設計・生産拠点の海外移転が加速するとともにグループ企業も急増しグローバルに従業員数が拡大しています。変化の激しいエレクトロニクス業界において継続的に事業を発展させるためには、多様な専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

事業の継続的発展のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開し、また、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、自律型人材やグローバル人材を育成するための各種教育制度の拡充、モノづくりのDNAの伝承等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し社員の定着と育成に努力しております。

しかしながら、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(9)原材料等の調達におけるリスク

当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適時、適量の確保を前提とした生産体制をとっております。しかしながら、主要原材料は代替困難な限られた供給者に依存する場合があります。そのため、供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外情勢に影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の急激な高騰や原油をはじめとする燃料価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。こうしたリスクに対して仕入先の適時見直し等を実施しておりますが、想定を超えた状況が生じた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(10)政府機関の規制によるリスク

当社グループは、事業展開している国内外において、事業や投資に関する許認可、電気及び電気製品の安全性、国家間の安全保障及び輸出入関連、また、商行為、反トラスト、特許、製造物責任、環境、消費者及び税金に関連する法規制等、様々な規制下に置かれ遵守を求められております。

将来において、さらなる規制強化が進み、当社の事業展開に大きな影響が及ぼされた場合、様々な費用負担増をもたらすとともに、その規制に適応し得ない事態になった場合には当該ビジネスからの部分的撤退等の可能性も想定されます。

このように、政府機関による様々な規制強化が、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(11)金利変動によるリスク

当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース債務等の負債を保有しております。想定を超えた金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(12)B to B(企業間取引)のリスク

当社グループは、主に、エレクトロニクス市場や自動車市場の顧客に電子部品を供給するB to B (企業間取引)をグローバルに展開しております。

多様な顧客と取引を行うと共に、顧客の信用リスク評価を勘案して取引条件を設定する等のリスク低減を図っておりますが、それぞれの顧客の業績及び経営戦略の転換等、当社グループが介入し得ない様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。また、顧客の業績低迷による購買需要の減少や調達方針の変更による納入価格の引き下げ圧力の増大、契約の予期せぬ終了等による過剰在庫の発生や収益性の悪化に陥る可能性があります。

国内外での異業種や競合企業による顧客企業のM&Aにより企業再編が行われた場合、注文が著しく減少もしくは取引すべてが消滅する等、当社グループの販売に大きな影響を与える可能性もあります。

(13)自然災害、電力供給及び感染症によるリスク

当社グループは、国内外において多数の製造工場や研究開発施設を有しております。各事業所では、不慮の自然災害や感染症発生等に対する防災、防疫対策や電力不足に対して自家発電設備の導入を施しておりますが、BCP(事業継続計画)の想定をはるかに超えた大規模な地震や津波、台風や洪水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足及び新型インフルエンザ等の未知の感染症によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊、途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合にも、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(14)環境規制におけるリスク

当社グループは、国内外において製造過程で生じる各種廃棄物や大気中または水中への排出物、製品に含有する特定の有害な化学物質等について、様々な法律による環境規制を受けております。また地球環境保全の見地から、今後ますます環境規制の強化が進むことにより、適応するための費用が増大する可能性もあります。

法律による環境規制を遵守し、様々な環境保全活動を推進しておりますが、環境規制への適応が対応能力を超えた場合の当該ビジネスからの部分撤退や対応の遅れ等により信頼が損なわれた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(15)M&Aにおけるリスク

当社グループは、競争が激化するエレクトロニクス分野において、企業価値を継続的に向上させるために必要な技術やその他の要素については内部での醸成を基本と考えておりますが、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場において短期間で優位性を確立するといった大きな相乗効果が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。

M&A実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財務状況、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ等を十分に考慮し進めております。

しかしながら、市場環境や競争環境の著しい変化や買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合、当社グループの業績や成長見通し及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(16)情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報、また、当社グループの機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、外部流出や改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や過失や盗難等によりこれらの情報が流出もしくは改ざんされる可能性があります。

万一、このような事態が生じた場合には、信用低下や被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用が発生し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

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