キヤノン — セグメント詳細
事業セグメント別の売上高・営業利益・利益率の推移(単位:百万円)
セグメント別売上高推移
セグメント別営業利益推移
セグメント別詳細データ(単位:百万円)
セグメント 指標 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025
その他及び全社
売上高 - - - - - - 139,110 123,695 143,127 144,682
営業利益 - - - - - - -73,378 -86,345 -91,174 -69,451
営業利益率 - - - - - - -52.7% -69.8% -63.7% -48%
プリンティングビジネスユニット
売上高 - - - - - - - - - 2,487,885
営業利益 - - - - - - - - - 255,759
営業利益率 - - - - - - - - - 10.3%
イメージングビジネスユニット
売上高 - - - - - - - - - 1,054,513
営業利益 - - - - - - - - - 172,871
営業利益率 - - - - - - - - - 16.4%
メディカルビジネスユニット
売上高 - - - - - - - - - 579,723
営業利益 - - - - - - - - - 327,750
営業利益率 - - - - - - - - - 56.5%
インダストリアルビジネスユニット
売上高 - - - - - - - - - 357,924
営業利益 - - - - - - - - - 62,525
営業利益率 - - - - - - - - - 17.5%
オフィス
売上高 1,804,862 1,863,688 1,804,002 1,699,653 1,437,188 - - - - -
営業利益 169,486 180,648 220,804 168,907 81,369 - - - - -
営業利益率 9.4% 9.7% 12.2% 9.9% 5.7% - - - - -
イメージングシステム
売上高 1,094,291 1,135,584 1,007,365 806,425 711,317 - - - - -
営業利益 144,413 175,913 116,955 48,167 71,805 - - - - -
営業利益率 13.2% 15.5% 11.6% 6% 10.1% - - - - -
産業機器・その他
売上高 502,334 645,758 703,265 648,165 577,130 - - - - -
営業利益 7,448 56,788 65,546 15,481 13,225 - - - - -
営業利益率 1.5% 8.8% 9.3% 2.4% 2.3% - - - - -
メディカルシステム
売上高 - 434,985 437,305 437,456 435,368 - - - - -
営業利益 - 22,505 28,839 26,744 25,244 - - - - -
営業利益率 - 5.2% 6.6% 6.1% 5.8% - - - - -
プリンティング
売上高 - - - - - 1,934,012 2,255,402 2,339,718 2,515,453 -
営業利益 - - - - - 225,693 211,974 228,309 289,884 -
営業利益率 - - - - - 11.7% 9.4% 9.8% 11.5% -
メディカル
売上高 - - - - - 651,494 803,057 552,296 568,260 -
営業利益 - - - - - 78,718 126,630 31,649 -140,437 -
営業利益率 - - - - - 12.1% 15.8% 5.7% -24.7% -
イメージング
売上高 - - - - - 480,029 513,028 861,456 937,028 -
営業利益 - - - - - 29,420 31,005 145,579 151,304 -
営業利益率 - - - - - 6.1% 6% 16.9% 16.1% -
インダストリアル・その他
売上高 - - - - - 449,915 - - - -
営業利益 - - - - - 44,308 - - - -
営業利益率 - - - - - 9.8% - - - -
インダストリアル
売上高 - - - - - - 320,817 303,807 345,863 -
営業利益 - - - - - - 58,019 58,598 68,903 -
営業利益率 - - - - - - 18.1% 19.3% 19.9% -
合計売上高 3,401,487 4,080,015 3,951,937 3,591,699 3,161,003 3,515,450 4,031,414 4,180,972 4,509,731 4,624,727
事業の内容

3【事業の内容】

  当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社グループ(2025年12月31日現在、当社及びその連結子会社321社、持分法適用関連会社8社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  なお、当社は、第125期より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、インダストリアルビジネスユニットにおけるグループ間取引の業績管理方法を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

プリンティング

デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

福島キヤノン(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

メディカル

CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューション

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

キヤノンメディカルダイアグノスティックス(株)

Quality Electrodynamics, LLC(米国)

イメージング

レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器

当社

大分キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)

インダストリアル

半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー

当社

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

その他及び全社

ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

 事業の系統図は次のとおりであります。

0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社グループ(2024年12月31日現在、当社及びその連結子会社334社、持分法適用関連会社10社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  なお、当社は、第124期より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、その他及び全社におけるグループ間取引の業績管理方法を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

プリンティング

デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

福島キヤノン(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

メディカル

CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューション

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

ミナリスメディカル(株)

Quality Electrodynamics, LLC(米国)

イメージング

レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器

当社

大分キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)

インダストリアル

半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー

当社

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

その他及び全社

ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

 事業の系統図は次のとおりであります。

0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社グループ(2023年12月31日現在、当社及びその連結子会社336社、持分法適用関連会社10社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  なお、当社は、第123期より、従来その他に含めて表示していた一部のビジネスを、プリンティングビジネスユニットに含めて表示しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

プリンティング

デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

福島キヤノン(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

メディカル

CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、検体検査装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

ミナリスメディカル(株)

Quality Electrodynamics, LLC(米国)

イメージング

レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器、プロジェクター

当社

大分キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)

インダストリアル

半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー

当社

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

その他及び全社

ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

 事業の系統図は次のとおりであります。

0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社グループ(2022年12月31日現在、当社及びその連結子会社330社、持分法適用関連会社10社で構成)は、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  なお、当社は、第122期より、プリンティングビジネスユニット、イメージングビジネスユニット、メディカルビジネスユニット、インダストリアルビジネスユニットの4つの報告セグメントと、その他及び全社に変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテックニスカ(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

プリンティング

オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

福島キヤノン(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

イメージング

レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器、プロジェクター

当社

大分キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)

メディカル

CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、検体検査装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

 Quality Electrodynamics, LLC(米国)

インダストリアル

半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー

当社

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

その他及び全社

ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

 事業の系統図は次のとおりであります。

0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当グループ(2021年12月31日現在、当社及びその連結子会社329社、持分法適用関連会社10社で構成)は、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルその他の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  なお、当社は、内部報告及び管理体制の変更に基づき、第121期より、セグメント区分の名称及び構成をプリンティングビジネスユニット、イメージングビジネスユニット、メディカルビジネスユニット、インダストリアルその他ビジネスユニットに変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテックニスカ(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

プリンティング

オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

福島キヤノン(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

イメージング

レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器、マルチメディアプロジェクター

当社

大分キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)

メディカル

CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、検体検査装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

 Canon Medical Systems Manufacturing

 Asia Sdh.Bhd.(マレーシア)

インダストリアルその他

半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.

 事業の系統図は次のとおりであります。

0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社は、内部報告及び管理体制の変更に基づき、第120期第1四半期より、従来、産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを、オフィスビジネスユニットに含めて開示しております。第119期のセグメント情報は、当該セグメント変更にあわせて組み替えて開示しております。その詳細につきましては、注22「セグメント情報」をご参照ください。

  当グループ(2020年12月31日現在、当社及びその連結子会社343社、持分法適用関連会社9社を中心に構成)は、オフィス、イメージングシステム、メディカルシステム、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルシステムセグメントの製品において、CMSCは直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテックニスカ(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

オフィス

オフィス向け複合機、レーザー複合機、レーザープリンター、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、ワイドフォーマットプリンター、ドキュメントソリューション

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

イメージングシステム

レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトフォトプリンター、インクジェットプリンター、大判インクジェットプリンター、業務用フォトプリンター、イメージスキャナー、電卓

当社

大分キヤノン(株)

福島キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

佳能珠海有限公司(中国)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

メディカルシステム

デジタルラジオグラフィ、X線診断装置、CT装置、MRI装置、超音波診断装置、検体検査装置、眼科機器

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

 Canon Medical Systems Manufacturing

 Asia Sdh.Bhd.(マレーシア)

産業機器その他

半導体露光装置、FPD露光装置、真空薄膜形成装置、有機ELディスプレイ製造装置、ダイボンダー、ネットワークカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、マルチメディアプロジェクター、放送機器、マイクロモーター、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Axis Communications AB(スウェーデン)

 事業の系統図は次のとおりであります。
0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計原則の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社は、内部報告及び管理体制の変更に基づき、第119期第1四半期より、従来、イメージングシステムビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを、産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示しております。第119期におけるセグメント情報には当該変更を反映しております。第118期においても同様に組み替えて開示しております。その詳細につきましては、注22「セグメント情報」をご参照ください。

  当グループ(2019年12月31日現在、当社及びその連結子会社361社、持分法適用関連会社8社を中心に構成)は、オフィス、イメージングシステム、メディカルシステム、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルシステムセグメントの製品において、CMSCは直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテックニスカ(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

オフィス

オフィス向け複合機、レーザー複合機、レーザープリンター、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、ワイドフォーマットプリンター、ドキュメントソリューション

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Océ-Technologies B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)

イメージングシステム

レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトフォトプリンター、インクジェットプリンター、大判インクジェットプリンター、業務用フォトプリンター、イメージスキャナー、電卓

当社

大分キヤノン(株)

福島キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

佳能珠海有限公司(中国)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

メディカルシステム

デジタルラジオグラフィ、X線診断装置、CT装置、MRI装置、超音波診断装置、検体検査装置、眼科機器

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

 Canon Medical Systems Manufacturing

 Asia Sdh.Bhd.(マレーシア)

産業機器その他

半導体露光装置、FPD露光装置、真空薄膜形成装置、有機ELディスプレイ製造装置、ダイボンダー、ネットワークカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、マルチメディアプロジェクター、放送機器、マイクロモーター、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Axis Communications AB(スウェーデン)

(注)  Océ-Technologies B.V.は、2020年1月1日付でCanon Production Printing Netherlands B.V.へ商号変更しております。

 事業の系統図は次のとおりであります。
0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計原則の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社は、内部報告及び管理体制の変更に基づき、第118期第3四半期より、従来、オフィスビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを、産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示しております。その詳細につきましては、注22「セグメント情報」をご参照ください。

  当グループ(当社及びその連結子会社379社、持分法適用関連会社8社を中心に構成)は、オフィス、イメージングシステム、メディカルシステム、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルシステムセグメントの製品において、CMSCは直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテックニスカ(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

オフィス

オフィス向け複合機、レーザー複合機、レーザープリンター、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、ワイドフォーマットプリンター、ドキュメントソリューション

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Océ-Technologies B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

イメージングシステム

レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル

シネマカメラ、交換レンズ、コンパクトフォトプリンター、インクジェットプリンター、大判インクジェットプリンター、業務用フォトプリンター、イメージスキャナー、マルチメディアプロジェクター、放送機器、電卓

当社

大分キヤノン(株)

福島キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

佳能珠海有限公司(中国)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

メディカルシステム

デジタルラジオグラフィ、X線診断装置、CT装置、MRI装置、超音波診断装置、検体検査装置、眼科機器

キヤノンメディカルシステムズ(株)

