
シリコンウェーハは、半導体チップの土台となる材料です。

純度99.999999999%(イレブンナイン)級という極めて高い純度のシリコンを単結晶にし、薄くスライスして、表面を鏡のように磨き上げて作られます。このウェーハの表面に回路を形成し、最終的に切り分けたものがチップになります。

微量の不純物を加えることで、電気の流れやすさを精密に調整できる。トランジスタをはじめとするデバイスの動作を、設計どおりに作り込めます。
シリコンは加熱すると、表面に安定した酸化膜(SiO2)ができる。この酸化膜が、回路の絶縁や保護に広く使われます。
単結晶の製造技術が確立されており、大きく均質なウェーハを量産できる。原料も豊富で、コスト面でも有利です。
用途に応じて、主に次の3種類が使い分けられます。

シリコン単結晶をスライスして、表面を鏡面研磨した最も基本的なウェーハ。多くのデバイスの基板に使われます。
ポリッシュドウェーハの表面に、単結晶のシリコン層(エピタキシャル層)を成長させたウェーハ。結晶欠陥が少なく、パワー半導体やロジックなどに使われます。
シリコン基板の上に、絶縁層(酸化膜)と薄いシリコン層を重ねたウェーハ。寄生容量を抑えられ、低消費電力・高速な用途に向いています。
ウェーハの元になる単結晶(インゴット)は、主に2つの方法で作られます。

石英ルツボの中でシリコンを溶かし、種結晶を浸して回転させながらゆっくり引き上げ、円柱状の単結晶を育てる方法。大口径化に向いており、ウェーハ用の単結晶の主流です。
棒状の多結晶シリコンを部分的に溶かし、その溶けた部分を端から端へ移動させて単結晶にする方法。ルツボを使わないため不純物が混ざりにくく、純度の高い結晶が得られます。パワー半導体などの一部用途で使われます。
CZ法で作る一般的なウェーハの流れは、次のとおりです。

原料のシリコンを化合物に変えて精製し、高純度の多結晶シリコンを作る。ここで、イレブンナイン級の純度に高めます。
多結晶シリコンを溶かし、種結晶から単結晶のインゴットを育てる。直径は、作るウェーハの大きさに合わせて決まります。
インゴットの両端を切り落とし、外径を所定の直径に整える。結晶の方向を示すための切り欠き(ノッチ)も、この段階で加工します。
ワイヤソーで、インゴットを薄い円盤状に切り出す。
表面を平らに整え、スライスで生じたダメージ層を取り除く。
化学薬品で表面をエッチングし、ダメージ層を取り除く
表面を鏡面に仕上げる。回路を形成するため、極めて高い平坦度が求められます。
微粒子や金属汚染を洗い流し、平坦度や表面の欠陥を検査する。検査に合格したウェーハが、出荷されます。
エピタキシャルウェーハやSOIウェーハは、この後にさらに加工を加えて作られます。
ウェーハは直径によって呼び分けられ、用途ごとに使われるサイズが異なります。

先端ロジックやDRAM、NANDフラッシュなど、大量生産される先端デバイスの主流。
パワー半導体、アナログIC、センサ、マイコンなどで広く使われるサイズ。
一部のパワー半導体や化合物半導体など、特殊な用途で使われる。
直径が大きいほど、1枚のウェーハから取れるチップの数が増え、チップ1個あたりのコストを下げられます。
出荷されたウェーハは、半導体メーカーの前工程へ送られます。洗浄、成膜、フォトリソグラフィ、エッチングなどを繰り返して表面に回路が作り込まれ、最終的にダイシングで個々のチップに切り分けられます。