株価はなぜ動くのか:価格を決める要因
株価の決まり方
株価は買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスによって決まります。すなわち、買いたい人が多いと株価が上がり、売りたい人が多いと株価は下がります。
たとえ自分が「この会社は成長しそうだ」と思っても、多くの投資家が同じように評価しなければ、株価は上がりません。企業の業績や将来性が良いと注目が集まり、買い注文が増えることで株価が上昇します。
つまり、株を選ぶ際には「その会社が良いかどうか」だけでなく、「他の投資家がどう評価するか」も考えることが大切なのです。
この需給バランスはさまざまな要因によって変化します。
株価を動かす要因
株価は、企業の業績、景気の動向、金利の変化、世界情勢など、様々な要因によって変化します。
主要な要因について個別にみていきましょう。
企業の業績
企業の業績は株価に最も直接的な影響を与える要因です。企業の業績が良ければ株価は上昇し、逆に悪ければ下落する傾向があります。
そのため、売上や利益の増減、コスト削減の成果、営業利益率の向上など、企業が発表する四半期ごとの決算発表は投資家の注目を集めます。また、新しい製品やサービスの発表、経営陣の変更なども株価に影響を及ぼすことがあります。
景気の動向
景気の動向は株価に直結する重要な要素です。
景気が良いときは株価が上昇し、景気が悪いときは株価が下落する傾向にあります。
景気とは、経済全体の活動状況を示す言葉で、企業の生産、消費、投資、雇用などがどの程度活発かを示します。景気が良い時は経済活動が順調で、景気が悪い時は経済が低迷している状態です。
- 景気が良い場合
- 景気が悪い場合
企業の業績が改善し、利益が増加します。消費者の消費意欲も高まり、企業が成長します。このため、投資家は企業の株を積極的に購入し、株価は上昇します。
消費が落ち込み、企業の業績が悪化します。また、投資家がリスクを避けるために株を売り、株価が下落する傾向があります。
景気の良し悪しを表す代表的な指標は以下の通りです。
- GDP(国内総生産)
- 失業率
- 消費者信頼感指数
- 小売売上高
これらの指標は、景気や株価の動向を予測する際に用いられます。
金利の変化
お金を借りる際に支払う費用や、お金を預けた際に受け取る報酬の割合を「金利」と呼びます。金利は経済状況や物価の変動に応じて、変動することがあります。
金利は企業の業績や投資家の行動に大きな影響を与える要因です。
景気と企業の行動・業績は密接に関連しています。
- 金利が引き下げられる場合
- 金利が引き上げられる場合
企業の借入コストが減少し、設備投資や事業拡大がしやすくなり、業績が向上する可能性があります。その結果、株価は上昇しやすくなります。
企業の借入金の利息負担が増え、利益が圧迫されるため、株価が下落する傾向があります。また、高金利は債券などの安全資産を魅力的にし、投資家が株式から資金を移動させることが多くなります。
為替の変動
異なる国の通貨を交換することを「外国為替」と呼びます。為替レートは経済状況や国際的な要因によって変動し、企業の収益や投資家の行動に大きな影響を与えます。
為替の変動は企業の業績や投資家の判断に大きな影響を与える要因です。
為替レートの変動によって、企業の収益構造や市場の動きが変わります。
輸出企業にとって、円安は海外での販売価格が割安になり、競争力が向上するため、売上や利益が増加しやすくなります。結果、株価上昇が期待できます。一方で、円高になると海外での販売価格が割高になり、競争力が低下し、業績が悪化する可能性があります。
輸入企業にとって、円高は海外からの仕入れコストが下がり、利益が増加する傾向があります。結果、株価上昇が期待できます。一方で、円安になると仕入れコストが上昇し、利益が圧迫されるため、業績が悪化しやすくなります。
世界情勢
株価は、企業の業績だけでなく、世界の政治・経済情勢にも大きく左右されます。特に、市場の不安を招く出来事が起こると、投資家はリスク回避の動きを強め、株価の急変動につながることがあります。
世界情勢において、株価に影響を与える主な要因は以下の通りです。
- 戦争・紛争
- 自然災害・パンデミック
- 貿易摩擦・経済制裁
- 主要国の政策変更
地政学リスクが高まると投資家は安全資産へ資金を移し、株式市場は下落しやすくなります。
大規模な災害や感染症は経済活動を停滞させ、株価にマイナスの影響を与えることが多いです。
関税の引き上げや貿易制限は企業の業績を圧迫し、株価の下落要因となる可能性があります。
金利政策や経済対策の変更は市場の資金流動性に影響を与え、株価を大きく変動させることがあります。
まとめ
- 株価は需要と供給のバランスで決まる。買い手が多いと上がり、売り手が多いと下がる
- 株価を動かす主な要因には、企業の業績、景気の動向、金利の変化、為替の変動、世界情勢などがある
- 企業の業績が良ければ株価は上昇、悪ければ下落する。