キヤノン電子管デバイス(株)

 Canon Medical Systems Manufacturing

 Asia Sdh.Bhd.(マレーシア)

産業機器その他

半導体露光装置、FPD露光装置、真空薄膜形成装置、有機ELディスプレイ製造装置、ダイボンダー、マイクロモーター、ネットワークカメラ、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)

Axis Communications AB(スウェーデン)

 事業の系統図は次のとおりであります。
0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計原則の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当社は、従来、産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを、第117期第2四半期より独立したメディカルシステムビジネスユニットとして開示しております。その詳細につきましては、注21「セグメント情報」をご参照ください。

  当グループ(当社及びその連結子会社376社、持分法適用関連会社7社を中心に構成)は、オフィス、イメージングシステム、メディカルシステム、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域毎に設立された販売関係会社により行っております。メディカルシステムセグメントの製品において、TMSCは直販もしくは地域毎に設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテックニスカ(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  事業の種類別セグメント毎の製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

事業の種類別セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

オフィス

オフィス向け複合機、レーザー複合機、レーザープリンター、デジタルプロダクションプリンティングシステム、業務用高速・連帳プリンター、ワイドフォーマットプリンター、ドキュメントソリューション

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Océ-Technologies B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

イメージングシステム

レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル

シネマカメラ、交換レンズ、コンパクトフォトプリンター、インクジェットプリンター、大判インクジェットプリンター、業務用フォトプリンター、イメージスキャナー、マルチメディアプロジェクター、放送機器、電卓

当社

大分キヤノン(株)

福島キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

キヤノンファインテックニスカ(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

宮崎キヤノン(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

佳能珠海有限公司(中国)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

メディカルシステム

デジタルラジオグラフィ、X線診断装置、CT装置、MRI装置、超音波診断装置、検体検査装置、眼科機器

東芝メディカルシステムズ(株)

東芝電子管デバイス(株)

 Toshiba Medical Systems Manufacturing

 Asia Sdh.Bhd.(マレーシア)

産業機器その他

半導体露光装置、FPD露光装置、真空薄膜形成装置、有機ELディスプレイ製造装置、ダイボンダー、マイクロモーター、ネットワークカメラ、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

Axis Communications AB(スウェーデン)

(注) キヤノンファインテック(株)は、2017年7月1日付でキヤノンファインテックニスカ(株)へ、東芝メディカルシス   テムズ(株)、Toshiba Medical Systems Manufacturing Asia Sdh.Bhd.、東芝医用ファイナンス(株)は、2018年    1月4日付でそれぞれキヤノンメディカルシステムズ(株)、Canon Medical Systems Manufacturing Asia       Sdh.Bhd.、キヤノンメディカルファイナンス(株)へ商号変更しております。

 事業の系統図は次のとおりであります。
 

0101010_001.png

3【事業の内容】

  当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計原則の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。

  当グループ(当社及びその連結子会社367社、持分法適用関連会社9社を中心に構成)は、オフィス、イメージングシステム、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。

  開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。

  販売及びサービス活動は、国内においては主としてキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域毎に設立された販売関係会社により行っております。

  また、キヤノン電子(株)、キヤノンファインテック(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。

  事業の種類別セグメント毎の製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。

事業の種類別セグメントの名称

主要製品

主な生産会社

オフィス

オフィス向け複合機、レーザー複合機、レーザープリンター、デジタルプロダクションプリンティングシステム、業務用高速・連帳プリンター、ワイドフォーマットプリンター、ドキュメントソリューション

当社

キヤノン電子(株)

キヤノンファインテック(株)

ニスカ(株)

キヤノン化成(株)

キヤノンプレシジョン(株)

長浜キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

 Canon Virginia, Inc.(米国)

Océ-Technologies B.V.(オランダ)

佳能大連事務機有限公司(中国)

佳能(中山)事務機有限公司(中国)

佳能(蘇州)有限公司(中国)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)

イメージングシステム

レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル

シネマカメラ、交換レンズ、コンパクトフォトプリンター、インクジェットプリンター、大判インクジェットプリンター、業務用フォトプリンター、イメージスキャナー、マルチメディアプロジェクター、放送機器、電卓

当社

大分キヤノン(株)

福島キヤノン(株)

長崎キヤノン(株)

大分キヤノンマテリアル(株)

キヤノンファインテック(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

 台湾佳能股份有限公司(台湾)

佳能珠海有限公司(中国)

Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)

Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)

Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)

産業機器その他

半導体露光装置、FPD露光装置、デジタルラジオグラフィ、X線診断装置、CT装置、MRI装置、超音波診断装置、検体検査装置、眼科機器、真空薄膜形成装置、有機ELディスプレイ製造装置、ダイボンダー、マイクロモーター、ネットワークカメラ、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

当社

キヤノン電子(株)

東芝メディカルシステムズ(株)

東芝電子管デバイス(株)

キヤノン・コンポーネンツ(株)

キヤノンプレシジョン(株)

キヤノンマシナリー(株)

キヤノンアネルバ(株)

キヤノントッキ(株)

Axis Communications AB(スウェーデン)

 事業の系統図は次のとおりであります。
 

0101010_001.png

事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクマネジメント体制

当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、市場競争環境の変化その他の事業運営上のリスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。

法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。

当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。

リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。

 リスクマネジメント体制

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 リスクマネジメントプロセス

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(2) 事業等のリスク

  当社グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2026年3月25日)現在において判断した記載となっております。

 リスクマップ

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(注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。

 

①事業特有の重要性が高いリスク

 

①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していくことが予想されます。

 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。

 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。

 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。

 さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、当社にとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。

①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が高度化し、撮影行為に対する嗜好も多様化しているため、多様な撮影機器間での価格と性能の競争が生じています。こうした状況により、当社製品と競合製品(スマートフォンメーカーを含む)との機能差が縮小するおそれがあり、当社が競争上の優位性を維持できない場合には、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は光学技術を中核とした差別化を推進するとともに、ディープラーニング等のAI技術を活用した静止画・動画の画質・機能向上に取り組んでいます。プロフェッショナルからエントリーユーザー向けまでの幅広い製品ラインアップの強化を図るとともに、高まる動画ニーズに対応するため、動画を軸とした製品展開も推進しています。加えて、スマートフォンネイティブ世代を中心としたクリエイティブな映像制作をサポートするため、コンパクトデジタルカメラを含む入門機の充実を図っています。また、撮影ワークフローの向上を目的に、ソフトウェア・サービスの拡充も進めています。さらに、ユーザーの表現の幅を広げるため、VR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムのラインアップおよび適用範囲の拡張にも取り組んでいます。

 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、AIやクラウドといった技術との融合により、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。当社は市場の変化をいち早く捉え、これまで培ってきた光学技術や映像処理・解析技術にAIを組み合わせ、クラウド・ネットワーク技術と融合させることで、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、映像解析ソリューションを活用したDX市場での事業拡大を進めます。

①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、昨今の地政学的リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、米国通商政策によるコスト増、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化やがんや循環器疾病の早期発見や医療従事者の負担軽減、医療分野のサイバーセキュリティ対策など市場ニーズに即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。また、様々な要因によるコストアップ分を付加価値と合わせて適切に価格に転嫁し、利益の維持・拡大を図ります。更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。

 また、個別化医療や再生医療が注目される中で、医療の潮流への影響をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。

 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。

①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。

 半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大に向けて、新生産工場を建設いたしました。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。

①-5.販売に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。

 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。

 

②事業横断的な重要性が高いリスク

 

②-1.サプライチェーンに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は部品や材料の購入から、製品の生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めております。しかし、当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しており、当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題、あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合、生産活動の中断や製造原価の上昇等を引き起す可能性があります。これに加えて、部品や材料の調達、製品の世界各国・地域へのスムーズな供給において、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、米中対立・ウクライナ紛争・中東情勢等の地政学的リスクや港湾労働者によるストライキ等の労使紛争により物流の混乱や供給停止が発生する場合、高額製品が輸送中の事故により損害を受け、保険で補償が不可能な場合、また、代替製品を顧客に納品できない場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼすとともに、販売機会の損失等により当社の経営成績に悪影響を及ぼし、顧客からの信用を失う可能性があります。さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などが当社のサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めるとともに、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理し、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。最適生産システムに関しては、自動化、ロボット化技術等を用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給網の混乱に対する耐性を高めております。品質の向上に関しては、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上活動を推進し、安定的な原材料、部品の調達に努めております。

 これらに加えて、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステム等に配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーからRBA行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守等の取り組みを促進すべく、RBAに承認されたキヤノン独自の調査票を用いた点検を毎年実施しております。

②-2.自然災害・感染症に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 感染症の拡大により、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、感染症の拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制やガイドラインの整備、訓練等を行っております。さらに、研究開発、調達、生産、品質、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。

 また、当社は、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等の緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。

 今後も自然災害や感染症の拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。

②-3.為替・金利変動に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。加えて当社は、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

☆対応・機会

 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。金利変動リスクに対しては、成長投資や将来的なM&Aなどを含む必要な資金需要を満たす一方、外部からの借入は最小限に留めることで金利変動影響を抑制し、強固な財務体質の維持に努めております。

②-4.国際政治経済に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。

 主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米国の通商政策に変化があり、当社の売上において一定の割合を占める米国販売へ影響を与える場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。

☆対応・機会

 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。

 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。

②-5.人材の確保に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響すると考えております。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。

 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。

☆対応・機会

 当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。

 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。

 また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。

 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。

 当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。

 また、急速に進歩する技術に対応すべく、優秀な技術者を発掘・任用し、支援する「高度技術者認定制度」を制定しました。

 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。

(注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(3)「人的資本」に記載しております。

②-6.情報・製品セキュリティに関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。

 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。

 また、当社の製品・サービスは、ネットワークを介してクラウドやスマートフォンと連携し、ますます利便性を高めています。電子データの活用や情報サービスの利用が進む中で、顧客に提供する製品・サービスにおいても個人情報や機密情報の漏洩などのセキュリティリスクは増大しており、インシデントが発生する可能性があります。

 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービスなどへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。

 当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。

 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティポリシー」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。

 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。

 従業員に対しても、業務に使用するソフトウエアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。

 また、当社は市場での製品セキュリティ問題へ対応するため、社内にPSIRT(Product Security Incident Response Team)を設置しております。PSIRTは、経済産業省の早期警戒パートナーシップの枠組みや外部団体と連携して、つねに脆弱性に関する市場動向に注意を払い、最新の情報を収集しています。また、当社の製品・サービスに関する脆弱性情報を世界中の研究者から受け付ける仕組みを構築すると共に、当社からお客さまへ情報を迅速に開示・掲載するための場所として、外部向けWebサイト(https://psirt.canon)を公開して、世界標準レベルの製品セキュリティ対応に取り組んでいます。

(注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「サイバーセキュリティ」に記載しております。

②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。

 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。

②-8.環境に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を適用される法令に基づき負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。

(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2)「気候変動」に記載しております。

②-9.AI技術の開発・活用に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 急速に発展するAI技術を当社の製品・サービス向けに開発・活用するにあたり、各国・地域で整備が進むAI関連の法規制を遵守する必要があります。仮に当該法規制に適合していないとの指摘を受けた場合、該当製品・サービスの販売差止めや罰則の対象となる可能性があります。

さらに、法規制に該当しない場合であっても、AIの倫理的側面への配慮が求められます。例えば、当社のAI搭載製品・サービスが、意図せず差別的な判断や誤情報の出力、予期せぬ動作を引き起こすことで、利用者や社会に悪影響を及ぼす場合、当社の社会的信頼やブランド価値が毀損され、損害賠償責任が発生する可能性があります。

また、生成AIの活用に関しては、生成されたコンテンツが第三者の著作権や商標権を意図せず侵害し、法的責任を問われる可能性があります。加えて、機密情報を外部の生成AIサービスに入力することにより、情報漏洩や不正アクセスにつながるリスクも存在します。

これらの事象が発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、独自開発したAI技術を各事業領域の製品・サービスに搭載することで、製品競争力の向上を図っております。これまで、イメージング事業やメディカル事業を中心に、AI技術によって性能・機能を大幅に向上させた製品を展開してきましたが、AI技術の製品搭載をさらに強化し、プリンティング事業やインダストリアル事業を含む全事業グループへ拡大しております。加えて、各事業においてAI技術を活用したサービスを開発・提供することにより、顧客の業務プロセスの変革に貢献しております。また、社内業務においても生成AIを積極的に活用し、業務の革新・生産性向上に取り組んでおります。

その中で、AI関連の法規制および倫理的要請を遵守し、安全・安心なAI製品・サービスの提供を実現するため、AIリスクの評価・対応に関する枠組みを全社規則として策定しております。各国・地域の法規制に加え、倫理的観点も含めたAIリスクを網羅するため、独自のAIリスク評価シートを整備し、公平性、透明性、適正利用、安全性・堅牢性、プライバシー・セキュリティ等の評価項目を設定しております。このシートを用いて、製品開発プロセスの適切な段階(計画時、開発完了時等)においてAIリスクを評価し、必要な対策を講じた上で最終承認を得ることで、製品・サービスにおけるAIリスクの最小化を図っております。また、AIリスクに関する専門組織が設置され、品質部門や法務部門と連携して、キヤノングループ全体への展開を進めております。

生成AIの活用に関しては、全社横断組織にて利用ルールや教育プログラムを整備し、全従業員に対する研修を通じて、知的財産権および情報セキュリティに関する意識・リテラシーの向上に努めております。さらに、高度なセキュリティを備えたAIサービスを選定・導入することで、インフラ面のリスク低減にも取り組んでおります。これらの施策により、生成AIの活用における安全性を確保した上で、業務の生産性向上に取り組んでおります。

 

③一般的なリスク

 

③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。

 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。

 あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。

 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。

 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。

③-2.新製品への移行に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウエア及びソフトウエアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。

 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。

 当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。

(注)当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。

③-3.有価証券に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。

(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。

③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。

 しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。なお、近年、他企業で発覚が続く品質不正のリスクについては、全社横断的な防止活動を展開し、品質不正を起こさない風土の定着を図っています。

 また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。

 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。

③-5.知的財産に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

 更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。

 当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。

 当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。

 当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。

(注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。

③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。

 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。

 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及びグローバルミニマム課税制度の導入に関するOECD/IFにおいて合意が形成されました。このうち、グローバルミニマム課税制度は各国で制度化が進められており、日本においても、2023年3月28日に成立した令和5年度税制改正により法制化されました。

 こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。

③-7.退職給付会計に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクマネジメント体制

当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、事業運営上のリスク全般の管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。

法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。

当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。

リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。

 リスクマネジメント体制

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 リスクマネジメントプロセス

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(2) 事業等のリスク

  当社グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2025年3月28日)現在において判断した記載となっております。

 リスクマップ

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(注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。

 

①事業特有の重要性が高いリスク

 

①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していくことが予想されます。

 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。

 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。

 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。

 さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、当社にとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しています。競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質且つ多様化する映像表現へのニーズに応えるため、プロやハイアマチュアからエントリーユーザー向けまで幅広いラインアップのさらなる強化を進めております。また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムも拡張しています。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。

 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、AIやクラウドといった技術との融合により、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、ネットワークカメラを活用した映像DX市場での事業拡大を進めます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、昨今の地政学的リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、がんや循環器疾病の早期発見、パンデミックや社会保障制度改革への対応、医療従事者の人手不足、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化や市場ニーズに即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。

 また、個別化医療や再生医療が注目される中で、医療の潮流への影響をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。

 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。

 半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大に向けて、新生産工場の建設を進めております。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-5.販売に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。

 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。

 

②事業横断的な重要性が高いリスク

 

②-1.サプライチェーンに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は部品や材料の購入から、製品の生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めております。しかし、当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しており、当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題、あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合、生産活動の中断や製造原価の上昇等を引き起す可能性があります。

 これに加えて、部品や材料の調達、製品の世界各国・地域へのスムーズな供給において、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、米中対立・ウクライナ紛争・中東情勢等の地政学的リスクや港湾労働者によるストライキ等の労使紛争により物流が混乱する場合、高額製品が輸送中の事故により損害を受け、保険で補償が不可能な場合、また、代替製品を顧客に納品できない場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼすとともに、販売機会の損失等により当社の経営成績に悪影響を及ぼし、顧客からの信用を失う可能性があります。

 さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などが当社グループのサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めるとともに、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理し、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。最適生産システムに関しては、自動化、ロボット化技術等を用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。品質の向上に関しては、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上活動を推進し、安定的な原材料、部品の調達に努めております。

 これらに加えて、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステム等に配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーから行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守等の取り組みを促進すべく、RBAに承認されたキヤノン独自の調査票を用いた点検を毎年実施しております。

②-2.自然災害・感染症に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 感染症の拡大により、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、感染症の拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制やガイドラインの整備、訓練等を行っております。さらに、研究開発、調達、生産、品質、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。

 また、当社は、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等、緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。

 今後も自然災害や感染症の再拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。

②-3.為替・金利変動に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。加えて当社は、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

☆対応・機会

 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。金利変動のリスクに対しては、外部からの借入を最小限に抑え、金利動向に左右されない強固な財務体質の維持に努めております。

②-4.国際政治経済に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。

 主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米国の通商政策に変化があり、当社の売上において一定の割合を占める米国販売へ影響を与える場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。

☆対応・機会

 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。

 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。

②-5.人材の確保に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響すると考えております。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。

 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。

☆対応・機会

 当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。

 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。

 また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。

 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。

 当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。

 また、急速に進歩する技術に対応すべく、優秀な技術者を発掘・任用し、支援する「高度技術者認定制度」を制定しました。

 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。

(注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(6)「人的資本」に記載しております。

②-6.情報・製品セキュリティに関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。

 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。

 また、当社の製品・サービスは、ネットワークを介してクラウドやスマートフォンと連携し、ますます利便性を高めています。電子データの活用や情報サービス機能の利用が進む中で、顧客に提供する製品・サービスにおいても個人情報や機密情報の漏洩などのセキュリティリスクは増大しており、インシデントが発生する可能性があります。

 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。

 当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。

 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。

 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。

 従業員に対しても、業務に使用するソフトウエアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。

 また、当社は市場での製品セキュリティ問題へ対応するため、社内にPSIRT(Product Security Incident Response Team)を設置しております。PSIRTは、経済産業省の早期警戒パートナーシップの枠組みや外部団体と連携して、つねに脆弱性に関する市場動向に注意を払い、最新の情報を収集しています。また、当社の製品・サービスに関する脆弱性情報を世界中の研究者から受け付ける仕組みを構築すると共に、当社からお客さまへ情報を迅速に開示・掲載するための場所として、外部向けWebサイト(https://psirt.canon)を公開して、世界標準レベルの製品セキュリティ対応に取り組んでいます。

(注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(8)「サイバーセキュリティ」に記載しております。

②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。

 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。

②-8.環境に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。

(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「気候変動」に記載しております。

 

③一般的なリスク

 

③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。

 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。

 あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。

 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。

 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。

③-2.新製品への移行に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウエア及びソフトウエアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。

 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。

 当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。また、当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。

③-3.有価証券に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。

(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。

③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。

 しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。

 また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。

 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。

③-5.知的財産に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

 更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。

 当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。

 当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。

 当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。

(注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。

③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。

 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。

 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及びグローバルミニマム課税制度の導入に関するOECD/IFにおける合意に基づき、各国・地域での制度化が進められております。このうち、グローバルミニマム課税制度についてはEU主要国や韓国、オーストラリア、ベトナム、タイなどですでに制度化され、また我が国日本においても2023年3月28日に成立した令和5年度税制改正において法制化されました。

 こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。

③-7.退職給付会計に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクマネジメント体制

当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、品質リスクや情報漏洩リスクその他の主要な事業リスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。

法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。

当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。

リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。

 リスクマネジメント体制

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 リスクマネジメントプロセス

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(2) 事業等のリスク

  当社グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2024年3月28日)現在において判断した記載となっております。

 リスクマップ

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(注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。

 

①事業特有の重要性が高いリスク

 

①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していく可能性があります。

 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。

 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。

 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。

 さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、当社にとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しながら、縮小しております。競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質且つ多様化する映像表現へのニーズに応えるため、プロやハイアマチュアからエントリーユーザー向けまで幅広いラインアップのさらなる強化を進めております。また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムを新たに立ち上げております。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。

 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化、また、医療現場における対面や接触の回避など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、スマートシティなど新たに活躍する市場を確立し、社会インフラの構築に貢献していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、昨今の地政学リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、がんや循環器疾病の早期発見、パンデミックや社会保障制度改革への対応、医療従事者の人手不足、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化や市場ニーズに即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。

 また、今後も部品逼迫等の長期化への対応や地政学的なリスクヘッジなど、各国・地域の市場の変化をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。

 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。

 半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大に向けて、新生産工場の建設を進めております。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-5.販売に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。

 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。

 

②事業横断的な重要性が高いリスク

 

②-1.サプライチェーンに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めておりますが、部品及び材料の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しております。当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、当社の生産活動の中断や製造原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 製品を世界各国・地域に供給するために、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。

 また、ウクライナ・中東情勢等の地政学的リスクにより、物流の混乱、部品及び材料の価格高騰や逼迫が生じた場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼします。

 さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などが当社グループのサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めております。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めております。

 また、当社ではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っております。

 さらに、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステムなどに配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーからRBA行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守などの取り組みを促進すべく、RBAのSAQ(Self-Assessment Questionnaire)を用いた点検を毎年実施しております。

②-2.自然災害・感染症に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 新型コロナウイルス感染症については、日本国内においては5類感染症への移行により法的な制限がなくなり、経済活動への影響が低減しました。日本国外に目を向けても、事業活動が大きく制限されるリスクは軽減されてきました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っております。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。

 また、当社は、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等、緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。

 今後も自然災害や感染症の再拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。

②-3.為替・金利変動に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。加えて当社は、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

☆対応・機会

 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。金利変動のリスクに対しては、外部からの借入を最小限に抑え、金利動向に左右されない強固な財務体質の維持に努めております。

②-4.国際政治経済に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。

 主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。

☆対応・機会

 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。

 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。

②-5.人材の確保に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響すると考えております。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。

 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。

☆対応・機会

 当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。

 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。

 また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。

 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。

 当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。

 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。

(注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(4)「人的資本」に記載しております。

②-6.情報セキュリティに関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されております。

 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。

 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。

 当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。

 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。

 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。

 従業員に対しても、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。

(注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「サイバーセキュリティ」に記載しております。

②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。

 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。

②-8.環境に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。

(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(3)「気候変動(TCFD提言に即した開示)」に記載しております。

 

③一般的なリスク

 

③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。

 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。

 あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。

 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。

 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。

③-2.新製品への移行に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。

 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。

 当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。また、当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。

③-3.有価証券に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。

(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。

③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。

 しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。

 また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。

 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。

③-5.知的財産に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

 更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。

 当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。

 当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。

 当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。

(注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。

③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。

 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。

 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及び法人税の最低税率の導入に関するOECD/IFにおける合意に基づき、各国・地域での制度化が進められております。最低税率の導入についてはEU主要国や韓国、オーストラリア、ベトナム、タイなどですでに制度化され、また我が国日本においても2023年度税制改正において法制化されました。

 こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。

③-7.退職給付会計に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。

2【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント体制

当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を置いております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、品質リスクや情報漏洩リスクその他の主要な事業リスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。

法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。

当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。

リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。

 リスクマネジメント体制

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 リスクマネジメントプロセス

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(2) 事業等のリスク

  当社グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2023年3月30日)現在において判断した記載となっております。

 リスクマップ

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(注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。

 

①事業特有の重要性が高いリスク

 

①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していく可能性があります。

 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでいます。

 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因していますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めています。

 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。

 また、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野においても、当社にとって成長期待の高い領域に向けて新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しながら、縮小しています。競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性の維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質な映像表現へのニーズの高まりを捉えるため、特にプロやハイアマチュアユーザー向けを中心に製品力の更なる強化を進めております。また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムを新たに立ち上げております。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。

 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化、また、医療現場における対面や接触の回避など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、スマートシティなど新たに活躍する市場を確立し、社会インフラの構築に貢献していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っていますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、昨今の不安定な市場環境や部品逼迫、部材・資源価格の高騰、高インフレの長期化に加え、地政学的な問題の増加、コロナ環境がもたらした患者の検診状況、がんや循環器病系の発見遅れによる医療費の圧迫、社会保障における医療費削減や費用分担比率の変化などから事業環境の変化に即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 各国・地域の様々な事業環境変化に対応する中での医療関連事業・産業の在り方を明確にし、部品調達・物流の状況をきめ細かく見極め、お客様のご要望に応えられるようサプライチェーンの強靭化を図るとともに、技術流出や国産優遇のリスクをミニマム化し、特に新興国を含む新規市場開拓を推進いたします。

 また、今後も部品逼迫等の長期化への対応や地政学的なリスクヘッジなど、各国・地域の市場の変化をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。

 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めています。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上を始め、仕様の追加や顧客ニーズの高いサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っています。また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。

 半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大が見込まれることから新生産工場の建設を決定しました。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じています。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

①-5.販売に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築していますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しています。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。

 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応し、更に小型化、高機能化を進めることに加え、拡張性を備えた競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。

 

②事業横断的な重要性が高いリスク

 

②-1.サプライチェーンに関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社は原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めていますが、部品及び材料の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しています。当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、当社の生産活動の中断や製造原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、昨今の世界的な半導体部品不足に対し、供給不足の長期化や部品調達環境のさらなる悪化が生じる場合、調達コストの増加による製造原価の上昇や、顧客への納品遅延による売上の機会損失により当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 製品を世界各国・地域に供給するために、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。

 また、ウクライナ情勢等の地政学的リスクにより、物流の混乱、部品及び材料の価格高騰や逼迫が生じた場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼします。

 さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みが、国際的に求められているため、人権に関連する法令違反や倫理違反などが当社グループのサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めています。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めています。

 また、当社ではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っています。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っています。

 さらに、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステムなどに配慮した調達活動を推進しています。また、主要サプライヤーについては、RBA行動規範の遵守に関する同意書を取得するほか、児童労働・強制労働・過重労働を防止し、労働安全衛生を確保することを目的に、RBAのSAQ(Self Assessment Questionnaire)を用いた自己点検を毎年実施しています。

②-2.自然災害・感染症に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:高

●リスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症については変異株による感染が拡大していましたが、各地でワクチン接種が進み、経済活動の再開や回復が続いております。しかしながら、新型コロナウイルスの感染が再拡大・長期化し、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しています。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っています。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。

 また、当社は、安定した事業活動維持のため、時差出勤・リモートワークの実施などの感染拡大防止につながる各種対応を継続して行っております。また各拠点には、産業医や保健師を配置し、感染症に対して適切な対応に努めています。

 今後も感染症が拡大する状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。

②-3.国際政治経済に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:中

●リスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生、急激な為替レートの変動と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。

 主要な市場における景気後退、ウクライナ情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そして、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。

 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。

☆対応・機会

 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しています。

 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施し、直近の為替水準を反映した価格で製品を市場に投入するなどの対策を講じております。

 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しています。

②-4.人材の確保に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。

 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。

☆対応・機会

 当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っています。

 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しています。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えています。

 また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしています。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しています。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しています。

 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しています。

 当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っています。

 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っています。

(注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(6)「人的資本」に記載しております。

②-5.情報セキュリティに関連するリスク

影響度:中

発生可能性:高

●リスク

 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。

 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っています。

 当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っています。

 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しています。

 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っています。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しています。

 従業員に対しても、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めています。

(注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(7)「サイバーセキュリティ」に記載しております。

②-6.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。

 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めています。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。

②-7.環境に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しています。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めています。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。

(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(5)「気候変動とTCFDへの対応」に記載しております。

 

③一般的なリスク

 

③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。

 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っています。

 あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。

 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。

 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。

③-2.新製品への移行に関連するリスク

影響度:大

発生可能性:低

●リスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。

 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。

 当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めています。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。また、当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 5「研究開発活動」に記載しております。

③-3.有価証券に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。

(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。

③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。

 しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

 当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しています。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っています。

 また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させています。

 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしています。

③-5.知的財産に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:中

●リスク

 頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

 更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しています。

 当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れています。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しています。

 当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しています。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげています。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしています。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しています。

 当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しています。

(注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。

③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。

 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。

 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及び法人税の最低税率の導入を、各国・地域が足並みを揃えて制度化する準備が進められており、最低税率の導入については2023年内の法制化が、市場国へ課税権を配分する制度は2024年以降の制度化が見込まれており、我が国日本においても、2023年度税制改正においてグローバル・ミニマム課税が法制化されることが内定しています。

 こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。

③-7.退職給付会計に関連するリスク

影響度:中

発生可能性:低

●リスク

 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。

(注)未払退職及び年金費用の会計方針については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ②「重要な会計方針及び見積り」に記載しております。

2【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント体制

当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する方針や施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を置いております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、品質リスクや情報漏洩リスクその他の主要な事業リスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。

法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。

当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。

リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を検証し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。

 リスクマネジメント体制

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 リスクマネジメントプロセス

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(2) 事業等のリスク

  当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2022年3月30日)現在において判断した記載となっております。

 リスクマップ

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(注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「事業特有の重要性が高いリスク」、「事業横断的な重要性が高いリスク」、「一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。

 

事業特有の重要性が高いリスク

 

1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:大

●リスク

複合機やレーザープリンターなどのオフィス向けプリンター市場においては、顧客のコスト削減や環境意識の高まりに加え、オフィスのワークフローのデジタル化やリモートワークの普及が進むことで、顧客のプリント機会が減少する可能性があります。

市場変化に対応した製品やサービスを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、依然として高いニーズがあるオフィス業務の効率化に資する高機能機のほか、クラウド連携やセキュリティを強化した製品・サービスの提供に取り組んでおります。また、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的に成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野においても、特に成長期待の高いグラフィックアーツやパッケージングの領域に注力し需要の取り込みを図っております。

インクジェットプリンターや小型レーザープリンターなどの家庭用プリンター市場においては、新型コロナウイルスの感染拡大により在宅勤務や在宅学習の需要が高まり、家庭でのプリント機会が増加しています。

また、新型コロナウイルスがもたらした新たなワークスタイルやオフィス環境の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:大

●リスク

カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しながら、縮小しています。競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性の維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質な映像表現へのニーズの高まりを捉えるため、特にプロやハイアマチュアユーザー向けを中心に製品力の更なる強化を進めております。また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムを新たに立ち上げております。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。

ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、店舗での顧客行動の分析や工場での生産状況の把握、また、医療現場における対面や接触の回避など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、スマートシティなど新たに活躍する市場を確立し、社会インフラの構築に貢献していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:大

●リスク

画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っていますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、昨今の貿易摩擦による不安定な市場環境や部材・コンテナ不足に加え、自国優先主義の加速、患者の検診控えがもたらすがんや循環器病系の増加による医療費の圧迫、社会保障における医療費削減や費用分担比率の変化など新型コロナウイルスが及ぼす環境の変化を大きく受ける事業環境にあり、事業環境の変化を読みきれない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

各国・地域の様々な事業環境変化に対応する中での医療関連事業・産業の在り方を明確にし、部品調達・物流の状況をきめ細かく見極め、お客様のご要望に応えられるようサプライチェーンの強靭化を図るとともに、技術流出や国産優遇のリスクをミニマム化し、特に新興国を含む新規市場開拓を推進いたします。

また、各国・地域の市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施し、詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っております。

医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

発生可能性:中

影響度:大

●リスク

半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化や販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めています。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上を始め、仕様の追加や顧客ニーズの高いサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っています。また、自社の生産設備への投資については、急激な需要変動を前提に慎重を期しており、既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じています。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。

5.販売に関連するリスク

発生可能性:低

影響度:大

●リスク

当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築していますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しています。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は、直接、間接販売のチャネルを各地域毎でバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。

また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応し、更に小型化、高機能化を進めることに加え、拡張性を備えた競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。

 

事業横断的な重要性が高いリスク

 

6.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

発生可能性:低

影響度:大

●リスク

当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。

また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めています。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。

7.国際政治経済に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:大

●リスク

当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生、急激な為替レートの変動と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。

 主要な市場における景気後退、ウクライナ情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そして、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。

 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。

☆対応・機会

政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しています。

急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施し、直近の為替水準を反映した価格で製品を市場に投入するなどの対策を講じております。

予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しています。

8.サプライチェーンに関連するリスク

発生可能性:高

影響度:大

●リスク

当社は原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めていますが、部品及び材料の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しています。当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、当社の生産活動の中断や製造原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、昨今の世界的な半導体部品不足に対し、供給不足の長期化や部品調達環境のさらなる悪化が生じる場合、調達コストの増加による製造原価の上昇や、顧客への納品遅延による売上の機会損失により当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

製品を世界各国・地域に供給するために、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。

また、ウクライナ情勢により、物流の混乱、部品及び材料の価格高騰や逼迫が生じた場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼします。

さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みが、国際的に求められているため、人権に関連する法令違反や倫理違反などが当社グループのサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めています。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めています。

また、当社ではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っています。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っています。

さらに、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。

9.自然災害・感染症に関連するリスク

発生可能性:高

影響度:大

●リスク

当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症については変異株による感染が拡大していましたが、各地でワクチン接種が進み、経済活動の再開や回復が続いております。しかしながら、新型コロナウイルスの感染が再拡大・長期化し、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。

☆対応・機会

当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しています。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っています。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。

また、当社は、時差出勤・リモートワークの実施など、働き方による感染拡大の防止に加え、社内施設の室内換気や、共有スペースにおける間隔を空けた座席配置、手洗いうがいの励行など感染拡大防止につながる各種対応を行っております。また各拠点には、産業医や保健師を配置し、感染症に対して適切な対応に努めています。感染症の疑いがある場合においては、速やかに検査を実施できる体制を整え、従業員とその家族、お客様、取引先、近隣の皆様に感染が拡大しないような仕組みを設けています。

今後も感染症が拡大する状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。

10.人材の確保に関連するリスク

発生可能性:高

影響度:中

●リスク

当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。

有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。

☆対応・機会

当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っています。

採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しています。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えています。

また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしています。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しています。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しています。

人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しています。

当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っています。

これらの取組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っています。

11.環境に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:中

●リスク

当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しています。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めています。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。

(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

12.情報セキュリティに関連するリスク

発生可能性:高

影響度:中

●リスク

当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

これらの電子データに関し、ハッカーやコンピュータウィルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。

このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っています。

当社は、情報セキュリティ担当役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っています。

また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しています。

サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、電子メールの侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っています。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しています。

従業員に対しても、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社およびグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めています。

 

一般的なリスク

 

13.有価証券に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:中

●リスク

当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。

(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。

14.製品品質・製造物責任に関連するリスク

発生可能性:低

影響度:大

●リスク

当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。

キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っています。

あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。

また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。

万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。

15.新製品への移行に関連するリスク

発生可能性:低

影響度:大

●リスク

当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。

新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。

当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めています。

(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。また、当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 5「研究開発活動」に記載しております。

16.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:中

●リスク

当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。

しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

☆対応・機会

当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しています。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っています。

また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させています。

さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしています。

17.知的財産に関連するリスク

発生可能性:中

影響度:中

●リスク

頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。

上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しています。

当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れています。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しています。

当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しています。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげています。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしています。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しています。

当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しています。

18.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

発生可能性:低

影響度:中

●リスク

経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社および当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。

また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。

さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度および法人税の最低税率の導入を、2023年を目標に各国・地域が足並みを揃えて制度化する準備が進められています。

こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。

19.退職給付会計に関連するリスク

発生可能性:低

影響度:中

●リスク

当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

☆対応・機会

当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。

(注)未払退職及び年金費用の会計方針については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ②「重要な会計方針及び見積り」に記載しております。

2【事業等のリスク】

  当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2021年3月30日)現在において判断した記載となっております。

事業特有の重要性が高いリスク

1.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク

 複合機やレーザープリンターなどの事務機市場においては、顧客のコスト削減や環境意識の高まりに加え、オフィスのワークフローのデジタル化やリモートワークの普及が進むことで、顧客のプリント機会が減少する可能性があります。

 こうしたリスクに対して、当社は、依然として高いニーズがあるオフィス業務の効率化に資する高機能機のほか、クラウド連携やセキュリティを強化した製品・サービスの提供に取り組んでおります。また、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的に成長が見込まれる商業印刷の分野においても、特に成長期待の高いグラフィックアーツやパッケージングの領域に注力し需要の取り込みを図っております。

 当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。一方で、市場変化に対応した製品やサービスを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク

  スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しています。その結果、デジタルカメラの市場は価格と性能の競争が激化しながら、縮小しています。

 このような状況下、当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの差別化を一層図り、特にプロやハイアマチュアユーザー向けモデルを中心に製品力の更なる強化を進めております。また、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。

 当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。一方で、競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク

 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っていますが、各国における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。

 また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。加えて、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的には市場が拡大・成長していますが、一方、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。

 当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。また、当社は、詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っておりますが、今後の新技術・新製品の臨床効果及び事業環境の変化を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

 このような状況下、当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化や販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進め、収益基盤の安定化を図っています。また、自社の生産設備への投資については、急激な需要変動を前提に慎重を期しており、既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じています。

 当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。一方、市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

5.販売に関連するリスク

 当社は、当社のOEMパートナーであるHP Inc.との関係及び当社製品を販売する大手ディーラーとの関係に支障が生じた場合や、競合他社による買収が行われた場合に、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。

 さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築していますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、当社と取引がある大手ディーラーとも良好な関係を構築しています。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、インターネットビジネスの急速な普及を踏まえ、従来の流通プロセスに加え、さまざまなチャネルを活用したオンライン販売を展開し、注力しておりますが、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

事業横断的な重要性が高いリスク

6.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。

7.国際政治経済に関連するリスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生、急激な為替レートの変動と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。

 当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの主要な市場において景気が後退した場合や米中貿易摩擦の問題がさらに深刻化した場合など、政治、外交問題または不利な経済状況の発生時には、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や診断機器、産業機器などのコーポレート向けまたは医療機関向け製品の需要は顧客の経営状態に影響され、経営状態の悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。一方で、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の動向に左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の売上が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そして、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。

 加えて、世界の各国・各地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。

 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しています。

 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施し、直近の為替水準を反映した価格で製品を市場に投入するなどの対策を講じております。

 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しています。

 上記の対応にもかかわらず、当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.サプライチェーンに関連するリスク

 当社は製品を開発し、原材料及び部品を購入して製品を生産し、全世界で販売することを主な事業としております。その事業活動の中で、原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めていますが、原材料及び部品の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクに対し、当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めています。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図ることにより、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めています。

 また、当社ではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っています。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っています。

 一方で、当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しています。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、当社の生産活動の中断や製造原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効に機能するかにかかっておりますが、コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。

9.自然災害・感染症に関連するリスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクに対し、当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しています。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っています。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムついては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大は、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼしています。発生当初は世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、当社は一部の工場で一時的に操業を停止し、減産するなどの対応を取りました。その後、日本政府の緊急事態宣言や世界各地のロックダウン、外出規制など、経済活動制限の影響により、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などを背景に、当社の販売活動も悪影響を受けております。当社は対策チームを設置し、社内外大規模イベントの中止や時差出勤・リモートワークの実施など、感染拡大の防止に努める一方で、このような外部環境の変化に対応し、国内・海外における生産活動及び販売活動の回復に取り組んでおります。

 COVID-19の収束時期についてはいまだ見通しが立っておらず、感染がさらに拡大、長期化し、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、今後も当社のビジネス及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.人材の確保に関連するリスク

 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。

 また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。

 こうしたリスクに対し、当社は、有能な人材にとって魅力ある場を提供するため、従業員それぞれの個性や価値観を生かし、一人ひとりが高いモチベーションを持ち、能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。中でも、グローバルに事業活動を展開する上で、各国・地域の労働関連法令の遵守を徹底し、人権を尊重するとともに、さまざまな研修制度を整備して従業員の能力向上を支援しているほか、国際舞台でリーダーシップを発揮できる人材の育成を強化しています。また、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っております。

 しかし、有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.環境に関連するリスク

 当社は、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等環境における様々なリスクを認識し、また日本、外国の環境に関する規制の適用を受けているため、これらのリスク及び規制の強化により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

 このようなリスクに対し、当社はグループを挙げて省エネ活動、省エネ製品開発等、気候変動対応に取り組むと同時に高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化を進めています。また、グリーン調達による化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進しています。さらに、日本及び外国の環境に関する規制に準拠するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。

 しかしながら、このような対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12. 情報セキュリティに関連するリスク

 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

  これらの電子データの利用に関しては、データのアクセス制限やセキュリティ対策をはじめ、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修などを全社で行い、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地に渡っております。日本国内及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。

 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

一般的なリスク

13.有価証券に関連するリスク

 当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。

 これらのリスクに対し当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、グループ内の経営資源で実現することが困難で、体制の強化に有益と判断したものについてのみ、中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。

 しかし、結果として株式及び債券市場の変動によって影響を受け、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク

 当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者も多数存在しております。これらのアフター・セールス事業の地位をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があります。

 これらのリスクに対し、当社は、本社所管部門が中心となって、関連部門の従業員に対する定期的な研修の実施等のリスクマネジメント活動を実施しています。

 しかし、訴訟、調査が発生した場合の一連の手続には費用が嵩み、結果として当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

15.ブランド価値 (品質、模倣品、コンプライアンス)に関連するリスク

 当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、模倣品の流通、コンプライアンスの不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社は模倣品の増加を防止するための施策をとっておりますが、その生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  当社では、法令や規制の遵守のため、当社グループにおけるコンプライアンス体制を整備しておりますが、コンプライアンスが徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。また、当社グループのサプライチェーン上で発生した問題により、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性もあります。

16.新製品への移行に関連するリスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。当社は、上記のリスクに対応するため、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給する体制を有しておりますが、競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

17.訴訟に関連するリスク

 当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

18.知的財産に関連するリスク

 頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

 このリスクに対し、当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行う中で、知的財産専門の組織を設置し、関係部門と連携の上、特許、商標及びその他の知的財産権を組み合わせ、技術及び知的財産の保護に努めております。

 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

19.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

  当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に回収可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行っております。このOECDの各種報告書や世界的なデジタル課税の方向性などを踏まえ、当社は、当社の移転価格に係る方針などを見直しております。

 しかしながら、各国の税務当局との見解の相違が生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

20.退職給付会計に関連するリスク

 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2【事業等のリスク】

  当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2020年3月27日)現在において判断した記載となっております。

経済環境に関連するリスク

1.主要な市場の経済動向に関連するリスク

  当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各地において事業活動を展開しております。これらの主要な市場において景気が後退した場合、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や診断機器、産業機器などのコーポレート向けまたは医療機関向け製品の需要は顧客の経営状態に影響され、経営状態の悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。また、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の度合いに左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の販売価格が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.為替・金利変動に関連するリスク

  当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、当社の経営成績及び財政状態は外貨に対する円の価値変動により大きな影響を受ける可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。当社は、外国為替変動の影響を緩和するために最大限の措置を講じておりますが、当社の連結財務諸表は継続的に影響を受ける可能性があります。また、当社は、当社の金融資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

3.有価証券に関連するリスク

 当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、当社の経営成績及び財政状態は、株式及び債券市場の変動によって影響を受けます。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実現する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。

4.原材料価格に関連するリスク

 当社の生産活動に使用される鉄鋼、非鉄金属、石油化学製品等の原材料価格の高騰は生産コスト上昇につながる恐れがあり、これらのコストを当社の販売価格に充分に転嫁できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

業界及び事業活動に関連するリスク

5.国際的な事業活動に関連するリスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には以下のような様々なリスクがあります。

・政治、外交問題または不利な経済状況の発生

・急激な為替レートの変動

・予期しない政策及び法制度、規制等の変更

・知的財産権制度の未整備

・人材の採用と維持の難しさ

・生産インフラの未整備

 当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.次世代技術への投資に関連するリスク

 当社は、次世代技術の研究開発に率先して投資を行っておりますが、当社の競合者は、そのような技術における研究開発において、当社より早期に画期的な進歩を遂げる可能性があります。また、競合している技術において、他社に先行されることで、結果として当社で開発中の製品が競争力を失う可能性があります。

 技術の進歩に伴い、開発及び生産設備への投資も継続しております。当社の経営戦略と市場のニーズにズレが生じた場合、当社はその投資を回収できず、ビジネスチャンスを失い、結果として、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は自動化・内製化を推進するための生産技術開発及び装置製造に取り組んでおりますが、これらを効果的に実施できなかった場合は、製品のコスト優位性や差別化が実現できず、同様に当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また技術・製品開発において差別化は重要な戦略ですが、当社が開発する新技術・製品の需要を正確に評価し、かつ市場において受け入れられるか検証する必要があります。当社が独自性を追求しすぎ、結果として市場のトレンドと相反するような事態が発生した場合、同様に当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

 また、次世代技術をもって新たな事業分野に参入することも当社の経営戦略における重点施策として想定されますが、その場合においても、ビジネスモデルが構築できない、あるいは新たな競合者との競争に巻き込まれるリスクは存在し、結果として、当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

7.新製品への移行に関連するリスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさ、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、かかるリスクが発生した場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク

 複合機や複写機、レーザープリンターなどの事務機市場では、近年、顧客のコスト削減や環境保護の観点から、オフィスでのプリント環境の最適化を目指したマネージドプリントサービスの導入が進められてきており、それによって事務機のプリント枚数が減少していく可能性があります。

 また、オフィスにおけるワークフローのデジタル化が進むことで、顧客のプリント機会の減少をもたらす可能性があります。こうした市場動向に対応した製品やサービスを当社が提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

9.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク

  デジタルカメラの市場が縮小する中、これまで以上に価格と性能の競争が激化しています。また、スマートフォンを含めた他のデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しています。今後消費者のニーズに訴求し、且つ他のデジタルデバイス・競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.医療機器市場における認証・承認、保険制度等の事業環境対応に関連するリスク

  画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。また、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的には市場が拡大・成長していますが、一方、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。当社は、これらについて詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っておりますが、今後の新技術・新製品の臨床効果及び事業環境の変化を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

  半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置やFPD露光装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

12.販売に関連するリスク

 当社製品を販売する大手ディーラーとの関係に支障が生じた場合や、競合他社による買収が行われた場合に、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

13.特定サプライヤーへの依存に関連するリスク

  当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しております。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足が発生する場合等には、当社の生産活動が中断される可能性があります。さらに、市場の需給状況等により特定サプライヤーから購入する部品や材料の価格が高騰する場合もあります。特定のサプライヤーに依存していることにより、これらの事象が顕在化すると、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク

  当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者の数も増加してきております。これらのアフター・セールス事業をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があり、その際の訴訟、調査、一連の手続には費用が嵩み、当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

15.売上・需要予測に関連するリスク

 当社のコンシューマ向け製品の売上には、一般的に季節的なトレンドがあります。季節的なトレンドを作り出す多くの要因は、当社ではコントロールできない可能性があります。結果として不均衡な売上パターンは、当社の短期の需要予測を困難にし、在庫管理や物流システムに負担をかける結果となります。当社の供給が実際の需要を超過する場合、過剰在庫となり、それにより値下げや資金効率の低下を引き起こし、収益の減少につながる可能性があります。一方で、実際の需要が当社の供給を超過する場合、全ての注文に対応することができず、結果として売上の機会損失をもたらし、経営成績の予期せぬ変動要因となる可能性があります。

16.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

17.物流・流通に関連するリスク

 当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効であるかにかかっております。コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、当社のオペレーションの混乱を招くのみならず物流コストを増加させ、また配送の遅延による売上の機会損失をもたらします。また、当社のコンシューマ向け製品の需要は年間を通じて変動するため、輸送スペース(船舶、航空機)の予約や倉庫の確保等について適切な調整が必要となりますが、その調整が行えない場合、売上の機会損失の発生、もしくは不必要なコスト増を引き起こすこととなります。

 また、半導体露光装置やFPD露光装置等は近年、より精密化、高価格化、大型化が進み、それに対応した荷役や輸送が必要です。しかしながら、精密な故に荷役や輸送段階における軽微な衝撃等によって全損害となり、高価格化が故に損害が拡大するリスクをはらんでおります。当社の抱える精密化・高価格化が進んだ製品の多くが、全損害となる場合は、当社は当該製品に対する販売の機会損失やコスト増、または顧客からの信頼を失う可能性があります。

 また、原油価格の高騰や輸送スペースの需給バランスを原因とする運賃の高騰は、当社の物流コストの増加をもたらし、結果として経営成績に悪影響を与える可能性があります。

その他のリスク

18.自然災害等に関連するリスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。当社は設備や情報システムに対してのバックアップ体制を整えておりますが、先に述べたような災害、有害物質の流出、情報システムの停止の影響を防いだり、軽減したりできる保証はありません。また、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で生産するというバックアップ体制も一部整えておりますが、全ての機種と数量を保証できるものでもありません。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、さらには当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行は、特にアジア地域でのサプライチェーンや生産活動に混乱をきたしており、当社は一部の工場で一時的に操業を停止したり、減産するなどの対応をとりました。また、販売においても、新型コロナウイルスによる世界経済や市場への悪影響を受ける可能性がありますが、今後の感染拡大の規模や収束の時期についての見通しはたっておらず、現時点で業績に与える影響を予測することは困難であります。

19.ブランド価値に関連するリスク

  当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、模倣品の流通、コンプライアンス遵守の不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。模倣品に関して、当社は模倣品の増加を防止するための施策をとっておりますが、模倣品の生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、法令や規制の遵守及びその適切な対応を中心として、コンプライアンスの遵守が当社において全般的に徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

20.環境に関連するリスク

  当社は、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等に関する日本及び外国の環境に関する規制の適用を受けており、これらの規制により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあり、この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

21.訴訟に関連するリスク

  当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

22.知的財産に関連するリスク

  頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、市場でのプロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっております。当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行っており、そのため、特許、商標及びその他の知的財産権の組み合わせにより、技術の保全に努めておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

  また、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

  当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

  また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

  また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

  上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

23.人材の確保に関連するリスク

  当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、また研究成果や技術が流出するリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。現在、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っておりますが、このような技能が適切に伝承されない場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

24.電子データへの依存に関連するリスク

  当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

  これらの電子データの利用に関しては、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。

  このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。

  その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

25.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

  当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に実現可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行っております。

  当社は、企業市民として税金を納めるのは、基本的かつきわめて重要な責任と考えており、これらの改正や見直しにより重要な影響を受けることはないと考えております。しかしながら、新たに定められた移転価格文書などを通し、各国の税務当局との見解の相違が生じる可能性があります。

26.退職給付会計に関連するリスク

  当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2【事業等のリスク】

  当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2019年3月28日)現在において判断した記載となっております。

経済環境に関連するリスク

1.主要な市場の経済動向に関連するリスク

  当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各地において事業活動を展開しております。これらの主要な市場において景気が後退した場合、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や診断機器、産業機器などのコーポレート向けまたは医療機関向け製品の需要は顧客の経営状態に影響され、経営状態の悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。また、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の度合いに左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の販売価格が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.為替・金利変動に関連するリスク

  当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、当社の経営成績及び財政状態は外貨に対する円の価値変動により大きな影響を受ける可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。当社は、外国為替変動の影響を緩和するために最大限の措置を講じておりますが、当社の連結財務諸表は継続的に影響を受ける可能性があります。また、当社は、当社の金融資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

3.有価証券に関連するリスク

 当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、当社の経営成績及び財政状態は、株式及び債券市場の変動によって影響を受けます。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実現する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。

4.原材料価格に関連するリスク

 当社の生産活動に使用される鉄鋼、非鉄金属、石油化学製品等の原材料価格の高騰は生産コスト上昇につながる恐れがあり、これらのコストを当社の販売価格に充分に転嫁できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

業界及び事業活動に関連するリスク

5.国際的な事業活動に関連するリスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には以下のような様々なリスクがあります。

・政治、外交問題または不利な経済状況の発生

・急激な為替レートの変動

・予期しない政策及び法制度、規制等の変更

・知的財産権制度の未整備

・人材の採用と維持の難しさ

・生産インフラの未整備

 当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.次世代技術への投資に関連するリスク

 当社は、次世代技術の研究開発に率先して投資を行っておりますが、当社の競合者は、そのような技術における研究開発において、当社より早期に画期的な進歩を遂げる可能性があります。また、競合している技術において、他社に先行されることで、結果として当社で開発中の製品が競争力を失う可能性があります。

 技術の進歩に伴い、開発及び生産設備への投資も継続しております。当社の経営戦略と市場のニーズにズレが生じた場合、当社はその投資を回収できず、ビジネスチャンスを失い、結果として、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は自動化・内製化を推進するための生産技術開発及び装置製造に取り組んでおりますが、これらを効果的に実施できなかった場合は、製品のコスト優位性や差別化が実現できず、同様に当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また技術・製品開発において差別化は重要な戦略ですが、当社が開発する新技術・製品の需要を正確に評価し、かつ市場において受け入れられるか検証する必要があります。当社が独自性を追求しすぎ、結果として市場のトレンドと相反するような事態が発生した場合、同様に当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

 また、次世代技術をもって新たな事業分野に参入することも当社の経営戦略における重点施策として想定されますが、その場合においても、ビジネスモデルが構築できない、あるいは新たな競合者との競争に巻き込まれるリスクは存在し、結果として、当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

7.新製品への移行に関連するリスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさ、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、かかるリスクが発生した場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク

 複合機や複写機、レーザープリンターなどの事務機市場では、近年、顧客のコスト削減や環境保護の観点から、オフィスでのプリント環境の最適化を目指したマネージドプリントサービスの導入が進められてきており、それによって事務機のプリント枚数が減少していく可能性があります。

 また、オフィスにおけるワークフローのデジタル化が進むことで、顧客のプリント機会の減少をもたらす可能性があります。こうした市場動向に対応した製品やサービスを当社が提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

9.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク

 スマートフォン市場が、全世界的に伸びています。スマートフォンでは、搭載されたカメラで写真を撮影し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにその場で共有することができ人々の写真に纏わる行動を変えました。今後、撮影性能の向上が進むスマートフォンカメラと比較して、当社のデジタルカメラの優位性を訴求できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.医療機器市場における認証・承認、保険制度等の事業環境対応に関連するリスク

  画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。また、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的には市場が拡大・成長していますが、一方、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。当社は、これらについて詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っておりますが、今後の新技術・新製品の臨床効果及び事業環境の変化を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

  半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置やFPD露光装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

12.販売に関連するリスク

 当社製品を販売する大手ディーラーとの関係に支障が生じた場合や、競合他社による買収が行われた場合に、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

13.特定サプライヤーへの依存に関連するリスク

  当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しております。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足が発生する場合等には、当社の生産活動が中断される可能性があります。さらに、市場の需給状況等により特定サプライヤーから購入する部品や材料の価格が高騰する場合もあります。特定のサプライヤーに依存していることにより、これらの事象が顕在化すると、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク

  当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者の数も増加してきております。これらのアフター・セールス事業をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があり、その際の訴訟、調査、一連の手続には費用が嵩み、当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

15.売上・需要予測に関連するリスク

 当社のコンシューマ向け製品の売上には、一般的に季節的なトレンドがあります。季節的なトレンドを作り出す多くの要因は、当社ではコントロールできない可能性があります。結果として不均衡な売上パターンは、当社の短期の需要予測を困難にし、在庫管理や物流システムに負担をかける結果となります。当社の供給が実際の需要を超過する場合、過剰在庫となり、それにより値下げや資金効率の低下を引き起こし、収益の減少につながる可能性があります。一方で、実際の需要が当社の供給を超過する場合、全ての注文に対応することができず、結果として売上の機会損失をもたらし、経営成績の予期せぬ変動要因となる可能性があります。

16.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

17.物流・流通に関連するリスク

 当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効であるかにかかっております。コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、当社のオペレーションの混乱を招くのみならず物流コストを増加させ、また配送の遅延による売上の機会損失をもたらします。また、当社のコンシューマ向け製品の需要は年間を通じて変動するため、輸送スペース(船舶、航空機)の予約や倉庫の確保等について適切な調整が必要となりますが、その調整が行えない場合、売上の機会損失の発生、もしくは不必要なコスト増を引き起こすこととなります。

 また、半導体露光装置やFPD露光装置等は近年、より精密化、高価格化、大型化が進み、それに対応した荷役や輸送が必要です。しかしながら、精密な故に荷役や輸送段階における軽微な衝撃等によって全損害となり、高価格化が故に損害が拡大するリスクをはらんでおります。当社の抱える精密化・高価格化が進んだ製品の多くが、全損害となる場合は、当社は当該製品に対する販売の機会損失やコスト増、または顧客からの信頼を失う可能性があります。

 また、原油価格の高騰や輸送スペースの需給バランスを原因とする運賃の高騰は、当社の物流コストの増加をもたらし、結果として経営成績に悪影響を与える可能性があります。

その他のリスク

18.自然災害等に関連するリスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃やサイバー攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。当社は設備や情報システムに対してのバックアップ体制を整えておりますが、先に述べたような災害、有害物質の流出、情報システムの停止の影響を防いだり、軽減したりできる保証はありません。また、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で生産するというバックアップ体制も一部整えておりますが、全ての機種と数量を保証できるものでもありません。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、さらには当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

19.ブランド価値に関連するリスク

  当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、模倣品の流通、コンプライアンス遵守の不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。模倣品に関して、当社は模倣品の増加を防止するための施策をとっておりますが、模倣品の生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、法令や規制の遵守及びその適切な対応を中心として、コンプライアンスの遵守が当社において全般的に徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

20.環境に関連するリスク

  当社は、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等に関する日本及び外国の環境に関する規制の適用を受けており、これらの規制により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあり、この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

21.訴訟に関連するリスク

  当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

22.知的財産に関連するリスク

  頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、市場でのプロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっております。当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行っており、そのため、特許、商標及びその他の知的財産権の組み合わせにより、技術の保全に努めておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

  また、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

  当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

  また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

  また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

  上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

23.人材の確保に関連するリスク

  当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、また研究成果や技術が流出するリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。現在、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っておりますが、このような技能が適切に伝承されない場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

24.電子データへの依存に関連するリスク

  当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

  これらの電子データの利用に関しては、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。

  このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。

  その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

25.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

  当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に実現可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行っております。

  当社は、企業市民として税金を納めるのは、基本的かつきわめて重要な責任と考えており、これらの改正や見直しにより重要な影響を受けることはないと考えております。しかしながら、新たに定められた移転価格文書などを通し、各国の税務当局との見解の相違が生じる可能性があります。

26.退職給付会計に関連するリスク

  当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4【事業等のリスク】

  当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2018年3月29日)現在において判断した記載となっております。

経済環境に関連するリスク

1.主要な市場の経済動向に関連するリスク

  当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各地において事業活動を展開しております。これらの主要な市場において景気が後退した場合、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や診断機器、産業機器などのコーポレート向けまたは医療機関向け製品の需要は顧客の経営状態に影響され、経営状態の悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。また、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の度合いに左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の販売価格が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.為替・金利変動に関連するリスク

  当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、当社の経営成績及び財政状態は外貨に対する円の価値変動により大きな影響を受ける可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。当社は、外国為替変動の影響を緩和するために最大限の措置を講じておりますが、当社の連結財務諸表は継続的に影響を受ける可能性があります。また、当社は、当社の金融資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

3.有価証券に関連するリスク

 当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、当社の経営成績及び財政状態は、株式及び債券市場の変動によって影響を受けます。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実現する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。

4.原材料価格に関連するリスク

 当社の生産活動に使用される鉄鋼、非鉄金属、石油化学製品等の原材料価格の高騰は生産コスト上昇につながる恐れがあり、これらのコストを当社の販売価格に充分に転嫁できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

業界及び事業活動に関連するリスク

5.国際的な事業活動に関連するリスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には以下のような様々なリスクがあります。

・政治、外交問題または不利な経済状況の発生

・急激な為替レートの変動

・予期しない政策及び法制度、規制等の変更

・知的財産権制度の未整備

・人材の採用と維持の難しさ

・生産インフラの未整備

当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.次世代技術への投資に関連するリスク

 当社は、次世代技術の研究開発に率先して投資を行っておりますが、当社の競合者は、そのような技術における研究開発において、当社より早期に画期的な進歩を遂げる可能性があります。また、競合している技術において、他社に先行されることで、結果として当社で開発中の製品が競争力を失う可能性があります。

 技術の進歩に伴い、開発及び生産設備への投資も継続しております。当社の経営戦略と市場のニーズにズレが生じた場合、当社はその投資を回収できず、ビジネスチャンスを失い、結果として、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は自動化・内製化を推進するための生産技術開発及び装置製造に取り組んでおりますが、これらを効果的に実施できなかった場合は、製品のコスト優位性や差別化が実現できず、同様に当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また技術・製品開発において差別化は重要な戦略ですが、当社が開発する新技術・製品の需要を正確に評価し、かつ市場において受け入れられるか検証する必要があります。当社が独自性を追求しすぎ、結果として市場のトレンドと相反するような事態が発生した場合、同様に当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

 また、次世代技術をもって新たな事業分野に参入することも当社の経営戦略における重点施策として想定されますが、その場合においても、ビジネスモデルが構築できない、あるいは新たな競合者との競争に巻き込まれるリスクは存在し、結果として、当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

7.新製品への移行に関連するリスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさ、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、かかるリスクが発生した場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク

 複合機や複写機、レーザープリンターなどの事務機市場では、近年、顧客のコスト削減や環境保護の観点から、オフィスでのプリント環境の最適化を目指したマネージドプリントサービスの導入が進められてきており、それによって事務機のプリント枚数が減少していく可能性があります。

 また、オフィスにおけるワークフローのデジタル化が進むことで、顧客のプリント機会の減少をもたらす可能性があります。こうした市場動向に対応した製品やサービスを当社が提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

9.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク

 スマートフォン市場が、全世界的に伸びています。スマートフォンでは、搭載されたカメラで写真を撮影し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにその場で共有することができ人々の写真に纏わる行動を変えました。今後スマートフォンカメラと比較して、当社のデジタルカメラの優位性を訴求できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.医療機器市場における認証・承認、保険制度等の事業環境対応に関連するリスク

  画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。また、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的には市場が拡大・成長していますが、一方、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。当社は、これらについて詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っておりますが、今後の新技術・新製品の臨床効果及び事業環境の変化を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

  半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやFPDパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置やFPD露光装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

12.販売に関連するリスク

 当社製品を販売する大手ディーラーとの関係に支障が生じた場合や、競合他社による買収が行われた場合に、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

13.特定サプライヤーへの依存に関連するリスク

  当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しております。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足が発生する場合等には、当社の生産活動が中断される可能性があります。さらに、市場の需給状況等により特定サプライヤーから購入する部品や材料の価格が高騰する場合もあります。特定のサプライヤーに依存していることにより、これらの事象が顕在化すると、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク

  当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者の数も増加してきております。これらのアフター・セールス事業をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があり、その際の訴訟、調査、一連の手続には費用が嵩み、当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

15.売上・需要予測に関連するリスク

 当社のコンシューマ向け製品の売上には、一般的に季節的なトレンドがあります。季節的なトレンドを作り出す多くの要因は、当社ではコントロールできない可能性があります。結果として不均衡な売上パターンは、当社の短期の需要予測を困難にし、在庫管理や物流システムに負担をかける結果となります。当社の供給が実際の需要を超過する場合、過剰在庫となり、それにより値下げや資金効率の低下を引き起こし、収益の減少につながる可能性があります。一方で、実際の需要が当社の供給を超過する場合、全ての注文に対応することができず、結果として売上の機会損失をもたらし、経営成績の予期せぬ変動要因となる可能性があります。

16.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

17.物流・流通に関連するリスク

 当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効であるかにかかっております。コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、当社のオペレーションの混乱を招くのみならず物流コストを増加させ、また配送の遅延による売上の機会損失をもたらします。また、当社のコンシューマ向け製品の需要は年間を通じて変動するため、輸送スペース(船舶、航空機)の予約や倉庫の確保等について適切な調整が必要となりますが、その調整が行えない場合、売上の機会損失の発生、もしくは不必要なコスト増を引き起こすこととなります。

 また、半導体露光装置やFPD露光装置等は近年、より精密化、高価格化、大型化が進み、それに対応した荷役や輸送が必要です。しかしながら、精密な故に荷役や輸送段階における軽微な衝撃等によって全損害となり、高価格化が故に損害が拡大するリスクをはらんでおります。当社の抱える精密化・高価格化が進んだ製品の多くが、全損害となる場合は、当社は当該製品に対する販売の機会損失やコスト増、または顧客からの信頼を失う可能性があります。

 また、原油価格の高騰や輸送スペースの需給バランスを原因とする運賃の高騰は、当社の物流コストの増加をもたらし、結果として経営成績に悪影響を与える可能性があります。

その他のリスク

18.自然災害等に関連するリスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。当社は設備や情報システムに対してのバックアップ体制を整えておりますが、先に述べたような災害、有害物質の流出、情報システムの停止の影響を防いだり、軽減したりできる保証はありません。また、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で生産するというバックアップ体制も一部整えておりますが、全ての機種と数量を保証できるものでもありません。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、さらには当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

19.ブランド価値に関連するリスク

  当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、模倣品の流通、コンプライアンス遵守の不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。模倣品に関して、当社は模倣品の増加を防止するための施策をとっておりますが、模倣品の生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、法令や規制の遵守及びその適切な対応を中心として、コンプライアンスの遵守が当社において全般的に徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

20.環境に関連するリスク

  当社は、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等に関する日本及び外国の環境に関する規制の適用を受けており、これらの規制により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあり、この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

21.訴訟に関連するリスク

  当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

22.知的財産に関連するリスク

  頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、市場でのプロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっております。当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行っており、そのため、特許、商標及びその他の知的財産権の組み合わせにより、技術の保全に努めておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

  また、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

  当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

  また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

  また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明の承継に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

  上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

23.人材の確保に関連するリスク

  当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、また研究成果や技術が流出するリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。現在、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っておりますが、このような技能が適切に伝承されない場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

24.電子データへの依存に関連するリスク

  当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

  これらの電子データの利用に関しては、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃や予期せぬ事態によりサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止するリスクがあります。

  このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。

  その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

25.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

  当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に実現可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行っております。

  当社は、企業市民として税金を納めるのは、基本的かつきわめて重要な責任と考えており、これらの改正や見直しにより重要な影響を受けることはないと考えております。しかしながら、新たに定められた移転価格文書などを通し、各国の税務当局との見解の相違が生じる可能性があります。

26.退職給付会計に関連するリスク

  当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4【事業等のリスク】

  当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2017年3月30日)現在において判断した記載となっております。

経済環境に関連するリスク

1.主要な市場の経済動向に関連するリスク

  当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各地において事業活動を展開しております。これらの主要な市場において景気が後退した場合、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や産業機器などのコーポレート向け製品の需要は顧客の業績に影響され、業績悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。また、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の度合いに左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の販売価格が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.為替・金利変動に関連するリスク

  当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、当社の経営成績及び財政状態は外貨に対する円の価値変動により大きな影響を受ける可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。当社は、外国為替変動の影響を緩和するために最大限の措置を講じておりますが、当社の連結財務諸表は継続的に影響を受ける可能性があります。また、当社は、当社の金融資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

3.有価証券に関連するリスク

 当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、当社の経営成績及び財政状態は、株式及び債券市場の変動によって影響を受けます。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実現する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。

4.原材料価格に関連するリスク

 当社の生産活動に使用される鉄鋼、非鉄金属、石油化学製品等の原材料価格の高騰は生産コスト上昇につながる恐れがあり、これらのコストを当社の販売価格に充分に転嫁できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

業界及び事業活動に関連するリスク

5.国際的な事業活動に関連するリスク

 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には以下のような様々なリスクがあります。

・政治、外交問題または不利な経済状況の発生

・急激な為替レートの変動

・予期しない政策及び法制度、規制等の変更

・知的財産権制度の未整備

・人材の採用と維持の難しさ

・生産インフラの未整備

当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.次世代技術への投資に関連するリスク

 当社は、次世代技術の研究開発に率先して投資を行っておりますが、当社の競合者は、そのような技術における研究開発において、当社より早期に画期的な進歩を遂げる可能性があります。また、競合している技術において、他社に先行されることで、結果として当社で開発中の製品が競争力を失う可能性があります。

 技術の進歩に伴い、開発及び生産設備への投資も継続しております。当社の経営戦略と市場のニーズにズレが生じた場合、当社はその投資を回収できず、ビジネスチャンスを失い、結果として、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は自動化・内製化を推進するための生産技術開発及び装置製造に取り組んでおりますが、これらを効果的に実施できなかった場合は、製品のコスト優位性や差別化が実現できず、同様に当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また技術・製品開発において差別化は重要な戦略ですが、当社が開発する新技術・製品の需要を正確に評価し、かつ市場において受け入れられるか検証する必要があります。当社が独自性を追求しすぎ、結果として市場のトレンドと相反するような事態が発生した場合、同様に当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

 また、次世代技術をもって新たな事業分野に参入することも当社の経営戦略における重点施策として想定されますが、その場合においても、ビジネスモデルが構築できない、あるいは新たな競合者との競争に巻き込まれるリスクは存在し、結果として、当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

7.新製品への移行に関連するリスク

 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさ、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、かかるリスクが発生した場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク

 複合機や複写機、レーザープリンターなどの事務機市場では、近年、顧客のコスト削減や環境保護の観点から、オフィスでのプリント環境の最適化を目指したマネージドプリントサービスの導入が進められてきており、それによって事務機のプリント枚数が減少していく可能性があります。

 また、タブレットPCの普及が、顧客のプリント機会の減少をもたらす可能性があります。こうした市場動向に対応した製品やサービスを当社が提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

9.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク

 スマートフォン市場が、全世界的に伸びています。スマートフォンでは、搭載されたカメラで写真を撮影し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにその場で共有することができ人々の写真に纏わる行動を変えました。今後スマートフォンカメラと比較して、当社のデジタルカメラの優位性を訴求できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク

  半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやFPDパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置やFPD露光装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

11.医療機器市場における認証・承認、保険制度等の事業環境対応に関連するリスク

  画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。また、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的には市場が拡大・成長していますが、一方、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。当社は、これらについて詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っておりますが、今後の新技術・新製品の臨床効果及び事業環境の変化を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12.販売に関連するリスク

 特に欧米においては、大手ディーラーによる寡占化が進んでおり、当社もそのような大手ディーラーへの売上比率が高い状況にあります。大手ディーラーに依存している特定地域において大手ディーラーとの間に支障が生じた場合、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。またディーラーの寡占化が進むことにより、当社は価格決定に関するイニシアティブを失い、結果として利益面においても悪影響を受けることも考えられます。さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

13.特定サプライヤーへの依存に関連するリスク

  当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しております。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足が発生する場合等には、当社の生産活動が中断される可能性があります。さらに、市場の需給状況等により特定サプライヤーから購入する部品や材料の価格が高騰する場合もあります。特定のサプライヤーに依存していることにより、これらの事象が顕在化すると、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク

  当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者の数も増加してきております。これらのアフター・セールス事業をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があり、その際の訴訟、調査、一連の手続には費用が嵩み、当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

15.売上・需要予測に関連するリスク

 当社のコンシューマ向け製品の売上には、一般的に季節的なトレンドがあります。季節的なトレンドを作り出す多くの要因は、当社ではコントロールできない可能性があります。結果として不均衡な売上パターンは、当社の短期の需要予測を困難にし、在庫管理や物流システムに負担をかける結果となります。当社の供給が実際の需要を超過する場合、過剰在庫となり、それにより値下げや資金効率の低下を引き起こし、収益の減少につながる可能性があります。一方で、実際の需要が当社の供給を超過する場合、全ての注文に対応することができず、結果として売上の機会損失をもたらし、経営成績の予期せぬ変動要因となる可能性があります。

16.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク

 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

17.物流・流通に関連するリスク

 当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効であるかにかかっております。コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、当社のオペレーションの混乱を招くのみならず物流コストを増加させ、また配送の遅延による売上の機会損失をもたらします。また、当社のコンシューマ向け製品の需要は年間を通じて変動するため、輸送スペース(船舶、航空機)の予約や倉庫の確保等について適切な調整が必要となりますが、その調整が行えない場合、売上の機会損失の発生、もしくは不必要なコスト増を引き起こすこととなります。

 また、半導体露光装置やFPD露光装置等は近年、より精密化、高価格化、大型化が進み、それに対応した荷役や輸送が必要です。しかしながら、精密な故に荷役や輸送段階における軽微な衝撃等によって全損害となり、高価格化が故に損害が拡大するリスクをはらんでおります。当社の抱える精密化・高価格化が進んだ製品の多くが、全損害となる場合は、当社は当該製品に対する販売の機会損失やコスト増、または顧客からの信頼を失う可能性があります。

 また、原油価格の高騰や輸送スペースの需給バランスを原因とする運賃の高騰は、当社の物流コストの増加をもたらし、結果として経営成績に悪影響を与える可能性があります。

その他のリスク

18.自然災害等に関連するリスク

 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。当社は設備や情報システムに対してのバックアップ体制を整えておりますが、先に述べたような災害、有害物質の流出、情報システムの停止の影響を防いだり、軽減したりできる保証はありません。また、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で生産するというバックアップ体制も一部整えておりますが、全ての機種と数量を保証できるものでもありません。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、さらには当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

19.ブランド価値に関連するリスク

  当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、模倣品の流通、コンプライアンス遵守の不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。模倣品に関して、当社は模倣品の増加を防止するための施策をとっておりますが、模倣品の生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、法令や規制の遵守及びその適切な対応を中心として、コンプライアンスの遵守が当社において全般的に徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。

20.環境に関連するリスク

  当社は、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等に関する日本及び外国の環境に関する規制の適用を受けており、これらの規制により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあり、この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

21.訴訟に関連するリスク

  当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

22.知的財産に関連するリスク

  頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、市場でのプロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっております。当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行っており、そのため、特許、商標及びその他の知的財産権の組み合わせにより、技術の保全に努めておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。

  また、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。

  当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。

  また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。

  また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明の承継に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。

  上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

23.人材の確保に関連するリスク

  当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、また研究成果や技術が流出するリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。現在、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っておりますが、このような技能が適切に伝承されない場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

24.電子データへの依存に関連するリスク

  当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。

  これらの電子データの利用に関しては、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃や予期せぬ事態によりサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止するリスクがあります。

  このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。

  その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

25.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク

  当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に実現可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。今後各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行うことになります。

  当社は、企業市民として税金を納めるのは、基本的かつきわめて重要な責任と考えており、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えております。しかしながら、新たに定められた移転価格文書などを通し、企業グループの活動実態が各国の税務当局間で共有されることにより、各国の税務当局との見解の相違が生じる可能性があります。

26.退職給付会計に関連するリスク

  当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

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